はるか昔の週末のルーティン

最近『鋼の錬金術師』のスマホゲームの広告をよく見かけます。

『鋼の錬金術師』って私が小学生の頃、人生ではじめてオタク的にハマった作品なんですよね。

2003年放送の最初のアニメが終わって数年経った頃のことでした。
数年前って小学生にとっては大昔のことなので、当時同級生でハガレンのことを口にする子はもうほとんどいなかったんですが、あるときクラスメイトが漫画を貸してくれて。
それをきっかけにハマったんですよね。

その友人と漫画を貸し借りするようになったのは小学6年生の頃だったんですが、私は5年生の頃からいろいろあって猛烈にその子のことが好きになっていて(笑)、彼女と仲良くなりたくてそれまで苦手としていた小説も読んだし(彼女が読書家だったんです)、彼女が好きな漫画も追いかけるようになったんですよね。

オタク的なスタンスで漫画やアニメを見るようになったのも、今にして思えば彼女の影響でした。
彼女と共通の話題がほしかったし、彼女と同じ目線を持ちたかったから、思考プロセスを意識して真似して、気がついたらオタクになっていた……という具合です。
彼女と友人として同じ教室で過ごした小6の1年間が、その後の私のオタクとしての人生を決定づけました。

さて、ハガレンといえば、そんな彼女とおしゃべりしながらアニメ鑑賞をしたことを思い出します。

当時2003年版のアニメ「鋼の錬金術師」の放送はすでに終わっていたのですが、同じものがケーブルテレビのアニメチャンネルで毎週末、夕方に2話連続で放映されていたんですよね。
それをその友人と電話しながら観ていたことを今でもとてもよく覚えています。

本当はどちらかの家に集まって一緒に観たかったのですが、お互い休日に家に友だちを呼ぶことを許してくれる親ではなかったので、仕方なく電話を繋げておしゃべりしながら、それぞれの家でアニメを鑑賞することになったんです。
二人とも家庭の事情で当時からすでに携帯電話を持っていたのですが、当時は今のように無料通話などできなかったので、電話料金を抑えるために家の固定電話からかけていました。

どちらからかけていたのかは覚えていないんですが、なんとなく、惚れた弱みで私のほうからだったんじゃないかと思います。
放送がはじまったら受話器を取って、キャッキャ言いながら30分弱を電話越しに過ごす。
電話料金がかかるので、通話しながら観るのは1話だけというルールでした。なので前1話を電話越しに一緒に観て、後ろ1話はひとりで静かに観る、というのが毎週末のルーティンになっていました。
後ろ1話をひとりで観るときに、やけに切ない気持ちになったことを覚えています。

30分だけ彼女を独占できるその時間が、私は毎週とても楽しみでした。
私と彼女はクラス内での所属グループが違い、学校にはお互い別の親友がいたので、教室でずっと一緒というわけにはいきませんでしたから。


ハガレンのソシャゲの広告を見るたびにそんな小学生時代を思い出します。
新作ゲームかぁ、当時の私たちだったら喜んで飛びついていただろうな、と。

そんな思い出があるからか、その後にハガレンが再アニメ化されたときは特に注目しなかったんですよね。
新しいアニメを観ても、彼女と電話しながら2003年版のアニメを観ていたあのとき以上に楽しい気持ちにはならないだろうな、とどこかで思ってしまって。
コミックスは完結まで追いかけたんですが、その後のメディアミックスには手を出しませんでした。

私は多分、新作のスマホゲームはやらないと思います。
懐かしいけど、やらないなぁ、と思うたび、あの頃ハガレンに夢中になった私たちはどこにいってしまったんだろう、と少し寂しい気持ちになります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?