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第3章〜川越少年刑務所編 第2犯〜分類後期はセンター2工場

ド派手に書き忘れていましたが、川越少年刑務所に来て新たな称呼番号を頂戴致しました。
【1434番】
これがこの先3年間の俺の川越番号だ。

4週間の分類も半分が過ぎた。めでたく何の問題も起こさずに分類の前期から後期にアップグレードされたのだ。
前期と違って後期からは工場体験として分類生のみの工場が用意されている。
ここで実際に工場で働くためにシミュレーションをするわけだ。

俺はセンター2工場という工場に行かせられた。
ここは俺と同じタイミングで川越に来て、俺と同じようにさかもっちゃん(※全話参照)に洗礼を浴びた奴らだった。
人数は40人だったと思う。
加えてセンター工場専門の掃夫が2人いる。
おや?こいつらは前期の奴らと違っていい奴っぽいぞ?両方メガネだし。
この2人はオヤジに代わって俺らの作業の指導や在庫管理などをしている。
あとこんな地味な作業にも給料が発生するわけだが、受刑者一人一人の労働時間などを細かく記録し管理している。
我々に一定レベルの指示を出すことも許可されている、控えめに言ってエリート戦士だ。
このエリートへの道は仮釈放への近道だと教えてもらっていたので、この分類も気を抜けない。という話は第4章で。

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まず朝食を貪った後に荷物をまとめるよう言われる。
3秒もあれば迅速な引っ越しができる程度の荷物しか持っていないのでサクッとまとめる。
次々に各舎房の鍵が開けられていき、全員舎房から出るように指示される。
一斉に連行されるのは分類後期になった奴が暮らす舎房だ。もちろんワンルームトイレ付き。
ここに荷物を投げ入れたのち、更衣室に案内される。
更衣室と言っても受刑者が舎房衣装から工場衣に着替えるための部屋だ。
「検身所(けんしんじょ)」と呼ばれている。
ここの手順は一風変わっている。

【一般的な刑務所の検身手順】
1、一箇所から順番に入室する
2、自分のハンガーに今着ている服をかける。
3、パンツ一枚になり工場衣が吊るしてある隣の部屋に向かう。
4、部屋の前に立ちはだかっている刑務官に検身してもらう。
 →左手の人差し指と親指にサンダルを引っ掛ける。
 →右手にTシャツを持つ。
 →検身刑務官に向かって両手を前に出して称呼番号を言う。
 →両手の平を自分の胸に当てる(手の甲を見せる意味) 
5、検身の刑務官が「よし」と言ったら自分専用の工場衣に着替える。
6、速やかに検身所から出て整列して待つ。

こんな感じだが何よりも重要な点がある。
「最速で」
である。刑務所なんて時間が有り余っているのに、なぜかこういうとこだけは必要以上にキビキビさせられる。
もちろん遅い奴はイジメの対象である。
そしてこれを工場の行き帰り行う。
もちろん出所までずっとだ。

さて、めでたく検身が終わったら指定された席の横に立って指示待ち。
※刑務所は勝手に座ったり立ったりできません。てか指示にない行動を取ると懲罰の対象です。
ここで工場担当のオヤジからの有難いお言葉を拝謁する。
某国の将軍様のお言葉を傾聴するような真剣な姿勢で拝謁する。
その後「作業開始!」の大号令と共に一心不乱に手元作業をする。

我々が作成していた品は「お守り」だ。
お守りってwwwと当然のように笑った。
普通に生きてたら受刑者がお守りを作ってるなんて事実にぶち当たる機会なんてそうそうないだろう。
だがこれは紛れもない事実。

【格言:お守りは受刑者が作っている】

作ってると言っても、小さな部品をボンドなどでくっ付けたりという地味な作業だ。
これを掃夫の指示の元こなしていく必要がある。
手先の器用な受刑者は掃夫の判断でどんどん難易度が高くなってく。
40人中最高難易度を任されていた奴は俺を含めて10人くらいだった。

これを無言でひたすら続けるわけなのだが、この時点ではブラック要素が見受けられない。
なんならお茶休憩や運動時間、入浴、ランチまで付いてくる。
もちろん雑談などは制限されているし、刑務官の監視下なので自由になんてできない。
入浴なんてハタから見たら滑稽に映るだろうよ。というのは次回のお話で。

今回も最後までお読み頂きありがとうございます。
頑張って面白おかしく7年分書きますので、今後とも宜しくお願い致します。

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