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理学療法士の転職について


はじめに

 例年、10月下旬から12月にかけて理学療法士の転職活動が活性化します。現状よりも成長したい、ライフワークバランスの改善を図るために新たな職場を検討されているのではないかと思います。そこでこれまでの私の経験を振り返り、理学療法士の転職について私見を述べたいと思います。私の私見を読んでいただくことで、転職を考えている理学療法士の思慮に役立ちましたら幸いです。

転職を考え始めたきっかけ

 私は、数回の転職を経験してきましたし、知人等の転職の相談を受けた経験があります。つい先日も、7年目の理学療法士さんから電話を頂いて、転職についての相談を受けました。皆さんは、どのようなことをきっかけにして、転職を検討し始めたでしょうか。私見では、以下のいずれかで転職を考え始めることが多いように思います。

  • 上司や先輩方の理学療法や方針・指針に共感できず就業意欲が低下している

  • 職場内の教育・サポート体制が整備されておらず不満がある

  • 職場内の人間関係構築に失敗し、環境を変えて再スタートしたい

  • 家庭内環境の変化により、通勤時間や休日を再調整しなければならない事情が生じた

  • これまで修得した知識・技術をさらに向上させるために、未修得の技術を提供する職場に転職して学びたい

  • 求人票を見て、処遇に優れている職場があるので、転職したい

ほとんどの発端は小さな事から

 家庭内環境の変化を除いたほとんどの理由は、日常業務の小さな事が蓄積して不満足感が高まった故の転職検討です。症例検討を進めるにあたり先輩と意見が合わない、カンファレンスで意見が合わない、リハ室の整理整頓や書類整理等で小言を言われる、昼休み時間まで気を使う、先輩の臨床がワンパターン化していて尊敬できない、何事も経験年数が物を言う等のことは、良くあるあるです。

職場環境は変化する可能性がある

 自分が職場を変えて、良い環境に身を置くということも選択肢の一つですが、私見から、職場環境は常に変化する可能性があるので、短期的には不満足感が高い職場であっても変化する可能性があるということです。つまり、職場環境を変えて自分の環境を変える方法と自分がその職場環境をゆっくり変えていく方法があるということです。

リーダーシップがない人が職場環境を変える

 注意深く、日常業務を観察してみてください。普段は、自分の日常業務に追われている方も、リハビリテーション科全体、病院全体を見渡してみてください。日常業務のほどんどは、リーダーシップが目立たないスタッフが中心になり実施しています。 トップが変われば環境が変わるって言われることがありますが、理学療法士の業務は、他の職種に比べて独立性と専門性が高い特徴がありますので、いわゆる個人事業主のような働き方になります。ですので、日常業務を運営しているのはリーダーシップがない人が中核を担っています。このリーダーシップがない人が職場環境を変えていきます。

個人事業主間の交流活性化で職場環境を変える

 日常業務を運営している方の多くには、リーダーシップが無いと言ってきました。誤解されないよう正確に表現しますと、”リーダーシップ能力があるけれども職場でリーダーシップを発揮する役職についていない”ということになります。この方を私は、個人事業主と例えています。理学療法を実施する場合には、患者と1対1で20分、60分の治療を7人から20人程度に提供するわけですから、ほとんどを独立して実施していることになります。そのため、個人事業主ごとに特徴が異なるわけですので、自分がコラボレーションしたい個人事業主を見つけて、お互いの臨床や経験、価値観などを共有し、活性化していくことで個人事業主間のパートナーに育てていけば、職場環境が変化してきます。

内的職場環境と外的職場環境を活用する

 内的職場環境は、勤務先です。勤務先では、上記の個人事業主間の交流活性化で環境変化を生む事をすすめていますが、内的職場環境でパートナーを見つけることが物理的に難しい一人職場であるとか、年齢が離れた理学療法士しか勤務していない職場もあるかと思います。その場合は、外的職場環境に目を向けてみてください。同じ国家試験免許を有した理学療法士間が集う研修会や学会に参加して、個人事業主間のパートナーを見つけてみると良いかと思います。私見になりますが、外的職場環境においては、パートナーまで進展しなくとも、このような活動をしている理学療法士が存在するということを知ることが出来ただけでも、内的な職場環境の不満足感が軽減したという経験があります。

まとめ

 働いている限り、不満足感や満足感を感じながら仕事を行いますので、転職しても数年後には別の不満足感を経験することになります。したがって、転職による職場環境の変化と職場内の交流活性化による職場環境の変化を組み合わせて、定年退職までの40年、30年を前向きに”夢”を設定して活動しましょう。 


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