対談「子どもたちの生きるチカラを育む教育を支援」~前編~
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対談「子どもたちの生きるチカラを育む教育を支援」~前編~

社会をよくしたい企業と社会的な意義・理念を持つ会社で働きたい優秀な人材をつなぐキャリアプラットフォームGreen Greenでは、皆さんに多くのソーシャルグッドな会社をご紹介したいと考え、GreenGreenラジオをはじめました。

2021.7.7の第1回では子どもたちの未来をより良くする教育事業を展開する「教育と探求社」代表取締役 宮地 勘司さんをゲストスピーカーにお招きして開催。教育に向けた熱い思いと共に、企業としてどんな人材を求めているか、選考過程なども含めてたくさんのお話を伺うことができました。

答えを自ら探すことが大事~クエストエデュケーションとは~

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――高藤

今日はよろしくお願い致します。さっそくですが最初に会社について教えていただけますでしょうか。

――宮地代表

はい、私たちはクエストエデュケーションという学校向け事業を中心とし、社会人向けの教育CSR、企業向け社員研修なども行っている会社で「教育と探求社」と申します。2004年に創業しました。

――高藤

「教育と探求社」という会社名はちょっと珍しいというか、インパクトがある社名ですね。

――宮地

会社を立ち上げるときにブレストしたんですが僕がエデュケーションの頭をとってEducaはどうだろう?と言ったら別のメンバーがQuestと提案し、英文社名でEduca&Quest社となりました。ただちょっと響きがかわいすぎるし、長いなと思いまして。

校長先生にはなかなか覚えてもらえないかと思い(笑)そのまま和訳して「教育と探求」でいいじゃないかということになりました。

――高藤

最初から教育には探求が必要だと考えていらっしゃったのですか?

――宮地

ええ、人は自ら学ぶとき最も学ぶと思っていましたから。そのような学びを実現するプログラムとして「クエストエデュケーション」を開発し、全国の学校に届けるというのが創業当時からの私たちのミッションです。

――高藤

最近では探究学習は教育業界で盛んに取り上げられていますが、御社の創業時、17年ほど前にはまだまだ話題にものぼっていなかったことですよね。

――宮地

そのとおりです。いわゆる「探究学習」は、今回の学習指導要領改訂にも盛り込まれており、文部科学省も推進していますが、当時は「キャリア教育」というようなことが言われ始めた頃で、「探究」とか「探求」とか言う人はまだいませんでしたね。最近よく言われる「正解のない学び」は17年前の創業時から提唱していました。からこどもたちが自ら正解を見つけ出す学びこそ、探究学習です。

ちなみに弊社では「探究」と「探求」を使い分けています。「企業探究」みたいに明確な対象について探索的に学ぶ場合は「探究」を、その結果、仕事とは何か?人生とは?とより抽象的なテーマを自分ごととして考えていくことを「探求」と呼んでいます。

――高藤

クエストエデュケーションではどんなことを行っていらっしゃるのですか?

――宮地

学校にカリキュラムを提供しています。具体的には、生徒が探究学習に取り組むためのワークブックや動画教材、それからそれを実施するための教員研修を行っています。例えば「コーポレートアクセス」というプログラムでは、生徒たちは、パナソニックや大和ハウス、カルビーといった実在の企業に教室にいながらインターンします。自分が希望する会社を選び5,6人のチームを組みインターン先企業についてフィールドワークやアンケート調査を行って報告書を作成します。

生徒ア

その後、各企業から生徒たちに向けて「ミッション」と呼ばれる課題が与えられるので、チームで取り組み、話し合いながら自分たちならではのオリジナルの答えをみつけていきます。最後はつくりあげた企画を企業に向けてプレゼンテーションします。

探究学習のゴールとして、クエストカップ全国大会も開催しています。

――高藤

なるほど、数日の職業体験のようなものはよくありますが、1年間という長いスパンで実際に企業と関わりながら、企業活動や経済社会について学ぶわけですね。

――宮地

もっと短期間のコースもありますよ。先ほどお伝えした「コーポレートアクセス」は24コマですが、3コマ、4コマで実施できるものもあります。創業時は2コースだけでしたが、今はテーマごとに4つのコースと10のプログラムがあります。

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実在の企業、夢を成し遂げた先人たち、社会課題、スタートアップと生徒が取り組むテーマは多様です。授業の最初の頃は生徒たちの温度は低いですよ。「会社なんて興味ないし〜」みたいな感じで(笑)

ところがカリキュラムを進めていくうちに、子どもたちが変化します。例えば、大和ハウスから「人が生きる原点を支える新商品を提案せよ!」みたいな課題をもらい、「人が生きる原点」っていったいなんだろうねと考えはじめ、そこには正解も予定調和もなく、自分たちが本気で考えたことを提案すればいいんだということに気づきだすんですね。次第に他人事ではない「自分ごと」として積極的に取り組むようになるんです。そうした子どもの変化、成長が素晴らしいといつも感動します。

生徒たちだけでなく、先生も変わっていく!

