ジャケット_傷寒論講義_2_1

本編に入るにあたって

 湯液の書物である傷寒論を、鍼灸師も読むべきだとよくいわれています。それは急性熱病である傷寒に対して、傷寒論が実戦的な対応をしているからです。誤った診断治療をすれば亡くなる可能性がある急性熱病を、システマティックに分類して、病気の場所をつきとめ、的確な治療を選択できるようになっています。
 日本の漢方界には、古くから「漢方と鍼灸は別物」という考え方があり、古典書物も『素問』『霊枢』『難経』は鍼灸師、『傷寒論』『金匱要略』は湯液家が読むものとされてきました。
 私の師匠である池田政一はかねてよりこの状況を憂い、「漢方薬と鍼灸を併せた治療体系の確立」をライフワークにしており、この考えは師の師にあたる荒木性次もしかり、古くは内藤希哲も同じ考えでした。
 このような考え方は、中医学が中心となった現代では、当然のように受け入れられていますが、つい最近まで「漢方と鍼灸は別物」と考えられており、当然、彼らの考えは主流ではありませんでした。
 
 この「経絡治療からみた傷寒論」の連載を思い立ったのは、傷寒論を読み解き、経絡治療にどう取り入れていくかをまとめてみたいと思ったからです。
 先週までで、「弁脉法」「平脈法」「傷寒例」の導入部分は終わりました。脈状と身体の関連、傷寒の原理についてはここで理解できると思います。そして、ここからが本論になります。

 ここで迷ったのが、

①このまま傷寒論の条文の順番で解説していくのがいいのか?
②それとも古典医学書が同一理論の本に書かれているという考えに立脚したうえで、『傷寒論』を整理組み替えして読み解いている『傷寒論類編』(内藤希哲)を底本とした方がいいのか?

ということです。

 いろいろ迷いましたが、本編より『傷寒論類編』を底本にすることにしました。まず『素問』『霊枢』『難経』『傷寒論』『金匱要略』を同じ目線で読むというのはどういうことか、これをテーマにみなさんと勉強していきたいと思います。

 それでは、しばしお待ちください。。。


大上勝行


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