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社会トレンド・課題と広報PR担当者はどう向き合うか?2019年の集大成となったLT大会#24@ヤプリ

この記事は【広報LT大会(Lightning Text) #PRLT Advent Calendar 2019】の第23日目(12月23日分)にエントリーしています!

PRLTのブースター担当、さえきちです!12月17日(火)、第23回PRLTが開催されましたのでその模様をお届けしていきます。

今回のテーマは、『国の政策・マストレンドを活かす』。ステークホルダーと信頼関係を構築し、継続していくPR活動には、広聴(経済環境や社会情勢の受信)・広報(メッセージの発信)の双方向コミュニケーションが不可欠だと言われています。

2019年は、各業界で直面する社会問題や法改正だけでなく、今年は改元、消費税増税、オリンピック、台風被害など大きなニュースが絶えない 1年でした。そんな2019年。どんな社会課題やトレンドに向き合いPR活動をしてきたのか?今回も8名の方がLT登壇し、各々の実体験や気付きをシェアしてくださいました。

【会場提供】
PRLTは、毎回異なる会場での開催を実施しています。今回は、アプリ開発・制作をクラウドで実現する株式会社ヤプリさんの会場をお借りして開催いたしました!

会場には、Yappliを導入されている企業さんのインタビュー冊子があったり、写真撮影時に使えるヤプリさんオリジナルのフォトプロップスが準備されていたり…ヤプリさんのカルチャーが表現されていました。大変素敵な会場をありがとうございました!!

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株式会社ベアーズ 服部祥子さん
『社会課題をどう切るかでPRは決まる』

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1人目は、家事代行サービスのリーディングカンパニー・ベアーズ広報の服部さん。

広報として目指しているのは、家事代行のリーディングカンパニーとして自社の認知にとどまらず家事代行サービスの認知拡大に努め、市場成長を牽引すること。「そのためには社会文脈の中で自分たちの価値や存在理由を伝え続けるのが大事」と意識してPRを実践されているそうです。

たとえば…
■「老後2000万円不足問題」が話題になった際には、主婦や高齢者の積極採用について情報発信してマスメディア露出にも繋がった

■日本初のポストプライシングサービス「あと値決め」が開始される際には、初回から参画した

重要なのは、「広聴」世の中の動きを理解して社会的意義を伝えていくこと。家事代行と関連した社会的話題についてのファクトブック制作し、必要があればすぐに記者へ事例や情報を渡せるよう整理しているそう。

「社内社外をどのように繋ぐかが広報に問われているので、これからもさまざまな連携をしていければ」とのことで2020年のさらなる躍進が楽しみです!

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株式会社デザインワン・ジャパン 仲島由佳子さん
『増税に便乗!キャッシュレス決済の導入実態に関する調査の需要がスゴかった話』

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国内最大級オールジャンルのお店検索 口コミサイト「エキテン」を運営しているデザインワン・ジャパンの仲島さん。

2019年に広報を立ち上げられたばかりということでしたが、、今年大変話題になったキャッシュレス決済に関して「エキテン」内で実態調査を実施。→日経MJ等で大きく取り上げられたそう。

キャッシュレス決済が話題になる半面、商店街などの店舗での広がりについての導入実態が把握されていないと気づいた仲島さん。商店街のお店なども参画していて、日本全国の中小事業者の会員ネットワークがあるという「エキテン」のネットワークを生かして、自社サービス内で一次情報を集め発信したところ非常に需要があったそうです。

特に仲島さんが強く意識しているのは、「メディアと協力して、読者が興味がある情報を伝える姿勢」とのこと。求められている情報の切り口を正しく捉えて、渡した一時情報は非常に重宝されそうです。

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クックパッド株式会社 牛山マーティンさん
『「社会的文脈に載せる」ために意識にしてやっていること』

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新規事業PR担当で、現在は主にクックパッドマートを担当されているというマーティンさん。まず最初に取り上げたのはPR Tableのイベントで出会い非常に共感したというこちらの言葉。

クックパッドも、「レシピの会社」ではなく「毎日の料理を楽しみにする」というミッションを達成するために会社として存在しているという認識とのこと。(定款にミッションの記載があり、達成したら解散すると書いてあるそう…!)実際に料理に関する課題マップを作成するなど、料理の課題について非常に真摯に向き合っていました。

だからこそPRでは…「社会的文脈にのせる。誰のどんな課題を解決するのか」をきちんと考えるようにしているそうです。ついついサービスの利便性や特徴をPRしがちですが、企業文脈だけではなく、伝えたいことを社会文脈に変えることを意識されています。

では、具体的にはどんな点を意識しているのでしょうか?

