不登校のきっかけは引越しでした。経験者インタビュー 林さん #1
今回は中学校を不登校で過ごした、林さんのインタビューを掲載します。
林さんは、今は都内で働く20代の男性。一児のパパでもあります。
不登校当時のことを思い出しながら、ご自身の経験をインタビューさせてもらいました。
第1回:不登校の来歴
※イ=インタビュアー
イ:不登校の期間と時期を教えてください。
林:中学一年生の七月から中学卒業までです。
イ:林さんが不登校になったきっかけは何でしょうか?
林:めっちゃシンプルなきっかけです。中学校に馴染めなくて、不登校になりました。中学入学のときに引越しをして、環境がガラリと変わったことが、きっかけだったと思います。
イ:なるほど。そうすると、新しい中学校が合わなかったのですか?
林:はい。新しい人間関係に馴染めませんでした。
小学校に比べて、攻撃的な人や高圧的な人が多いと感じてしまい、こういう人たちとは仲良くなれないかも。と不安に思いました。
中学から始まる、先輩後輩関係というのにもかなり違和感があり、はっきり言って嫌いでした。
全体的に荒れ気味の学校で、環境的にはあまりよくなかったなと思います。
イ:中学から荒れる人もいますからね。公立の中学は、特に。
不登校になって、周囲の人はどう反応しましたか?
林:親は当然、通うように説得してきましたが、私は反発しました。
色々揉めた挙句、父親に殴られたこともありました。ですが、自分はもう通えないと確信してて。無理だと言い続けているうちに、先に母親が折れてくれました。それから、徐々に家族の態度が柔らかくなりましたね。
イ:不登校になって、まず家族との間で一波乱あったんですね。
その頃、学校からは何か働きかけがありましたか?
林:学校とのやりとりはほとんど親がやっていました。だから実はほとんど接点がなかったです。
最初はクラスメートや友人も通学するために色々接触しようとしてくれましたが、結局ほとんどの人と会わずに卒業してしまいました。
林:たまに話す友人がいましたが、学校に通えている人から言われても、行く気にはならず、正直白けてしまいましたね。自分も頑固だったんだと思います。
イ:そうなると、特に学校とのやり取りは全くなかったんですね。
その頃「学校に行かなければならない」という義務感を感じましたか?
林:不登校になる前は通わなきゃと思っていましたし、不登校になってからもフリースクールに通うまではずっと、通わなきゃと思っていました。
イ:フリースクールに通っていたんですか。
林:中学校二年から中学卒業まで、平日はほとんど毎日のように通っていました。でも、フリースクールは初めて会う人がほとんどだと思います。
イ:中学校と同じように、人間関係に不安はありませんでしたか?
林:フリースクールは同じような悩みを抱えている人が通っていましたし、当然スタッフも私の状況を理解してくれていたので、あまり心配はなかったですね。
林:他にも不登校の人がいて、自分だけじゃないと安心しました。不登校経験に対する周囲からの共感も、心の助けになりましたね。
林:また、フリースクールは学校とは違い、通うこと自体が目的という感じでした。学校に通っていればやるべきだったこと、また先輩後輩関係などの関係に縛られなかったので、気楽に通うことができました。
イ:なるほど。中学校から発生する、先輩後輩の上下関係などは確かにフリースクールにはありませんよね。一方で、勉強についての不安はありませんでしたか?
林:ありましたね。
なので、中学校三年生から不登校向けの個別指導塾に通っていました。
林:今思えば、家・塾・フリースクールという生活サイクルのおかげで、外に出るきっかけが出来ていました。それがよかったんだと思います。
家でじっとしていると何をするにも怖くなってしまうので。
林:あとは、誰かと話すことで、自分がどう考えているか整理できました。
親には話せないことも、塾の先生やフリースクールの人に話すことができ、自然と人間関係への不安が減少し、最低限の自信が出てきたと思います。
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今回は、林さんが中学校で不登校になってしまった原因を中心に伺いました。
林さんが経験した出来事について、内容をおさらいしてみましょう。
新しい人間関係でつまづいてしまった
中学校の先輩後輩という上下関係と水が合わなかった
手を差し伸べてくれる人もいたが、素直には応じられなかった
フリースクールに通うことで外出のキッカケができ、誰かと話すことで少しずつ自信が出てきた
第2回は林さんが高校生活を通じて考えた、自身の人見知りへの向き合いかたについて掲載します。
※本シリーズの第2回は、不登校サイト「ストップオーバー」のこちらに掲載しております。よろしければこちらもよろしくお願いします。
今回もお読みいただきありがとうございました。
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