第2章〜東京拘置所編 第6犯 〜 【オヤジ】
警察署と拘置所では未決囚(被疑者)に対する扱いが異なる。
日本は逮捕者の90%以上が有罪になるから、拘置所にいる時点でほぼほぼ犯罪者というのが確定されてる。
冤罪だって騒ぐ人もたくさんいるけど、みんな有罪判決を受けて懲役が確定していく。
だから我々に対する当たりが強い笑笑
ちなみに留置所では警察官に面倒を見てもらうけど、拘置所からは刑務官にお世話になる。
そんな刑務官から受ける最初の洗礼は「身体検査」。
素っ裸になるのは当たり前で、チンコに玉が入ってないかまじまじと見られ、さらには前かがみになって肛門を見せるように指示を受ける。
俺のように神経が図太い人間でも、みんなの前で肛門を晒すのはま〜ま〜恥ずかしい。。。
精神的に弱い人なんかはこの時点で泣いたり暴れたりしてどっかに連行されていた。。。
そんなこんなで身体検査をはじめ、色んな手続きを経て拘置所で自分が生活する舎房(部屋)に連行される。
ここで一つ「懲役用語」を紹介しましょう。
【オヤジ】だ。
拘置所は行動範囲が非常に少ない。
・舎房(部屋)
・風呂
・運動場
・面会室
・裁判所
・人によっては取調室
・人によっては懲罰室
こんなところだ。
この中で生活圏は舎房に限定される。
この舎房がある範囲一帯を世話する担当刑務官
それが「オヤジ」だ。
ちなみにこのオヤジという呼び方は、バカにした言い方じゃなくて敬意を込めた意味で使われている。
で、このオヤジを通して自分の願い事などを各所に提出してもらう。
例えば
{部屋の石鹸がなくなったから一個いただきたい}
という場合のように、自力で解決できない部分は全部【願い事】という形でオヤジが一手に処理する。
クソガキの面倒を見るオトンって絵面が良く似合う。
オヤジの有り難味が分かるのは刑務所での話なので、
その件は後ほど書きたいと思います。
僕は拘置所で独居房だったので、話し相手がいませんでした。
多人数で生活する雑居房もあるのですが、そちらの方には割り振られませんでした。
基準は全くもって分かりませんが従う他ありません。
そして独居生活も3日目を過ぎると一人が好きな俺でも流石に人恋しくなる。
なにせ話し相手が自分しかいないので結構しんどい。
俺が拘置所入りしたのは金曜日。
土日は何もないから月曜日まで人生で一番暇な時間を過ごすことになる。
こんな時に「幽☆遊☆白書」の仙水みたいな多重人格者だったらと何度思った事か笑
当然部屋にテレビはない。
ラジオとクソつまらない本だけで耐え凌ぐしかない。
両隣のおっさん二人もブツブツ言ってたからきっと末期症状なんだと思う。
そんな状況なので、オヤジと話す時間がめちゃくちゃ貴重な時間だということは言うまでもない。
そんな気持ちを分かってか、オヤジも一人一分くらい話して回っていたようだ。
きっと心理的にも「オヤジ」なんだと思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?