優しくされるのが気持ち悪い

「どしたん?話聞こか?」
これだけで大丈夫になってたらよかったよね。
信じた俺が馬鹿だった。

結局優しさっていうのは、ただ自分に人を救ったっていう価値を付けるための行為でしかないのだなって。
僕も昔はそうだった。人を救えるのは優しさしかない。だから、優しさというレッテルを自分に着けてやろう。と。
結局、僕はそのせいで壊れた。壊された。

優しさって、人によっては解釈が違うんだと思う。
ただ親切にするだけでいいってもんじゃない。
僕はそう思う。ただ寄り添うだけでいいとも言っていない。
僕みたいな人間は、求めていても体が拒絶してしまうんだ。
周りが明るすぎるから、自分が暗すぎるから。
光が強いほど闇は濃くなる。そういうこと。
だから、自分が見えない。自分が暗すぎて自分が見えてないんだよ。
大体の人間は、「自分のことは自分がいちばんわかってる」と言う。
だけどね、僕は違うんだよ。何も分からない。好きな物も、味も、感情も。

ぺんたぶらっく


ペンタブラックという物は、光を吸収しまくって黒いんだ。
反射がされてないから。
それは、優しさでも一緒。
僕が光を求めても求めても、埋まらない。反射できない。
だから、体が嫌がる。
反射できないから受け取りたくない。って。

でも、無理やり光を浴びせるのは違うと思う。
何も分からない僕でもそれはわかる。
一緒にご飯食べて、一緒に話して、それが彼女の優しさだったのだろう。
僕はそれが気持ち悪かった。

彼女からしたら、カイロのような暖かさ。そんな感じに表現すればいいのか。
熱くない、暖かい優しさを僕にくれていたのだろう。
だけど、僕は冷たい人間だ。物理的にも精神的にも。
どうせ、君も冷えてしまうんだからやめて。
僕はそう思ってしまう。

口に出すと、彼女は怒って消えてしまう。
それは、僕のトラウマだ。
「思ったことは口に出せ。」これは、僕が高校になってたから言われた言葉。だけど、使い方が悪すぎるせいで僕はこれを封じた。
これは僕なりの優しさ。いや、エゴに近い。

彼女は、暖かい人間だ。
だけど、エスカレートしていけばどうなる?
カイロは、降ると熱くなる。空気中の酸素をたくさん吸うようになるからね。
それがたくさん体に着いていたら?
それは、暖かいから熱いになる。人間はそれに嫌悪感を覚えるだろう。
僕もそうだ。

彼女の優しさはご飯とか、お話とかだった。
だが、それでも元気にならない僕に嫌気が刺したのだろう。
彼女は、僕にスキンシップとかを送るようになった。
一般的には、ボディタッチなどだろう。
僕は、女性がとても苦手だ。恐怖症とでも言えばいいだろう。
そんな人間が、体の関係を作れると思うか?

否、無理だ。
僕は彼女に体の関係を迫られた。
元気になると思ったのか。それとも、彼女なりの優しさか。それとも好意か。
真相は知らない。前と違い、彼女とは連絡は取っているが、真相を知ろうとは思わない。思いたくもない。
 

ちぇんそーまん


暖かいカイロは、人によっては傷となる。
現実でも「低温やけど」という言葉があるように。
貴方の思う優しさは、彼にとっての優しさなのか。

近寄ってほしいけど、近寄って欲しくない。そんな、僕みたいなめんどくさい人間にどのような優しさを配ればいいのか。
僕にはわからない。少なくとも、僕が分からないし。
そして、見ているあなたにも分からないだろう。貴方は僕じゃないから。


優しさって結局どんなものなのだろう。

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