見出し画像

帰路にロサンゼルスLAXで空港ビバークしてしまう方法

空港ビバーク(空港に泊まる)という言葉がある。

予定通りに下山できず、山中で緊急に夜を明かすことを「ビバーク」というらしいので、トラブルで急遽空港で夜を明かすのが狭義の空港ビバーク

私が経験したのは、なんだかワクワクするから空港泊してみたという広義の空港ビバーク。というか、ただの空港キャンプ。空港野宿。

奇跡的に日本人女性ひとりでLAX空港ビバーク(広義)ができたので、成功のポイントをシェアします。

受託荷物なし

海外の空港で安全にビバークするポイントがこれです。
海外には拳銃を持っている人がそこら中にいますが、空港には拳銃を持っていない人だけが集まる場所があります。そう、エアサイドです。
エアサイドには拳銃を持っている人はいないことになっています。
もし空港で荷物を預けた場合、Baggage Claimで荷物を受け取った後、ランドサイドに出るしかありません。しかし受託荷物がなければ、ずっとエアサイドに留まることができます。

帰国まで受託荷物を作らない

今回、グランドサークル観光に行きましたが、私にとって最大のイベントが、最終日LAXエアサイドでの空港ビバークでした。つまり、最終日までバックパック1個と手荷物サイズのスーツケースに収まる量の荷物で行動することが私の使命でした。

・消耗品は現地で使い切って捨てる
・衣類も現地で捨てて帰る
・液体の商品を買わない
・義理のばらまき土産など入るスペースはない
・お土産は紙類、ピンバッジ、ブックマーク、デジタルデータ、お土産話のような小型か無形のものを選ぶ
・自分に必要なものを厳選する
・現地で会う人が私にお土産を持ってきてくださる場合も、手荷物で持ち込めるものしか受け取れないをあらかじめ相手にお伝えする
・手荷物に入らないものは持って行かない

などとなります。ラスベガスで、ばらまき土産が売られているお店を覗いたが一切買い物しなかった私を見て、同行していた方が「あなたに義理というものはないのか」と呆れていましたが、荷物が増えることは私の命に関わるので「私には義理土産を渡すような友人はいません、捨てられるような土産は要らない。次の目的地へ移動しましょう」と言い返しました。

物を大切に使う

衣類も現地で捨てて帰る、については旅の1ヶ月前から持っていく衣類(特に下着)を決めておきます。「1ヶ月後にこの下着はアメリカで捨てられるんだ・・・」と思うと、愛着がわいてきて何度も洗って身につけてしまいます。そうするとますますくたくたになって当日捨てやすくなります。
捨てる当日「まだ着れるんじゃないか、勿体無い、服が可哀想・・・」という気持ちも芽生えるかもしれません。しかしこれは自分が決めたデッドラインです。日本に持って帰るならランドサイドで危険な夜を過ごすことになりかねません。1ヶ月前に捨てると決めた自分の決断は最善だったと許しましょう。えいやっとゴミ箱へ!

古い衣類ばかり持っていくのもテンションガタ落ちです。テンションが上がる衣類、おろしたてのワンピースなんかもぜひ持っていきましょう(それは捨てないで持って帰る)。

ビバークする前に、搭乗前に身支度を済ませる

旅最終日のあの夜、ラスベガス22時発→ロサンゼルス0時着の飛行機に乗ったため、0時から国際線乗継手続き開始の6時までがビバークタイムでした。長旅は思っている以上に体力を消耗させます。ロサンゼルスLAXに着いたらもうフラフラのヘトヘトです。ですから、ラスベガスの空港で、搭乗前に寝巻きに着替えて歯を磨きましょう。

水分と食料の確保

深夜の空港はお店も上級会員ラウンジも閉まっています。ただの駅です。カラの水筒を持っていき常に飲料水を汲んでおく。非常食もバックパックにイン!基本的事項として、日本のパスポートは極力表に出さない。

いよいよビバーク開始

深夜ロサンゼルスのエアサイドに着きました。やっぱりもうフラフラのヘトヘトでした。他の乗客と一緒に飛行機を降りつつ、その集団を離れて寝床を探します。ポイントは、ビバークしそうな人が複数名座っている搭乗ゲートを見つけて、自分もそっと座ることです。複数名集まる場所は、警備員が巡回していて監視カメラがあるビバークおすすめスポットである可能性が高いです。そこでは、スマホで誰かと長電話している人、タブレットで読書している人、お友達同士でおしゃべりしている人、が多様に時間を潰しています。そんな場所がきっとあります。深夜は旅客機の発着が少なくエアサイドにいる乗客は少ないので、このような人たちがエアサイドにいるということは、もう全員ビバーク確定者です。多国籍の人たちとそっと寄り添って休むのです。自分はフラフラのヘトヘトだったので、バックパックを抱えて椅子に座って数秒で眠りに落ちました。貴重品は肌につけておく(身につけておくのではなく肌につけておく!)。スーツケースはワイヤーロックを使って体に縛っておきます。

眠るよりも、安全に時間を過ごすことが達成目標

いろいろな物音で目が覚めます。深夜の空港は寒いです。でも数時間眠れて平和な朝を迎えられたら大成功です。その日の早朝便の出発は午前6時台だったので、午前4時半にはエアサイドの飲食店前に乗客の行列ができ、5時開店。私も大きなカップに注がれたアメリカンコーヒーと朝食をいただきました。なんだか凄い達成感・・・。私のグランドサークルの旅は無事終わりを迎えます。

この後、T6ターミナルからトムブラッドレー国際ターミナルへエアサイド間を大移動して、ランドサイドに出て、帰りの国際便のチェックインをしました。

空港ビバークは正解だった!?

そもそも私はビバークするつもりじゃなかった。当初は夕方にラスベガスからLAXに着き、LA泊、翌日早朝に帰国する予定でした。しかし航空会社の都合で夕方→深夜便に振り替えられました。これも何かの運命なのでラスベガス観光時間を延長し楽しみました。とはいえ、深夜のLAXでホテルへ向かう送迎バスやUberの乗り場を探すのも怖い。白タクか怖い人に遭遇するかも。LAにいる知人にLAXに迎えにきて数時間泊まらせてもらえないか相談したが断られ、最終的になんだか面白そうだったのでビバークを決断しました。
あとから聞いた話では、アメリカに限らず深夜に空港に着いた観光客は、空港から出た瞬間に見ぐるみ剥がされるケースもあるそうです。あの夜に空港から出なかったこと、空港内で朝を迎えたことは正解だった、と思うようにしています。
とはいえ、明るいうちに移動してちょっと観光してホテルで休みもっと安全な夜でもよかったとも思います。

この記事が参加している募集

一度は行きたいあの場所

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?