1解像度の高いストーリーで伝える。
誰のどんな課題を解決するのかを明確にする。
2社会への必要性を示すためにFACTを活用
その問題は本当に存在するのか?どのくらい大きいのか?のファクトを提示。
3何度も繰り返し伝える。
1回じゃ伝わらない。100回目でやっと伝わることもある。
4サブ文脈で話題を広げる
メインの文脈が太くなってきたら枝葉に広げよう。

今回、なんとLT登壇前に資料をアップしてくださっていたマーティンさん。エッセンスがぎっしり詰まっているのでぜひぜひこちらもご参照ください!

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株式会社PR TIMES PR TV事業部長 三浦和樹さん
『2019年をプレスリリースで振り返ってみた件』

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お世話になっている広報さんも非常に多いだろう「PR TIMES」で、PR TV事業部長をされている三浦さん。「PR TIMES」は、日本で最もプレスリリースが流通するプラットフォーム。なんと月に15943本、月間ページビュー2100万回(※配信本数は2019年10月、月間は2019年11月の数値)というまさに情報の宝庫。今回は特別にプレスリリースから分かったトレンドについて明かしてくださいました。

■2019年は「改元」にあわせたリリースが非常に盛り上がった
新元号、改元、令和、平成最後などを含んだリリースが約1200(※2019年4月1日~5月1日正午まで)公開されて大変多くの企業が改元に絡めたプレスリリースを公開しました。
※去年のクリスマスで約800くらい

■PRTIMESの2019年検索ワードランキングのトレンドからわかる2020年
・「働き方改革」おおよそ20位で一定
・「地方創生」微増
・「令和」はインパクトがあったが短いトレンドだった

一方で…その中でひときわ伸びたワードは…「SDGs」でした。
検索ワードランキングは、5月91位から12月24位に急上昇。

一方で、SDGSを積極的に取り組んでいるや会社はどこですか?という質問に答えられないというひとは8割にのぼるそう。SDGsに取り組む予定がある企業は、きちんと社会的文脈に絡めて情報を発信するのが重要かもしれません。

ほか、PRTIMES自身も社会とサービスの関わり方を考えた取り組みを実践しており、台風19号接近の際には事前・事後の無償提供を発表するなどされたそう。

最後に、哲学としてこんな言葉を紹介されていました。

―企業が行うあらゆる行動は「メディア」である。(-Jim Stengel (2013). GROW)

企業が行うあらゆる行動は、あくまで「社会との媒介」である、であれば私たちは何をしていけばいいのか?と改めて考えるきっかけとなるLTでした。

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ユニオンテック株式会社 水間藍子さん
『自治体との緊急対応PRで学んだこと』

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「世界一、魅力的な業界を作る」をビジョンに掲げるユニオンテックで広報をされている水間さん。内装工事会社でありながらネット事業も行っている20年目の建設テック企業。リアル事業としてオフィスやクリニックの内装に取り組んできましたが、業界全体の課題を解決するために3年前からネット事業に着手。ネット事業を開始1万2千社ほどの会社に登録いただいているそうです。

そして今回は、台風15号被災地支援に関する取り組みに迅速に取り組み、そしてそこで学んだ点についてシェアしてくださいました。今回は会場内のみでのLTとしてお話してくださいましたのでレポではここまで。

最後に…緊急災害対応時はいろんな判断を迫られることになりますが、その中で大事にしていたのは下記の点。
・第一に被災者の方が1日も早く、安心した生活を送れること
・第二に現場で働いてくれている施工管理会社さん、職人さんに取り組みを通して仕事に誇りを持ってもらう

瞬時に判断しなければならないからこそ、「今何が最も大事なのか」を言語化し共有し真摯に向き合うのが非常に重要とわかりました。実際に実体験を以てお話してくださった非常に貴重なLTでした。

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一般社団法人CSRコミュニケーション協会 安藤光展さん
『CSR広報と「ステークホルダー・ファースト」』

