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介護小説 《アリセプト〜失われる記憶》 ③

 自分自身が就職して、バリバリ仕事をこなす星の下で生まれて来なかっただけなのだと心得ているのかもしれない。
 大学も卒業していない。高校の成績もよくなくさらに、コンビニのアルバイトした事がない僕に今後、何が出来るというのだ…。
 そんな事を考えながら、就職を探す。

 普段は使わないパソコンで《就職 都内》で検索すると、沢山出てきて、全く訳の分からない世界に飛び込んだみたいになり、コンピュータよりも自分の頭がフリーズして、現実の世界や幻聴のような嫌な声が心を刺し、吐き気を伴いそうになりながら、深夜のコンビニのアルバイトに行った。
 コンビニのアルバイトは特別にできる訳でも無く。偏差値50くらいの普通のバイトの人間だ。

 7年近く勤務していると言う事で、名前だけリーダという役職についた。
 アルバイトの大学生の方がレジが早かったり、品だしにしてもコミュニケーションの能力も上の人も沢山いた。ただ、長いだけ…。
 冷房と暖房が強いコンビニでは季節感を失う事があった。
 毎日同じルーチンをこなし、カラスの声を聴きながら廃棄の弁当を食べそして、寝る。

 昼くらいに起き昨日、結局何もしなくて閉じた就職のホームページを見る。
 そもそも履歴書というものを、バイトの時以来書いていない。
 しかも、書いたのは高校の時だ。
 今ではインターネット上で、学歴、職歴、資格等さらにはアピールポイントを書く欄があるが、どれもマイナスポイントのばかりしか見当たらない。
 正直に学歴は高卒と書いて、職歴もコンビニリーダーとは書いたものの資格、アピールポイントが全く書けない。

 やっと書けたアピールポイントが《同じ作業をしても苦にならない点》
 26になる男がこの程度のアピールポイントでは、どこかに就職ができるはずがない。
 そう考えると、高校や大学を卒業して就職活動をした人達は尊敬してしまう。

 この歳になっても就職の準備をできない僕は、姉に馬鹿にされても仕方ないだろう。『就職をしなさい』といいつつも半分諦めて言っているのだろう。

介護を本気で変えたいので、色々な人や施設にインタビューをしていきたいので宜しくお願いします。