反緊縮漫画は不正確

また反緊縮派の漫画家が不正確なことを書いている。

政府部門が資金余剰だと「国民のお金がどんどん減っていく」ので「どんどん経済が悪化する」としているが、昭和30~40年代半ば過ぎは政府は資金余剰だが国民生活はどんどん豊かになり、経済は高度成長した。

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現代の経済システムでは、市中に「お金」を供給するのは民間銀行で、主な貸出先は企業である。そのため、企業部門の借入に伴う信用創造(money creation)が十分に多ければ、政府部門が資金余剰でも世の中のお金は減るとは限らない。

事実、マネーストックは減るどころかどんどん増えている。2020年の急増は特定定額給付金の寄与が大きい。

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政府の財政政策を批判するのは結構だが、極度に単純化した内容を拡散するのは止めてもらいたい。

反緊縮派に共通する欠陥は、財政政策と金融政策ばかりに注目して、民間企業の主体的な影響力の大きさを隠してしまうことにある。そのことを指摘するよりも、財務省や日本銀行を悪役として叩く方が信者ビジネスとしては正解なのだろう。

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