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一般社団法人CSRコミュニケーション協会で代表理事を務めている安藤さん。CSRやSDGsが専門家である安藤さんが、その概念について改めて非常にわかりやすくお話してくださいました。

・CSRとは?
CSRとは「責任あるビジネス(Responsible Business)」であり、のことであり「良い会社になるための経営手段」である。CSR活動とは「社会・環境へ与えるネガティブな影響を最小化し、ポジティブな影響を最大化すること」である。

・CSRと広報の関係
企業は社内外のステークホルダーから、さまざまな利害や期待・要請を受けている。ステークホルダーごとに異なる情報ニーズに応えることで評価獲得し、社会性の高い企業であることをアピールしたい。つまり…「CSR広報 ≒ PR」と捉えられるそう。

CSR広報の要訣は、「ステークホルダー・ファースト」(利害関係者第一主義)であること。ステークホルダーが主語になる施策こそ、最も社会的価値のある活動となりうる。

そこで考えたいのは…今日の自分自身の仕事を振り返り
・どのステークホルダーを喜ばせたのか?
・どのステークホルダーの役に立ったのか?
・どのステークホルダーに感謝されたのか?

そしてその広報施策は、「どのステークホルダーのためになるんだっけ?」という問いを常に忘れずに立てるべし。というCSRの観点から広報として意識すべきことをお話してくださいました。ついつい自社主語になった視点になっていないか、「問い」の気持ちを忘れずに取り組みたいと感じました。

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株式会社issues 廣田達宣さん
『創業期のPoliTechスタートアップが教育ICT推進の政策提言キャンペーンをやってみた話』

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「メディア露出の話ではありません!広義のPRとして政治・行政とのコミュニケーションのヒントに...」という一言から始まったのは、Politech(政策×テクノロジー)スタートアップの株式会社issues代表の廣田さん。2019年に挑戦した政策提言キャンペーンの裏側と、そこで学んだことをシェアしてくださいました。

秋から実施したこの施策は、3つの視点でのコンテキストを掛けあわせた取り組みだったそう。

・社会のコンテキスト
年間約5,000人の教員が心の病で休職。教員の働き方改革は急務!

・パートナー企業にとってのコンテキスト

今回のパートナー企業は、中高生向けにデジタル問題集を提供する「Libry(リブリー)」。宿題の配信・回収・集計を効率化する機能で実際に1日2時間以上残業時間を削減した事例も。教員の働き方改革推進のため公立中学校にもLibryを広げたいが、全国1,700自治体への個別アプローチは困難。

・政治・行政のコンテキスト
今臨時国会でも「給特法」、1人1台パソコン、「未来の教室」プロジェクトなど、政府は教員の働き方改革やICT推進をしたい。一方で、実際の変化を起こすためには自治体や教育委員会を動かす必要がある。

そしてこれらのコンテキストを踏まえて実際に取り組んだのが上記キャンペーンだったそうですが、開始から数か月ですでに複数の自治体で議員の方々が動き始めてくださっており好調とのこと。

また、今回の取り組みで学んばれたことはこちら。

①政治・行政のコンテキストを捉えるには仮説を作ってインサイダーに当てるのが良い
実は当初検討していたのは「重たいカバン問題」というコンテキスト。しかし、2名の議員に事前に相談したところ、自治体によっては「置き勉」で解決済みなどということがわかり軌道修正した。)

②思わぬ副産物が得られたby Libry広報・青山さん
今回のキャンペーンをきっかけに、社会課題に真摯に向き合っている企業とみられるようになり企業のブランディングに寄与。これをきっかけに大手の企業や業界団体からヒアリングを受けることも。

「社会課題の解決」に向き合う際に、どの課題を解決するのが自社にとってベストなのか?その解を見つけ出すのが非常に難しいと感じます。しかし、issuesさんのように3つの視点で切り分けてさらに段階を踏んで見出すという方法は大きなヒントになりそうです!

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クックパッド株式会社 コーポレートブランディング部部長、クリエイティブクッキングバトル(CCB)代表
横尾祐介さん『国や社会も振り回す「本質的リレーション」とは』

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最後のLT登壇者は、クックパッドさんで行われているクリエイティブ・クッキング・バトル(CCB)立ち上げ及び代表の横尾さん!

