漫画を読んで机を降らせること

友人に勧められ、すえのぶけいこさんの漫画『おちたらおわり』を読みはじめました。

すえのぶけいこさんといえば昔流行った高校生のいじめ漫画『ライフ』の作者というイメージが強いですが、『おちたらおわり』の序盤を読んでみたところ、なんだか『ライフ』の続編のようだと感じました。

もちろん別タイトルなので、キャラクターもみんな別人なのですが、「中学時代に自分をいじめた相手と同じタワーマンションのママ友として再会」というあらすじを見る限り、ほとんど『ライフ』の20年後版だと思っていてよさそうだなと。

『おちたらおわり』に出てきたママ友の楽しそうな性悪顔を見て、「うわ、『ライフ』だ!懐かしい……」と思ったとき、『ライフ』の漫画を貸してくれた友人の家のにおいを、ふと思い出しました。

その子は日本風の平屋に住んでいたのですが、お母さんが東南アジア系の外国人だったので、家には常に異国のお香の香りが立ちこめていました。
なんだかとても不思議な空間だったことを覚えています。

たまにお母さんが手作りのおやつや外国のお菓子を出してくれたのですが、それも見たことがないものばかりで、幼いわたしはいつもそれを新鮮な気持ちで食べていました。
味はどうだったかというと、おいしいのかまずいのか正直よくわからなかった。変わった味がしました。

日本のお香とは違う、甘いような少し鼻にツンとくるような不思議なにおいのする和室(友人の部屋)に座って、見慣れないおやつを食べながら、たしか一日で『ライフ』を当時刊行していた分(十巻以上だったような?)をすべて読破しました。
『ライフ』はいじめの衝撃的な絵を大ゴマで見せることが多かったので、代わりにセリフがすごく少なくて、漫画を読むのが遅い私でも一冊5分くらいで読み終えられたんですよね。だからすぐに全巻読めた。


『ライフ』といえば、いじめられっ子の机が教室の窓から校庭に投げ捨てられ、「おめーの席ねぇから!」とクラスメイトが言い放つシーンが有名ですよね。

私が通っていた中学校ではそれを模倣するような事件が起きました。
そのときのこと、実は私はよく覚えていないんですけど、友人曰く時期としては実写ドラマ版が放送されたあとのことだったそうです。

『おちたらおわり』を勧めてくれた同中学出身の友人に「あったじゃん!そんな事件!覚えてない!?」と言われたのですが……覚えてないんですよね……。
さすがに同学年の事件ではない……と思うのですが(それならさすがに覚えているはず……)、他学年の話だったのか、それとも卒業後に風の噂で聞いた程度だったのか。

よく「漫画やゲームが子どもに悪影響を……」なんて言いますが、基本的には私は「普通は漫画を真似してそんなバカなことをする人いないだろう」と思っているタイプです。
でも、その同郷の珍事件を想起すると「本当にいるんだな、そういう人……」と思わざるを得ません。
机を窓から投げ捨てる生徒なんて、先生たちもさぞ扱いに困ったことでしょうね。


前回の投稿「はるか昔の週末のルーティン」と今回、漫画から思い起こした昔の記憶について書いてみましたが、当時の自分が何気なく過ごしていた日常がとても楽しく、得難いものだったと実感しています。
次は何を読み、何を思い出すのか。今から楽しみです。

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