『アドラー流一瞬で心をひらく聴き方』
著者:岩井 俊憲
発行所:かんき出版
発行日:2016/02/01
今回はアドラー心理学に関する書籍を多数出版されている岩井俊憲氏の『アドラー流一瞬で心をひらく聴き方』です。
現在アドラー心理学の勉強をしていることもあり、手に取ってみました。
心理学NLPはアドラー心理学もベースにしているのでは?という話をいただいたことがあります。
実際、本書の内容でNLPに通じるものが何箇所もあました。
しかし、NLPの世界でアドラー心理学との関連を聞いたことはありません。
直接研究したわけではなくとも、モデリングした成功者がアドラー心理学を学んでいたり、そもそも成功する振る舞いがアドラー心理学の考え方なのかもしれません。
今回は本書の内容から、これNLPだと思うところを3つほど抜き出してご紹介します。
ベイシック・ミステイクスとメタモデル
アドラー心理学の五大要素の一つに「認知論」があります。
そして、この認知論がゆがんでしまったことを、「ベイシック・ミステイクス」(基本的な誤り)と呼び、以下の5つの見方を指します。
決めつけ
誇張
過度の一般化
見落とし
誤った価値観
これはNLPのメタモデルをもう少し細かく分類したものだと思いました。
NLPと比較すると以下のようになります。
削除:見落とし
歪曲:決めつけ、誇張、誤った価値観
一般化:過度の一般化
ゆがんだメガネを外して聴くためのポイントとして本書では以下の3つを挙げています。
相手の話の意見と事実を分けて聴く
相手のものの見方に確かな根拠があるかどうかを確認する
聴いている自分自身が、主観のメガネをかけていないか注意する
NLPではもう少し具体的な質問によって語られていない事実を見つけ出します。
削除
「誰が?」
「いつ?」
「どこで?」
「具体的にどのように?」
「何と比べて?」
歪曲
「どうしてXがYを意味するのか?」
「どうしてそれが分かるのか?」
「誰が決めたのか?」
一般化
「もし、できるとしたら?」
「もし、○○しないと、どうなる?」
「いつもなの?」
「全部なの?」
自分や相手の思い込みをできる限りなくすことは円滑なコミュニケーションを行う上で大切です。
思い込みは重いゴミですからね。
フィジオロジーとオープン・クエスチョンとバックトラッキングと
相手の話を聴く時のポイントとして、本書では以下の8つの聴き方をコツとして紹介しています。
姿勢
態度
距離
表情
視線
あいづち
質問
確認(繰り返し、明確化)
この中の「距離」はNLPのフィジオロジーと似ています。
NLPのフィジオロジーには姿勢と距離、並び方の他にも、つま先の向け先などもコミュニケーションに関わってくるとしています。
話す内容や相手との親近感でフィジオロジーを変えるのが良いのです。
実際に、いろいろ試すと相手への伝わり方に違いが現れて面白いです。
「姿勢」も似ているかなと思いましたが、本書の説明では「相手より、やや節度のある姿勢」ということなので少し違いました。
「質問」はオープン・クエスチョン。
まぁ、これはNLPだからとまでは言えないですかね。
本書の中で「相手の話のフレームの中で質問する」と書かれてあったのは、ひとつ気をつけなければいけないポイントです。
オープン・クエスチョンであれば何でも良いわけではありません。
自分が聞きたいと思うことではなく、相手が話したいと思っていることを聴くことが大切です。
最後の「確認」はバックトラッキングです。
7つの習慣でも「共感による傾聴」としてでてくるものです。
NLPのバックトラッキングは相手の言ったことをオウム返しすることで、相手から「Yesセット」を取ることができます。
また、バックトラッキングされた側は自分の話を聞いてもらっている感が増すので、信頼度が高まっていく効果があります。
バックトラッキングについては、本書では別に「語尾返し法」としても紹介されています。
ここでは相手の感情をオウム返しすることと、ネガティブな言葉にはリフレーミングをすることが求められています。
ネガティブな感情を返すだけだと、相手が余計に落ち込んでしまう可能性があります。
相手のポジティブな言葉も一緒に拾い、「ネガティブな感情」->「ポジティブな言葉」の順で返すのがコツになります。
フィードバックは改善点を良い点で挟む
最後に聴き方の応用として、「イエス・バット法よりもサンドイッチ法でコメントする」をご紹介します。
NLPでも効果的なフィードバックの方法として、サンドイッチ・フィードバックを習います。
これは以下のような手順でフィードバックをする方法です。
パッと見の良いところを褒める・ねぎらう
改善点を伝える
全体的に良いところを褒める
「褒める」のはアドラー心理学ではNGなので、「勇気づける」とするのが良いでしょうか。
最初の「パッと見の良いところを勇気づける」では、たとえば報告書で簡単に見つかる良い点をフィードバックしたり、作業をしてくれたことに対してのねぎらいの言葉をかけます。
その次に「改善点を伝える」わけですが、ここには注意が必要で悪い点を指摘する必要はありません。
そのため、出だしは必ず「もっと良くなるためには、」から始めます。
問題点を指摘すると相手は身構えてしまい、その次のアドバイスに耳を貸さなくなります。
「もっと良くなるためには」という出だしだと、肯定的な意見として聞く姿勢になるため、アドバイスが入りやすくなります。
最後に全体的に良かった点、いつも頑張っていることへのねぎらいや感謝を伝えて終わります。
「良い点」「改善点」「良い点」で改善点を挟むことで、アドバイスを受け入れてもらいやすくなり、かつ良い気分で帰ってもらうことができます。
今回は、アドラー心理学とNLPの類似点を探り、NLPの観点から解説を入れてみました。
これまで学んだことの点と点が線になる感覚は良いですね。
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