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――高藤

授業の動画を拝見したのですが、子どもたちだけでなく、学校の先生や企業の側にも気づきがあるんですね。

――宮地

そうなんです。先生も変わります。それは生徒の大きな変化を目の当たりにするからです。

最初は全然乗り気でなくて意欲も見せなかった生徒がプログラムを通じてガラリと変わっていく。「企業とかメンドクサ〜」などと言っていた生徒が、プログラムを終える頃には「企業はお金儲けのためだけに存在しているのではない」とかいい出すわけですから、ああ、こんなに人って変わるんだ、と先生も体感し、先生方の教育観や人間観も変わり始めるのです。

そうしてひとりの先生が変わると、その先生が教える国語や理科などの教科も変わり始めます。単に板書して滔々と話すだけのチョーク&トークといわれる授業から、生徒の気持ちの動きや小さな変化に目を配りながら対話型の授業を行うようになってきます。「学び手」である生徒が中心となる考え方が浸透し、学校の文化も変わりはじめるんです。

――高藤

最初はまったく興味をもたなかった生徒たちが変化していくって、それがまさに教育ですよね。

――宮地

先生というのはどうしても予定調和的に子どもを導こうとする、だけど先生が自分も正解を知らないという前提に立てば、子どもも主体的に考えるようになる。

意見が出てきてフィードバックをもらって、また考えを変えていく、問いかけては答えを見つけていく、そのループが大事なんです。

勉強ができる、できないといったこと以上に、こうした自分から学ぶ姿勢によって、突き抜けるパワーが生まれてくる。それが未来をつくる力になると思うのです。

社会のダイナミズムを子どもたちに感じてほしい

新聞

――高藤

17年前から、今まさに話題になっている探究学習を子どもたちに届けようとスタートしたというのはすごいですね。

――宮地

起業したのは、ちょうど僕が41歳の年。厄年だったんですよ。厄あたり、というらしいのですが、厄年に大きなことをしでかすと厄落としになると後から聞きました(笑)

それまでは日本経済新聞に勤めていました。新聞記者ではなく、営業職だったのですが、日経新聞を使ってどんなビジネスができるかということを考える仕事をしていました。新聞社で働くということは、社会で起きていることを最前線で見ているという面白さや興奮がありましたね。

子どものころの自分は、学校の授業はつまらないなとずっと思っていたのです。

だけど、新聞社での経験で、社会のダイナミズムはとても面白いと感じていたので、これを教室に持ち込んだら、子どもたちはきっとワクワクして、寝ている子どもも起き出して、勉強が苦手とか思っている子たちも興味をもって動き出すのではないか。そうと考えたのが、教育と探求社設立のきっかけというか、根本にあるものです。いきなりですけど夢の話をしてもいいですか?

――高藤

夢の話ですか?夜寝てるときに見る夢ですよね?

――宮地

ええ、ある日夢を見たんですよ。ユニクロの柳井さんなど日本を代表する経営者が私の夢に出てきて、「ビジネスって最高に面白い!」「人生はダイナミックで生きる価値がある」みたいなことを話していて、それをすごい数の若者たちが目を輝かせて聞いている、という夢なんです。

ああ、これはすごい面白いぞ!と目が覚めてすぐにメモをしましたね。なにしろ新聞社の企画マンでしたから、「夏休みに高校生を集めて、いろいろな経営者に参加してもらってサマースクールを開催したらどうだろう」と思いついたのです。

――高藤

なるほど!夢に見た光景を実現させようと考えたのですね。

――宮地

はい。紆余曲折がありましたが、いろいろな人の協力があり半年後に「日経エデュケーションチャレンジ」というイベントができました。全国から高校生を募り、企業の経営者や開発者が彼らに授業を行う企画です。まさかの自分の夢が本当に実現したわけですから感動しましたね〜。おまけに参加した高校生がその後素晴らしい活躍をしてくれました。

このイベントをきっかけに猛勉強して東大に入っ大て学内にロボットベンチャーを作ったんです。さらに彼らが作った災害支援ロボットが世界大会で優勝してですね、その後そのベンチャー企業はGoogleに買収されました。その子は今、Googleの社員としてロボット研究していると思います。

また、途上国の貧しいこどもたちに学習支援を行うNPOをつくった子もいます。彼は「前へ!前へ!前へ!」という本を出しているのですが、そこに書いてあるのは、偏差値28だった自分が「日経エデュケーションチャレンジ」というイベントに参加して意識が変わった。自分もキラキラした大人になりたいと猛勉強して、早稲田大学に合格!、自分も予備校の映像授業で大学受験を突破したからと受験競争の激しいバングラデシュに渡り、山間部に住んでいる貧困層の子どもたちに自分たちでつくった映像授業を届けました。学んだ子たちの中から次々と難関大学や国立大学への合格者を出し、「バングラの軌跡」地元新聞に掲載されました。そんな子もいるんですよ。

あの日の夢から着想したイベントが、生徒たちの内側を刺激し、何かを呼び覚ました。そして彼らの人生が大きく動いたわけです。そのことに僕自身、たいへん興奮しました。

これを機に私の意識も大きく変わりました。最終的にはスピンアウト、起業ととつながっていったのです。

――高藤

なんだかすごい話ですね!

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前編はここまでです。後編はこちらからお楽しみください!

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■プロフィール■

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宮地勘司

株式会社教育と探求社代表取締役社長
一般社団法人ティーチャーズ・イニシアティブ代表理事

1963年長崎県生まれ。88年立教大学社会学部卒業。同年、日本経済新聞社入社。02年、自らの起案により日本経済新聞社内に教育開発室を創設。新聞資源を活用した教材開発に取り組む。

04年11月、教育と探求社を設立し、代表取締役に就任。アクティブ・ラーニング型の探究学習プログラム「クエストエデュケーション」を開発し、全国の中学・高校に提供。年間約250校、4万5千人以上の中高生が学校の授業の中で同プログラムに取り組んでいる。

2015年、予測困難な時代のなかで、教師こそが答えのない学びの実践者となり、自ら学び続けることを支援するため、一般社団法人ティーチャーズ・イニシアティブを設立。代表理事に就任。

著書に「探求のススメ−教室と世界をつなぐ学び」 
共著に「この先を生む人−ティーチャーズ・イニシアティブの記録


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