おすすめ新生活習慣✤アビヤンガ(印度式オイルマッサージ)で春先の体調不良を緩和しましょう
インドの伝統医療であるアーユルヴェーダでは、アビヤンガ(オイルマッサージ)で体内に溜まったアーマ(老廃物/毒素)を定期的に排出することが、美容と健康に良いとされています。
アビヤンガは「乾燥・冷性・粗雑・軽性・変動性」などの性質を持つ、ヴァータ(ドーシャと呼ばれる体内エネルギーの1つ)を鎮める効果があります。ヴァータは秋~冬に増加します。この余剰なヴァータが季節の変わり目に様々な体調不良を引き起こすと考えられています。
気持ちよく春を迎えるために、新生活習慣にアビヤンガを取り入れ体調を整えてはいかがでしょうか。
実践方法をお話しする前に、アビヤンガの心身への作用と効果を簡単に。
アビヤンガは、いわゆる保湿などを目的とした美容法ではありません。細胞単位のクレンジングを目的としています。特に排出が困難な脂溶性の老廃物に有効です。
アビヤンガで使われるオイルの粒子はとても小さく、10~15分で骨まで浸透し、体内に蓄積されたアーマを吸着します。
その一部は表皮に浮き出てきますが、大半は血液やリンパ液に乗って肝臓や腎臓に運ばれ、排泄物とともに体外に排出されます。その結果、オイルを塗った肌だけではなく、内臓の中まで細胞単位で健康を取り戻し肌ツヤが改善されるのです。
ちまたでは毎日続けることでマイナス10歳肌!と噂されるアビヤンガには、次のような効果効能があると言われています。
体の奥の奥までデトックス。
オイルの抗酸化作用で活性酸素を減らし細胞の老化を防ぐ。
免疫力を高めて体力増進。疲れにくい身体に。
不安やイライラを鎮めるリラクゼーション効果。
愛情ホルモンの分泌により、多幸感や自己愛が高まる。
数年前から日本でも施術を受けられる施設が増えていますが、まだまだ気軽に受けられないのが現状かと思います。
そこで、今回は自宅でもできるセルフアビヤンガの手順をご紹介します。オイルを皮膚に塗るだけでも効果が期待できますので、マッサージのテクニックなどは気にせずお試し下さい。家族やパートナーと一緒にマッサージするのもお勧めです。
①アビヤンガの手順(基礎編)
安定感のある湯飲みやマグカップにお湯を注ぎ、1回分(大さじ2〜3)のオイルを入れた容器、またはボトルごと湯煎で人肌に温める。
オイルが温まったら100円玉大を手に取り、両手の平で擦り合わせる。
マッサージを始める前に、頭頂、咽頭(鎖骨の間にある喉の窪み)、へその3カ所に指先で優しくオイルを付ける。
頭から足に向かってオイルを塗っていく。基本は心臓を中心に外側に向かって肌に薄くのばすように刷り込む(一般的リンパマッサージとは逆方向)。部分マッサージの場合、全身のツボが集まっている耳と足の裏+気になる部分にオイルを塗ることをお勧めしています(仔細後述)。
オイルを塗り終わったら、すぐに動き回ったり飲食はせず、5分ほど楽な姿勢でリラックスして過ごしてください。
体を温める。いつもより少し熱めの湯船やシャワーはもちろん、ヨーガアーサナなどの有酸素運動も適しています。
部分マッサージの場合は、蒸しタオルで温め、そのまま拭き取るのも良いでしょう。
また、オイルを石けんで洗い落とす必要はありませんが、皮膚が弱い方や特有のオイルの匂いが気になる方は軽く石けんで洗ってください。
※生理中や産前産後は控えてください。また、使用前にパッチテストを行い、皮膚に異常がある場合は使用を中止してください。
お風呂上がりに浴槽のお湯を抜かず、脱衣所でササッとオイルを塗ってもう一度お湯につかると割と苦にならないのでおすすめです。
しかし、いきなり毎日続けるのはハードルが高いもの。週1-2回を目安に1ヶ月ほど続けてみてください。
そして、これから先も続けたいと思った時に回数を増やしたり、自分の体質にあったオイルを購入したりしていけば良いと思います。
お勧めのキャリアオイルを末尾でご紹介しますので、購入を検討されている方の参考になれば幸いです。
②時間のない時は部分アビヤンガ(所要時間約5分)
ここでは、耳(顔)+足の裏+不調和のあるドーシャの座、この3カ所の部分マッサージをなるべく手軽に、そして、毎日続けられる事を念頭に構成しています。
本職のアーユルヴェーダセラピストさんが見ると、細かい部分で見解の相違があるかと思いますが、ご了承ください。
◇カパドーシャを鎮める
