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マネー・MMT

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MMTのルーツは新左翼思想
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2022年2月の記事一覧

デフレと不況

アトキンソンがツイートしているこの記事に関する参考情報。 同趣旨の論文は他にもある。 大恐慌は例外 財・サービス価格ではなく資産価格の下落が不況と関連する(←信用収縮)

中央銀行の債務超過と通貨価値

《全文公開・・・有料設定はサポート機能の補完》 債務超過になると通貨価値が暴落するのではなく、通貨価値を裏付ける自国通貨建て資産の価格が暴落するから債務超過になる。 中央銀行の資産が主に自国通貨建て有価証券(国債等)の場合は、物価暴騰→市場金利暴騰→資産価格暴落→債務超過が起こり得るが、外貨建て資産の場合は、為替レート増価→資産の減価→債務超過なので、通貨価値の暴落とは関係ない。 日本ではインフレ率上昇→国債金利上昇→(時価評価での)債務超過は起こり得るが、中南米諸国に

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国債1000兆円を一括償還すると

《有料設定はサポート機能の補完で全部読めます》 「国債発行は通貨発行に等しい→国債の償還は通貨の消却」という反緊縮派の素人論客に多い誤解。 2021年12月末の国債及び借入金現在高は1218兆円(うち内国債1088兆円、普通国債968兆円)なので、約1000兆円の国債を一括償還するためには所得税や消費税では足りず、財産税が主財源になる。償還によって1000兆円の通貨が納税者から国債保有者に移転する。 国債保有者が銀行:資産の国債と負債の通貨が両建てで消滅 国債保有者が非

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信用創造(信用貨幣の創造)の簡単理解

《有料設定はサポート機能の補完で全部読めます》 信用創造が話題になっていたらしいので、これまでに書いた内容を簡単にまとめる。 銀行(預金取扱機関と中央銀行)の信用創造(信用貨幣の創造→供与)は、資産の証券化が参考になる。 ①の証券化では、SPCがキャッシュフローを生む資産を裏付けとして証券(Asset-Backed Security)を発行し、投資家に売る。 ①の証券の代わりに預金取扱機関が預金を発行する②が信用創造で、預金は資産の発行者(≒借り手)に供与される。将来

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MMTの理想状態に近づいた日本経済

《有料設定はサポート機能の補完で全部読めます》 本家本元のMMTerによると日本はMMTの真逆の政策を続けてきたが、現実の日本経済はMMTの理想状態をほぼ実現していた。 MMTの主な主張は 政府は資金不足(赤字)/民間は資金余剰(黒字)に 信用拡大は民間企業ではなく政府が主体に 政策金利はゼロまたはニアゼロ 政府の調達金利は市場ではなく政府または中央銀行が決める(→日本銀行の長短金利操作) 物価安定 失業ゼロ(希望者は全員就業) 法人税廃止(→実効税率を19

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銀行は(集めた)預金で国債を買う

《有料設定はサポート機能の補完で全部読めます》 この辺り👇の議論を整理する後編(前編と関連記事)。 政府が発行した国債を銀行が購入する場合、銀行は中央銀行に設けられた準備預金を通じて購入している。その準備預金は、中央銀行から供給されたものであって、民間部門の預金を集めたものではない。すなわち、政府の財政赤字は、民間貯蓄でファイナンスされてなどいないのである。 銀行による国債購入というのは、日銀が政府から直接国債を購入して当座預金を供給すること(日銀による政府への信用創造

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NYTのMMT提灯記事

NYTのMMTとケルトンの提灯記事に多くの経済学者・エコノミストが憤っている。 Noah Smithの批判が的を射ているので紹介。 文中の引用に"MMT is a more that of a political manifesto than of a genuine economic theory"とあるように、MMTは経済理論というよりも新左翼のマニフェストと言うのが妥当である。MMTは"guru-based"というDeLongの表現は本質を捉えている。 現実には、

シェイブテイルが知らない信用創造

《有料設定はサポート機能の補完で全部読めます》 なぜ信用創造と言えるのかを図を用いて示す。✚の左右は資産と負債、上下は増加と減少を表す。 ①が「銀行による現金融資」だが、 これは②の通常の融資と③の預金引き出し(現金化)を一体化したものである。②は信用貨幣の創造(略して信用創造)なのだから、②を含む①も信用創造になる。 ①の実例。 ハンコック銀行は、ハリケーンの被害を受けた地元住民のために、すぐに仮設の店舗を開き、手書きの借用書と引き換えに現金を貸し出しました。生活

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銀行の国債買いと銀行預金

この辺り👇の議論(市中銀行の新発国債買いと銀行預金の関係)を整理する前編。 政府が発行した国債を銀行が購入する場合、銀行は中央銀行に設けられた準備預金を通じて購入している。その準備預金は、中央銀行から供給されたものであって、民間部門の預金を集めたものではない。すなわち、政府の財政赤字は、民間貯蓄でファイナンスされてなどいないのである。 国債は、民間貯蓄によってファイナンスされてはいない。国債をファイナンスしているのは、中央銀行が創造した準備預金である。 財政赤字をファイ

国債は返さなくてよい?

昨日の記事の続き。これまでも何度か取り上げてきた「国債は返さなくてよい?」について。 山本議員の「政府は自分たちが作ったお金を社会に供給することができる」との説明は適切ではない。現行制度では政府は対民間支出の財源として通貨を発行していない。 満期になった国債を償還しなければならないのは当然だが、残高をゼロにする(完済する)必要が無いのは、 政府は国そのものの永続的存在(貸し手よりも永く存続する) 涸れない収入源がある(国民の経済活動+徴税権) からである。なので、毎年