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モンゴルで呪われた話

5/6/2022

胡散臭いパワースポット


僕は、通訳のガーナさんと運転手のバスカさん、そしてモンゴル教育大学のジョイくんの3人トリオを伴って、ゴビ砂漠付近の"パワースポット"へと旅立った。

名前の通り、その寺院には訪れる者にエネルギーを授けるという噂がある。

何度か訪ねたことがあるというジョイくんに真偽を問うと

「僕は一切何も感じだことはない」

序盤から僕の期待値のグラフは、ジェットコースターばりに極限まで0に急降下していた。

暑いし。


潜入


遮蔽物の無いまっさらな砂漠に走る一本の塗装道路。

道路のアスファルトには、所々剥がれている箇所が散見される。

そういう風景の変わらないでこぼこ道を車で征く。

そんな大胆で平凡な道程に運転手が居眠りをしてしまわないかと不安に思いながら、僕は身勝手にも眠りに落ちた。

3時間後、目的の寺院に着いた。

目的地に無事に到達できたことに安堵しながらも、それほど期待はしないで入場した。

寺院は金色が施されている写真の通りの見た目で、入り口には回し車が多数設置されていた。

別になんのエネルギーも感じない。

それにしても僕は風邪の後遺症で喉が痛いんだ、帰りたい。

パワースポットの寺院

闇の間

本殿かと思われる金色の建物に入るとそこは真っ暗で、ちょっとわくわくした。

これはこれで素敵な演出だなと思ったが、ただ停電してるだけだというオチだった。

スマホを懐中電灯代わりに突き進んでいくと、闇に隠れる仏たちが顔を覗かせる。

無数の仏たちが我々を静かに包囲していた。

内部

そこには、ただ、椅子がありました。


そして僕は、ついにある禍々しい椅子と出会った。

なんか、椅子がある。

隣には監視するみたいに僧侶がいて、なにやら他の観光客と談笑している。

なぜか、僕はこの椅子を見た途端、吸い込まれるように、無性に座りたくなった。

その椅子の魔力なのか、はたまた単純に疲れていたからなのかは、分からない。

座りたいと言ったらなんとなく断られそうだったので、僧侶の目を盗んで電光石火で座ってみた。

ジョイくんは青ざめて「早く立て」というジェスチャーをしたが、構わずにいると、隣りにいた僧侶が真っ赤になって(暗くて見えなかったけど)怒鳴ってきた。

そして、通訳のガーナさんも飛んで来て、僧侶の言葉を慎重に訳し始めた。

「りゅうくん、この椅子は座ってはいけません。僧侶の方が言うには、この椅子は徳を積んだお坊さんしか座ってはいけない椅子で、それ以外の人が座れば、残りの人生が重くなってしまいます。あなたは呪われました。あなたの残りの人生は重くなるでしょう、と言っています」

げげげ

なんと僧侶によると、どうやら僕は人生の難易度設定を知らぬ間にイジられて「ハードモード」にされてしまったらしい。

なんてことしてくれるんだ。

謝意


という次第でございまして、僕は見事に呪われてしまった。

風邪は治ったはずなのに、喉の痛みが引かないのはその一環かしら。

この椅子の一件のお陰で(せいで)、このパワースポットへの旅路は僕の脳裏に刻まれる出来事となった。

期待値は果てしなく0に近いものだったが、蓋を開けてみると見事なマイナス値であったというわけだ。

一応、反省しております。

ごめんなさい。

呪わないでーー!!!



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