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<プレミアムプラン特典>水野が語る…「よもやま話-11」: SNSやメディアで流れる情報は正しいか…? そのⅡ-「エンジンオイルの交換方法」

 愛車のオイル交換(特にエンジンオイル)は、ディーラーやアフターショップから来る交換の案内、SNSに流れるマニアの投稿、更には ジャーナリストと自称される方が執筆するメディア媒体の記事など…「いったい、何を信じれば良いの…」と、迷うほど 実に多くの情報が溢れています。 
 「溢れるほどの情報が簡単に手に入る時代」だからこそ、使う側には、情報を「選択する能力と、使い熟す責任」が求められます。
 自分の過ちに気付いた後で「SNSやメディア媒体の悪口」をいくら言っても元には戻りませんし、賢くもなれません。
 
 ではどうするか…? 例えばそれを見抜く時のヒントの一例ですが…!!
巷に流れるクルマのメンテナンス情報(交換のタイミングや、種類と銘柄の使い方など)を視ると、執筆した内容の責任を回避する為に…「○○によると~、××に聞いたところ、◇◇のメカニックの話、販売店の話では~」など、敢えて人伝の話にした上で、執筆者の思い込みを加筆して「興味を惹きつける」記事にしたり、販社やアフターショップがメディア用に配布する「販売を促進させるための広報資料」等を転用して書いているケースが殆どです。
 残念ながら、机上の設計だけではなく、市場不具合の現場や実験部署を歩いて開発を経験した熟練のエンジニアがジャーナリストになって「一般の人にも解り易く、正しい情報や知識」を伝えている記事は殆ど見かけません。この手の記事を提供してくれるライターの方の多くは、元々メディア業界だけの経験や、若くして開発エンジニアを退職され技術の経験も局所的な方、そしてドライバー業界の方々ですから、やむを得ないのかもしれませんが…。

今回のテーマ「エンジンオイルの交換方法」について話を進めます。
 通常、国産車メーカーが工場で充填する 純正のエンジンやトランスミッション用のオイルは、「価格の安さと 必要な潤滑特性、交換期間と耐久劣化の特性、そして排ガス&燃費に寄与する低フリクション性」を主体に、洗浄性や樹脂&ゴム部品への攻撃性、環境適用性なども踏まえ、オイルメーカーの製品案内を基に、 寒冷地や耐熱性を含む開発実験を テストコースで行い採用しています。
 排気ガスや燃費試験を規定している 温度や走行条件が緩く、更に 市場の走行環境も比較的穏やかな国産車では、通常「性能は普通で 価格が最も安い鉱物性オイル」が純正オイルとして使われています。  
一方、法律の規定が遥かに厳しく、寒冷時でも アイドリングからすぐに高速走行を強いられるなど「市場の使用環境も厳しく、耐用走行距離とオイルの交換タイミングも長い」欧州車では、「高性能や耐劣化性を優先して、高質な100%化学合成オイル(Mobil-1 等) 」が純正オイルとして充填されてます。
 この様な背景もあり、日本のアフターマーケットの店舗には、欧米に比較すると凄く多い品数の交換用オイルが並んでいます。そして特筆すべきは、アフターマーケット専門の部品メーカーが「独自に調合したアフターマーケットの交換専用オイル」を販売している数の多さです。
※)高性能オイルの基盤素材オイルは、「世界でも数社の大手オイルメーカー(モービル、ペトロカナダ、モチュール等)」でしか製造されていません。市場で高性能オイルとして売られている製品の大半は、購入した基盤素材オイルに各社が独自に色々な添加剤を加えて製造されています。

アフターショップに並ぶ数多くの交換用のオイル。こんなに種類や銘柄が多いのは
日本特有の光景、これほど多いと選択するだけでも大変…。しかしその知識は…?

敢えて言うまでも無く、私はトップカテゴリー・レーシングカーの開発や参戦、そして多くの市販車の開発をやってきました。そして、新しいエンジンやトランスミッションの開発と併せて、常に新しいオイルもオイルメーカーの膨大な台上実験と、実車の厳しい耐久&劣化実験とを併せて共同で開発してきました。 そして、その中身は一般の市販車より遥かに厳しい「サーキット連続走行による耐久劣化性や、酷熱地や極寒地での酷使テスト」などと共に「オイル素材基盤の変化や劣化、そして油膜特性の変化と 混入金属の種類と量の変化」など、オイル本体の領域まで踏み込んだ共同開発でした。 
今回は、このようなノウハウや経験も交えて、エンジンオイルの交換方法を正しく伝えます。
 
 しかし、…ここまで読まれた方の中には…「自動車メーカーがきちんと色々なテストを遣った上で、オイル仕様を決めて案内しているはず! 何を今さら言っているんだ!」と思う人もいると思います。 確かにその通りで、自動車メーカーは「市場品質の保証期間内で市場不具合を起こさない実験や確認を行い、オイルの銘柄や交換時期」を決めています。 但し、自動車メーカーは慈善団体ではなく、利益を訴求する企業です。 想定した品質保証条件の中で「最も安価に購入できる銘柄(スペック)」を選んでおり、一部の特殊な高性能車を除いては「愛車にとってベストな選択」を訴求している訳ではありません。
 エンジンオイルはある意味、人間の血液と同じ大切な役割を担っています。オイルのスペックの選択と交換時期によっては「メーカーの開発試験を超えるエンジンのレスポンスや出力、燃費」等を発揮できたり、「メーカーの想定より長い、耐久性や性能劣化の防止」を図ることもできます。
 
今回は、一般に市販されている 代表的な3種類のオイルを基に解説します。
①一般に、メーカー純正品として売られている、安価な鉱物性のオイル
②大手オイルメーカーが市販し、欧州高性能車で純正採用されている、エステル系高級潤滑油を混合した、100%化学合成オイル
➂主にアフターマーケット市場で売られている、レアメタルや有機系の添加材を混合し潤滑性を向上している、100%化学合成オイル


※例えば、純正品の安価な鉱物オイルから、大手メーカーの100%化学合成油に交換したら直ぐに、レスポンスなど「その差」を確認して下さい。そして、同じ条件で走行して燃費なども正しく確認してみましょう…!

このように、社会で流れる誤った情報や、起こっているさまざまな出来事を単なる、情報や知識の消耗品として流して捨ててしまわず、視点を変えて、参考例題として活用し、「糧」として自身の中に記憶して応用すれば、日頃どこかの場面で役立つ知識や知恵になります。楽しむと同時に「癖」にして有効に使いましょう…。

ここから先、詳しくは動画をお愉しみください。

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