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マネー・MMT

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MMTのルーツは新左翼思想
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2021年1月の記事一覧

銀行と悪魔

人間が悪魔と「◯年後に魂を渡す代わりに望みを叶えるための力をもらう」という約束を交わす話があるが、銀行がやっていることは悪魔と似たようなものと言える。 銀行が望みを叶える力の代わりに与えるものはカネで、魂の代わりに受け取るものは「与えたよりも多いカネ」である。 成功間違いなしのビジネスのアイデアはあるが、そのために必要なリソースを持っていない人は、銀行からカネを貸りて設備や従業員や原材料を揃えてビジネスを展開できる。ビジネスが成功すれば、借りたカネ(元本)と借り賃(金利)

中野貨幣論の問題点~貨幣の価値と国家権力

反緊縮・反構造改革の代表的論客である中野剛志の「害」の一つは、現実からかけ離れた貨幣論を精力的に広めたことである。 (以下、引用部分の強調は引用者) MMT の貨幣論は、金属主義あるいは商品貨幣説を否定し、表券主義を支持する。 金属主義とは、貨幣と貴金属の実物的な価値との関係を重視する立場であり、商品貨幣説とは、貨幣が商品から進化して成立するという主張である。商品貨幣説において、貨幣へと進化する商品とは、受領性の高い貴金属のような実物的な価値を有するものが想定されているた

反緊縮漫画は不正確

また反緊縮派の漫画家が不正確なことを書いている。 政府部門が資金余剰だと「国民のお金がどんどん減っていく」ので「どんどん経済が悪化する」としているが、昭和30~40年代半ば過ぎは政府は資金余剰だが国民生活はどんどん豊かになり、経済は高度成長した。 現代の経済システムでは、市中に「お金」を供給するのは民間銀行で、主な貸出先は企業である。そのため、企業部門の借入に伴う信用創造(money creation)が十分に多ければ、政府部門が資金余剰でも世の中のお金は減るとは限らない

麻生財務大臣と安藤議員のおかしな理屈

当noteの読者にはお馴染みの内容になるが、話題になっていたので取り上げる。 国は個人のような寿命がない半永久的存在なので、借金の返済期限は子や孫の代ではなくもっと先である。借金増による子や孫の負担増は利払費の分にとどまる。 一方、麻生財務大臣とは逆の立場の安藤裕議員もまた間違いを拡散している。 先日の記事で簡単に説明しているが、現行制度では、国債は「信用リスクゼロで中央銀行発行の通貨と交換できる債券(国の負債)」であって通貨そのものではない。 今回は簡単に図示する。

反緊縮派議員の3つの誤り+α

エコーチェンバー化した反緊縮派の旗手的な安藤裕議員が拡散している三点の誤りを指摘する。 税金は財源ではない日本が採用している世界標準の財政金融制度では、国(政府)は徴税または借入によって調達した現金(中央銀行が独占的に発行する通貨)を支出の財源にしている。下は日本の財務省の解説(「そのための財源」の「その」は行政活動のこと)。 国は、そのための財源として税金や国債等により民間部門から資金を調達して支出を行うといった財政活動を行っており、その所有する現金である国庫金を一元的

国債暴落と大逆転のシミュレーション

正月から変な記事だが、頭の体操としては悪くない。 「日本政府は、1兆ドルを超える外貨準備を持っていました。過去の為替介入の際に、円高ドル安を阻止するために買ったものです。平均単価にすると1ドル100円程度でしょう。それを本日、1ドル300円で売ることができました。それにより、現金300兆円を得ることができました」。 「日本政府は、額面1000兆円の国債を発行しています。それを本日、額面の3割の価格で買うことができたので、ドルを売って得た300兆円を使って買いました。結果とし