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<定期購読マガジン特典映像>    【対談編-第6回】山下敏男さんとの裏話対談…「デザイン開発-Ⅱ…スカイラインR34GT-R・デザイン開発の裏側」

達人との真実の裏話対談、今回は〖デザイン開発-Ⅱ…スカイラインR34GT-R・デザイン開発の裏側〗です。

“直列6気筒エンジンを搭載した最後のスカイラインGT-R”として、新車時の販売価格を上回る中古車価格で取引されているR34GT-R。
しかし中古車マーケットで高価な再販価格を得るには「単なる最終モデル」という看板だけではダメで、時間が経っても”古さと飽き”を感じさせない「デザイン・プロポーション」があってこそ造られるものです。
今回もクルマに限らず、様々な商品の開発に役立つ話が満載です!

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代表作のZ32型フェアレディなど、今なお多くのファンに愛され”古臭さを感じさせないデザイン”を数多く造り出されたプロフェッショナル・デザイナー 山下敏男さんをゲストに、恒久的に愛されるデザインの裏側にある真実の話を伺いました。

皆さんも日頃感じられている事だと思いますが・・・
発売して数年経つと「時代遅れで古さ」を感じてしまうクルマと、何年経ってもバランス感が良く「その時代の思いや、良いものは変らない不変」を感じさせる車があります。 それは何故でしょう・・・?
答えは簡単です!

【タイムレス(恒久)に親しまれるデザイン】
 ➡市場やお客が決める価値、その一つは中古車価格の高さ

その時の流行りのコピーや 前型車からの差別感から「ど派手な加飾やデザインだけのために、アンバランスで無駄な装飾のスペース」を持つのではなく、言うなれば…技術や性能の進化などに裏付けされ「本質のエッセンスを持つ意味が解る見栄え」が大事なデザイン要素。きちんとしたプロポーションのバランスが取れているクルマ、それは永遠に魅力を放つ「彫刻像や建築物」と同じようなバランス感覚。
(メルセデスやBMWのような、性能&機能の更なる向上と、それを実現させる手段としてのデザインが合理的に一体化しているクルマ)

【発売して数年で古臭さや飽きを感じるデザイン】
 ➡発売時はユニークや派手で目立つが、中古車になると急激に価値が落ち、時間と共に販売が不振になる

・「流行りの派手さと過度な装飾表現や差別感」だけに目を奪われ、性能や機能の向上とは無関係に、デザインだけが勝手に一人歩きしている造形。
・デザインのためだけで意味のないスペースを使った配分で、クルマとしての性能や実用機能を犠牲にした、アンバランスでアーティスト風気取りのプロポーション・デザイン。

[インダストリー・デザインと、アート・デザイン その違いは…]
➪インダストリー・デザイン(自動車や飛行機、新幹線、神社仏閣建築などの、動く性能や実用機能、自然との共存などを実現する要素も造形の使命)と、アート・デザイン(芸術や自己主張の表現、静止して展示、性能と機能や他人との連携は不要)の分別が出来ていないクルマも見かけられる…。
人は、本能(自然界の中で生き延びる知恵)の中に、合理的なモノと 不自然で無駄なモノを見抜く力を持っている。

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当時、山下さんと私は、’95年のR33GT-R、ル・マン24時間レース仕様車を基に「将来の技術トレンドを読み、合理的で無駄のない 本物の走りのセダン」のデザインを訴求しました。
意味のない派手な加飾「スラント(傾斜)& ロングノーズの、デカい前顔の寸法や、メッキだらけの装飾顔」などは削ぎ落とし、空力に最適な顔や、走行バランスの良い寸法配分を割り出し、走りと実用性に対して合理的な不変のプロポーションを追い求めました。
山下さんのデザインのキーワードは「インテリジェント・ハンマー」。
それが意味するものは… 技術や知性をエネルギー源とするハンマーで衝撃を与え、鍛錬を重ねて造り出されたクルマのシルエット。

その結果、R34GT-Rの顔は、近年メルセデスやBMWが採用している「グリルの構成やヘッドランプの段差バランス」などを先取りしており、R35GT-Rでも活かされています。
それは、空力や取り回し等の性能 & 機能と技術とを連携して造られた(インテリジェントな)顔だから、次世代にも受け継がれていくのです。

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山下敏男さんは、日産退職後も大学教授や各種団体活動へ参画され、次世代を担うデザイナーの育成にも力を注がれると同時に、様々な企業でデザイン活動をされています。
久々にプロのカーデザイナーである山下さんとお話ができて、私自身本当に色々な想いが浮かぶ、楽しい時間でした。

みなさんもクルマには色々な想い入れがあると思います。パートナーであったり、時にクルマは相棒だと言う人も少なくありません。
いま乗っているクルマ、むかし乗ってたクルマ、これから乗りたいと思っているクルマ・・・様々な想いを乗せてクルマは走っています。

日頃、目の前を走る様々なクルマを何気なく観ていると思いますが、それを造りだす裏側にはエンジニアとデザイナーの葛藤や想いがあります。
つくり手の考えを知ることで、あなたの選んだパートナーや相棒(クルマ)への理解や想い入れもより深まるのではないでしょうか・・・

今回の山下さんとの対談では、R34GT-Rというクルマのデザインを基に話をしていますが、あらゆる商品にも関係する話だと思います。

それでは、ここから先は「スカイラインR34GT-R・デザイン開発の裏側」を本編の動画でお楽しみください。

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