胸(鎖骨下から胸の中央を結んだ逆三角ゾーン)を上下に素早くさする。呼吸器に不調がある時や体が重だるい時に。季節なら春〜梅雨。
◇ピッタドーシャを鎮める
へそを中心に「の」の字を書くようにくるくると撫でる。妙にほてりがある日やPMSがひどい日、無性にイライラする時などに。季節なら夏。
◇ヴァータドーシャを鎮める
太ももを両手で包んで上下に優しくさする。身体の冷えが気になる時や関節が痛む時、思考が散乱して不安感がある時に。季節なら秋〜冬。
安定感のある湯飲みやマグカップにお湯を注ぎ、1回分(大さじ1〜2)のオイルを入れた容器、またはボトルごと湯煎で人肌に温める。
濡らしたフェイスタオルをしっかり絞ってビニール袋に入れ、電子レンジで蒸しタオルを作っておく。
温めたオイルを手の平に取り、両手で擦り合わせる。(1回に手に取る量は100円玉大が目安)
頭頂→眉間→喉の凹み→へその順に指先でオイルを付ける。
両耳にオイルを馴染ませ、痛くない強さで耳全体を揉みほぐす。(耳の裏側や穴の入口にも塗る。余裕があれば耳掃除の要領で綿棒を使って塗布しても)
眉間に付いたオイルを手の平で覆い、額を撫でるように左右に優しく馴染ませる。次に喉の凹みに付けたオイルを上下に馴染ませる。美顔効果が欲しい方は、この時に顔全体にもオイルを塗り広げます。オイルが目に入らないよう注意!(肌の奥が乾燥しているとオイルの吸収量が増えます。マッサージの際は肌に摩擦が起きないよう、適宜オイルを追加しましょう)
鎮めたいドーシャの座にもオイルを塗り、骨に沿ってマッサージする。関節部は円を描くようにさすります。最後にオイルを足の裏に塗って完了。
2.で用意した蒸しタオルで顔と両耳を覆い、オイルを塗布した部分を温める。
冷めてきたら、タオルで肌に残ったオイルを拭き取ってください。タオルを折り返して温め直し、同じようにドーシャの座、足裏の順に温めてから残ったオイルを拭き取って終了。
衛生面が気になる方は使い回さず複数枚使ってください。そのぶん洗濯物が増えてしまうので各人の判断にお任せします。
③おすすめのアビヤンガ用キャリアオイル
【セサミシードオイル(コールドプレス製法のもの)】アーユルヴェーダの主流オイルで、季節なら秋冬、体質はカパとヴァータの人におすすめのキャリアオイルです。市販の太白ごま油を使用する場合は、キュアリング(熱処理)が必要です。
【スイートアーモンドオイル】春~梅雨時、カパ体質におすすめのキャリアオイルです。ただし、酸化が早いので開封後2-3ヶ月以内に使い切りましょう。
【オリーブオイル】どちらかといえばピッタ向き、働き盛りの年代の方におすすめできるキャリアオイルです。DHCのエキストラバージンオリーブオイルなどはコンビニでも買えるので、アビヤンガデビューには最適です。
【グレープシードオイル】敏感肌さんやピッタ体質の方におすすめのキャリアオイルです。こちらも酸化が早いので開封後2-3ヶ月以内に使い切りましょう。
【ココナッツオイル】夏場やピッタ体質向けのキャリアオイルです。気温が下がると固まってしまうので、湯煎で溶かしよく振ってから使用します。
【ホホバオイル】ニキビや日焼けによる肌荒れが気になる時に、すべての体質の方がお使い頂けるキャリアオイルです。名前はオイルですが植物性の液状ワックスで、酸化しにくいのが特徴。前述のスイートアーモンドオイルやグレープシードオイルとブレンドすると酸化を遅らせることができます。
【バターオイル(ギー)】アーユルヴェーダでは主に目のケアに使用します。人肌ぬるめに温めたオイルを洗眼器に入れたり、目の周りに水で練った豆粉で土手を作ってオイルプールを作ったりして、直接眼球を洗うように使用します。オイルを染み込ませたコットンやガーゼを目蓋の上に乗せてパックするのも良いでしょう。
直接オイルが目に入るので、衛生面や温度には気をつけてください。手作りオイルではなく市販の薬用ギーを購入することをおすすめします。
※カブれてしまう方も一定数いらっしゃいますので、使用前にパッチテスト推奨。
また機会をみて、エシカルな市販ブレンドオイルや、おすすめの精油などもご紹介致しますので、お楽しみに☆
学生時代から脳科学や心理学、代替医療に興味があり、薬や手術に頼らずに心と体を元気にする記事を書いています。アーリヤ神話(印度欧州語族の神話)や古い伝承も好きなので、ときどき箸休めに怪しげな魔女コラムを書きたいと思っていますので、宜しければお立ち寄りくださいませ★