クリエイティブ・クッキング・バトルは現在、小学生から社会人まで参加しており累計参加者1,000名以上、参加企業100社以上、メディア露出も多数、日本だけでなくオランダでも開催されるなど大変な盛り上がりをみせています。そんな企画を生み出した横尾さんが、企画を考える際に大事にしている視点についてお話してくださいました。

【クリエイティブ・クッキング・バトルとは?】
残り食材を工夫して自由に料理する能力に焦点を当てた、エンターテインメント型フードロス解消イベント。使える食材、調理の時間も制限されるからこそ、考える。チームの仲間と協力して、競い合うことでワクワクが増していきます。

社会課題解決に向けて日々さまざま活動されているのに、「セミナーに人が集まらない」「サービス使う人が増えない」などなかなかうまくいかないケースも多い。しかし、うまくいかない原因を翌々考えてみると大抵は、「内容」ではなく「コミュニケーション」にあるという考えに行きついたそう。

ではコミュニケーションとは何か。

横尾さんが考えるコミュニケーションの基本はキャッチボール!!
(なんと実際にボールを活用して説明してくださいました)

ボールを情報、キャッチボールをコミュニケーションとしてとらえてみると…あまりにも大きいボール(情報量が多すぎる、難しすぎる)でのキャッチボール(コミュニケーション)はうまくいかないことが理解できます。

では、どのようなキャッチボールを心がければよいのか?
重要なのは、相手にとって価値があって受け取りたくなるボールを投げられていること。

一方で、世の中の多くの企画は…あたまでっかちで、つまらないから新規流入につながらない現状。企画を考えるうえで非常に重要なのは、「状況よりも変えるより心を揺さぶること」

具体的に横尾さんがCCBで学んだのは、思考を捨てるということ。
頭でグルグルと考えるのをやめて、「本当にその企画面白いと思ってる?」と考えるのが重要。人が1日に判断するのは、なんと2500^10000回!情報量があふれている日々の中で、論理的に説明しなければよさがわからない時点でその企画は弱いのかもしれません。

最後には、「あなたのそのボールつい受け取りたくなりますか?楽しい部分、気持ちいい部分をもってますか?状況を変えるより、心を揺さぶれ!楽しんでPRしていきましょう」と力強い言葉で締めくくられました。頭でっかちにならず、心を揺さぶるPRに取り組んでいきたいですね。
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2019年は、各業界で直面する社会問題や法改正だけでなく、今年は改元、消費税増税、オリンピック、台風被害など大きなニュースが絶えない 1年でした。

そういったなかで、各企業がどのように社会と向き合い、なお今も課題解決に取り組んでいるのか生の声を聞けた非常に貴重な時間となりました。
登壇くださった皆様、素晴らしいLTをありがとうございました!(よっ)

#Special Thanks

【助っ人のみなさま】
・PR TIMES わたりかさん
・PR TIMES 杉本秋さん
・かずちさん

そして、今回たくさんの参加者の方が片付けも手伝ってくださったので大変スムーズに解散できました!ありがとうございました。(よっ!)

【Togetterまとめ】
大泉さん(@beajourneyman)がTogetterで #PRLTツイートをまとめてくれました !(よっ)

【要点まとめツイート】
#きょうのPR ツイートで話題のサワディーさん(@sawayakasawa_d)
が、LTのまとめツイートをしてくださいました!(よっ)

# 次回は2月20日開催
次回開催のPRLTも参加者受付中!
「きょうだけはシェア厳禁?!(おそらく) オフレコだらけの広報LT大会 #24 ~ 裏PRLT ~@クックパッド」

ついに開催累計20回を越えたPRLT。今回はこれまでにLT登壇経験がある方限定で参加できる裏PRLTを開催することといたしました!オフレコ話もどんとこい。コンパスを公開次第お知らせしますので、皆様のご参加お待ちしております

【お知らせ】 LINE@運用しています
PRLTでは新たに「LINE@」を立ち上げました!(よっ)

会のお知らせや運営とのやり取りなどが簡単にできるようになるので、ぜひぜひ、こちらのリンクから、もしくは下記のQRコードから友達追加をお願いします。

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PRLTはこれからも皆さんと一緒に、ココロオドルPRを探求していきたいと思いますので2020年もよろしくお願いいたします!!

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