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テーマ「友よ」・「容貌」

「友がみな我よりえらく見える日は②」

ここからは各章ごとの内容と感想文をなるだけ
簡潔に述べてゆこうと思う。

・友よ

著者の友人の話。

5月某日、アパートの5階から転落した。

彼の部屋は7階だが、その日は酒に酔いエレベー
ターで降りる階を間違えたのだ。

当然、鍵を差し込んでも開かない。

以前、階段の横からベランダにまわり、窓から入ったことを思い出し、今回も同じことをした。

しかし勝手が違っていた。

彼は41日間、意識不明だったものの命はとりとめた。しかし両目を失った。死のうかとも思った。

そして生きる道を選んだ。

以前、彼が離婚したとき、そして全盲になった今
彼は自分で自分を救おうとしている。

※感想
事の大小はあるが、多かれ少なかれ、不本意な、しかし自業自得な結末を迎えることはある。

おそらく多くの人が経験することであろう。

何も見えなくなったからこそ見えたものが彼には有ったのかもしれない。

誰が支えてくれても、仮に理解してくれても自分の苦悩は自分のものでしかないだろう。

自分を救えるのは自分だけなのかもしれないことを教わった気がする。

・容貌

著者の取材に応じた彼女は男性と2人きりで話をするのは15年ぶりだから、緊張すると言った。

46歳になる彼女は46年間、男性との交際経験が
ない。

それを自身の容姿が悪いからだと、彼女は思っている。

「ど近眼で、出っ歯で、顎が張っている」。

美容整形しようと考えたことも有るが、失敗したときのことを想像すると恐怖心を抱く。

18歳の頃、母から真剣に美容整形の提案をされた。

入社2年目には、社内で「女性なら誰にでも声をかける」男性から自分だけ声をかけられなかった。

改めて自分はブスなんだと認識。

45歳の頃、誰にも見せたことのない自分の身体を撮ってもらった写真が彼女の宝物。

※感想
女性は、いつまでも美しくありたい。

という話はよく耳にする。

彼女は容姿を理由に自分を「諦めた」ように見える。

線引きが微妙ではあるが、彼女は自分の容姿を「受け入れた」とも取れる。

美容整形の善悪や正誤はわからないが少なくとも
本当の自分じゃない自分で生き続ける苦しさを彼女は背負わずに済んでいる。

分相応に生きると言うとネガティブな印象を持つかもしれないが、必ずしもそうではないと教わった気がする。

色んな人の色んな生き方が、世の中に溢れていて
でも気付かないでいるんだろうと思う。

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