高千穂4
朝。高千穂ではとても早起きをしてしまう。
みんなが寝静まっているなか、月読命の丘にあがって、お祈りをする。
朝も夕も、高千穂には霧がたちこめる。
ぼくの静岡の実家あたりもそうだけれど、お茶の産地特有の、きれいな川からあがってくるような、霧の出かただなとおもう。
部屋にもどると、朝があかるくなってくる。
宇宙noteを書いたりして、ゆったりと過ごす。
きょうもモーニングからはじまる。
このダイニングは庭との境目があまりなく、庭屋一如をちゃんと満たしている。
ぶどうの樹の居心地のなかで、1番好きな間取りと言っていい。
室内の調度も、何度みても見飽きない、本物がちゃんとある。
今朝はモーニングのもうひとつの席に、昨日からの方なのか、見慣れない上品な紳士と、奥さまが、おだやかに、見つめあうように、座られていた。
しばらくして、ご主人が席をたち、御手洗に向かわれている後ろ姿をみて、ハッとしてしまった。
後藤誠二さんが、生前、まだご自身で歩けていた頃みたいに、スキーのストックで、室内を、ゆっくり、歩かれていたからだ。
奥さまが心配そうに、さりげなく見守っている。
ぶどうの樹のよさを、誠二さんにお伝えしたら、ぜひ行ってみたいといわれて、奥さまといっしょに、ある日滞在されて「とてもよかったです」と、うれしそうに笑われていたのをおもいだす。
同じように、あの席に座られていたのかもしれない。
駐車場からの階段など、登るの大変だっただろうなとか、誠二さんに想いを馳せる瞬間が、この滞在中に、幾度となくあったので、背格好から、長い脚まで、紳士さも同じくらいの方が、目の前を歩かれているのを、唖然としながら、見惚れてしまった。
誠二さんも、ぼくたちといっしょに訪れていただけているんだなと、とても感じられる、サインのような、ひと時だった。
モーニングを終えて、部屋にもどり、きょう宇宙タイミングで合流する、ご夫婦に連絡をいれて、ダイニングに降り、気になっていた「インカ天日塩」(ペルーにも金星LINEがある)や、オーナーの奥さまのご実家の、いなば酒店でつくっている「神呂木」「一睡の夢」をお土産にして、オーナーさん家族に、お礼をお伝えして、お見送りしていただく。
ちなみに、自室でずっと使っているマグカップは、いなば酒店で、アンティークで売っていたNoritakeだ。
最後に、お庭に荷物を置いて、ユウコさんと月読命にご挨拶にゆき、この2泊3日を、見守っていただき、ガイドしてくださったお礼をつたえる。
荷物にもどって、この、こじんまりしているけれど、不思議に大好きな庭を、撮っておこうと、写真をとっていると、オーナーさんが現れる。
ユウコさんがうながしてくれて、オーナーさんと2人で記念撮影をする。
すると、オーナーさんが堰を切ったようにお話しをはじめた。
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