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テーマ「テレクラ」「芥川賞作家」

・テレクラ
登場人物の女性は、離婚して2年になる。

きっかけは結婚当時の夫の浮気、というより
それに対して生じる嫉妬心だ。

当時はテレフォンクラブという、今で言う、
出会い系のSNSの電話版みたいなものが有り
夫は頻繁にテレクラを利用していた。

女性とはセックスレスになっていたのに夫は
他の女とは身体の関係を持っていて、女性は
自分には魅力が無いのかと自信を無くす。

夫の気持ちを確かめるため、テレクラに電話
をしてみて夫の会員番号を告げて繋いでもらう。

通話中は自分であることは隠して、夫を探り
ネタバラシをすると、怒りを買い、「そんな
ことをして楽しいのか」とか「もっと普通に
なれよ」と言われる。

「私って、異常?」と聞くと「異常だよ」と
言われる。

最終的に、離婚に至り女性はスッキリしたと
言う、しかし著者の質問に対して「彼の事は
死ぬまで好きです」と、言う。

※感想文
「嫉妬心」というのは、持つと厄介だ。

私は、なぜ人は関係性に建前を付けるのかと
疑問に思ったことがある。

例えば、恋人同士になる前、お互いが純粋に
恋をしていた頃は許せたことが、恋人同士に
なると、許せなくなる。

お互いがお互いに恋をしているという事実に
変わりはないのに。

思うに、相手を「彼氏」「彼女」と定義する
ことによって何となく自分だけの存在として
安心するんじゃないかなと思う。

しかし、結局はそれは偽物の安心感であり、
逆に定義付けしなくても信頼できる関係性を
保てれば嫉妬心や不安感も、生まれずに済む
のにと、9年間、恋愛から遠ざかっている者
として思う。

・芥川賞作家
大切なもののために他のことを捨てることが
できるか?

57歳の彼は自分にとって大切なもののために
色々なものを捨ててきた。

学歴を捨てた。
高校2年のときに親や先生の反対を押し切り
退学した。

故郷を捨てた。
26歳のとき、親のスネをかじって勉強して
いるわけにはいかないと、地元を出た。

月給生活を捨てた。
本を読んで勉強し小説家になるためには、
日雇い労働者にならなければならなかった。

有名であることを捨てた。
書いた小説が芥川賞をとり、多忙になったが
自らの本来の目的(精神世界をきわめること)
を大切にし、人々から忘れられていった。

妻子を捨てた。
妻が生活を支え自らは主夫となる。妻に浮気
をされ非難したが、働いてないことを怒られ
妻子を置いて家を出た。

仕事を失った。
再び始めたひとり暮らしは日当で仕事をした
が、不況で仕事が無くなった。

著者が、ひとりで淋しくないのか?と聞くと
「精神世界のことを考え想像していると、
誰かが自らの中に入ってきて何時間も経つ。

淋しいなんて思うヒマもない。」と答える。

精神世界だけで彼は成立している。

彼は「裏表なく一生懸命、自分の信じる方に
高校を辞めたときから走り続けている。」
と、呟き
著者は「私は途中で走るのをやめた。」と
答えた。

※感想
「幸せ」は他人が決めることではなく周りが
どう見ても幸せとは感じられなくても本人が
どう感じているかだ。

というのは、最近よく耳にする言葉で、概ね、
正しいと思う。

しかし、精神世界の中に入ることだけで幸せ
というのは、果たして本当なのだろうかとも
思う。

最近、ある程度「本当の幸せ」というものが
定義付けされるんじゃなかろうかと感じる。

例えば、他人のためを思って行動するから、
結果が不本意だったときにネガティブな感情
に繋がる。

だから自分がやりたいからやっただけと思え
れば、そうならなくなる。というのは、概ね
正しいと思うが誰かに何かをするときには
相手への思いやりが少なからず有って、そう
でなければ本人はずっと自己満足の世界から
動くことはなく、それが本当の幸せとは、私
には思えない。

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