アルツハイマー型認知症と生活習慣病の関連について
前回脳血管性認知症に関する記事を書かせていただきました。
脳血管障害は、脳の血管が血の塊により、梗塞され脳細胞に栄養がいかなくなり、細胞が壊死する脳梗塞。
脳の血管が破れ出血し、その血液が脳細胞を圧迫し壊死させる脳出血が原因です。
この脳血管障害は糖尿病や高血圧といった生活習慣病が原因で起こります。
しかし、この生活習慣病ですが、実はアルツハイマー型認知症とも関わりがあります。
今回は、羽生春生さんという方が2013年に出した論文認知症と生活習慣病という論文をもとにお話していきます。
生活習慣病とは?
認知症との関連をお話しする前にまず生活習慣病について解説していきます。
厚生労働省のホームページには以下のように定義されています。
「生活習慣が原因で起こる疾患の総称。重篤な疾患の要因となる。」
この生活習慣は、運動不足や喫煙、飲酒、ストレスなどなど、生活環境や日々の習慣が深く関与しています。
ひと昔前は成人病と呼ばれていました。1996年に生活習慣病と呼ばれるようになったそうです。
この生活習慣病、暴飲・暴食、タバコスパスパ、人生イライラで不健康なイメージがありますが、そんな甘いものではありません。
日本人の死因である、がん・脳血管障害、心疾患に関わります。
特に脳血管障害と心疾患に関わる動脈硬化、脂質異常、糖尿病は全て生活習慣病です。
アルツハイマー型認知症と生活習慣病
高齢者は一見元気そうな方はたくさんいらっしゃいますが、身体疾患を沢山合併している特徴があります。
Doraiswamyという方は、70〜80代の679例アルツハイマー型認知症の患者のうち61%は3個以上の身体疾患を合併し、認知症が重症化になるにつれ合併症が増えていると報告しています。
この報告と私の経験を照らし合わせてみると、確かに認知症の方は何かしらの疾患や生活習慣病を抱えています。
そして、認知機能の低下が重度かするとBPSD(周辺症状)が出現し転倒や意欲低下など様々な要因が重なり、転倒が増えるケースが多いように感じます。
BPSDに関してはこちらの記事もご覧ください。
平均年齢78歳のアルツハイマー型認知症の方、178例調べた方の報告で、内科疾患を合併されていた方が多かったそうです。(何例かはわかりませんでした)
しかし、この内科疾患の多くが生活習慣病で、高血圧が42%、糖尿病が19%、脂質異常が48%とかなり多い様子でした。
この血管に悪さをする疾患(高血圧や糖尿病など)は脳血流量を低下させてしまいますので、脳虚血や血管性病変の悪化に関与してしまいます。
そうなってくると脳の機能は低下するので認知症の進行が加速されてしまいます。
正直な話、生活習慣病に関しては主治医が何かしらの治療をしています。(薬剤の調整など)
しかし、適切な治療をされていたとしても、血管に対する危険因子を持たない人と比べ、生活習慣病がある人は認知症の進行が加速されると言う報告もあります。
やはり、この脳機能のポイントは血流にあるのかもしれません。
個人的な見解
高血圧や糖尿病は血管に悪さをします。
となると、認知症の悪化もですが、まず脳血管障害の危険性が高いです。
アルツハイマー型認知症もですが、脳血管性認知症の悪化のリスクにもつながります。
高血圧によって,アテローム硬化や細動脈 硬化からついには脳血管性病変の発症につながり,脳血 管性病変の存在が認知機能障害の発症閾値を低くする.
※閾値 感覚や反応や興奮を起こさせるのに必要な、最小の強度や刺激などの量。
と言う報告もあり、高血圧により、認知機能の障害が起こりやすいことが考えられます。
糖尿病も血糖値が下がらず、血管内にドロドロの血液が流れ続けますので、血管が弱るのは容易に想像できますよね。
やはり、血流が悪くなると脳の機能障害も起こりやすいのでやはりこの疾患も関与していることが考えられます。
生活習慣病の原因である飲酒、喫煙はどれも血管に悪さをします。
そして暴食も脂質を多くとると、やはり血管に悪さをします。
ものすごい血管トークみたいな感じになりましたが、血管って大事だなと書いてて思いました。
最後まで読んでいただき有り難うございました。
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