Z世代の“いま”を定点調査2022<動画視聴編>
YouTubeやTikTokなどの動画コンテンツは、今や世の中のトレンドとは切っても切り離せないものとなりました。日常生活の一部となっている人も多く、特に若者世代のライフスタイルをも大きく変えました。今回は定点調査第3弾として、動画視聴の変遷を昨年と比較してみていきたいと思います。
「1日に何度も観る」が圧倒的大多数
まず、YouTubeに関して、普段1日にどれくらい視聴しているのかを聞いてみました。
YouTube自体は以前からすでに盤石の地位のあるサービスだったにもかかわらず、昨年と比べても「1日に何度も観る」の回答は全世代でさらに増えています。過半数が毎日複数の動画を見ているということから、なくてはならない存在だということが伺えます。移動中、食事中、お風呂、寝る前…など、一日のあらゆるスキマ時間が動画視聴に当てられているようです。
では次に、どのような動画が視聴されているのかをリサーチしてみましょう。
昨年と変わらず「ゲーム実況」「ミュージックビデオ」「お笑い系」がトップ3を飾り、安定の人気を誇っています。その他は横ばいですが、「美容・メイク系」が全世代で微増しているのは注目に値します。タレント並みの人気を誇り、影響力を持つ美容インフルエンサーなどが存在感を増していることからも、美容系コンテンツは今後も伸びることが期待できます。
昨年とほぼ横ばいで大きな変化はありませんでしたが、昨年優位だった「ながら見ができる」を今年はわずかに「笑える」がリードした結果になりました。ただし25~29歳では「笑える」はワースト1位なので、動画コンテンツを制作する際にはターゲットの年齢を見極めてこれらのバランスを考えて制作する必要があります。
“タイパ” 傾向は動画視聴にどう影響する?
次に、一本当たり何分くらいの動画がよく視聴されているのか調べてみました。Z世代はタイパを重視すると言われる昨今、やはり短めの動画が好まれるのでしょうか。
6~15分の比較的短めな動画が大半を占めることは昨年と変わらないものの、15分以上の視聴や時間にはこだわりがないという回答が一気に増えていることがわかります。「16~20分」「21分以上」「特にこだわりはない」を合計した割合を比較すると、総計で31.9%→40.1%、15~19歳は24.6%→32.5%、20~24歳は34.7%→37.8%、25~29歳は33.3%→51.3%という変化で、25~29歳では過半数を超えました。面白ければ多少長くても視聴する人が増えているようです。
近年、動画や映画の再生速度を上げて視聴する若者が増えているということが話題になっていますが、動画の再生速度は「標準のまま」は20~24歳を除き昨年よりも微増しています。
一方、台頭しているのが「2倍速」。全世代で増えており、15~19歳においては5.2%→11.1%と2倍以上の伸び率です。
このことから、倍速を上げずに視聴する層と、2倍にまで速くして視聴する層に分かれてきているのかもしれません。1つ前の質問で長い動画の視聴が増えたことを取り上げましたが、再生速度を上げて視聴する習慣がついた層が増えたことも一因だと考えられます。この2つの層がどう増減していくのか、いずれにせよ今後の変化に注目すべき質問といえるでしょう。
好きなチャンネルならPR動画でも観る
PR動画とわかって動画を観るかという質問については、昨年とほとんど変わらない結果となりました。少なくとも「PR動画だから見ない」という層は少数派なので、今後もプロモーションの一環としてPR動画を制作するのは効果的だといえるでしょう。
一方、PR動画の内容についての質問も昨年と結果はほぼ変わらず。今年も総計では「好きなYouTubeチャンネルならなんでも」という回答が他を僅差で押さえて1位だったことから、多くの人にPR動画を観てもらうにはチャンネル登録者数の多いYouTuberやタレントにプロモーションを依頼することがポイントになることがわかります。
<動画視聴編>の2022年のポイント
2022年のYouTubeにおける動画視聴に対する意識や習慣について以下にポイントをまとめました。
① 「ゲーム実況」「ミュージックビデオ」「お笑い系」がトップ3。人気上昇中は「美容・メイク系」。
② 動画の尺は長くても良いという人が増えている。一方、2倍速での視聴も増えている。
③ YouTuberやタレントとのタイアップPR動画は一定の効果が見込める。
玉石混交の情報の海と化したYouTubeにおいて、動画の存在を認知してもらうだけでも至難の業。目に留めてもらうには、評価の高い動画のトレンドなどを普段からチェックし、取り入れる努力も必要になってくるでしょう。一方、ターゲットに刺さるコンテンツを意識するあまり、コンプライアンスをおろそかにしないよう企画やPRリリースは慎重に進めていくこともお忘れなく。