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名著「影響力の武器」はなぜ必須の教養なのか?

この本はビジネス書であり、心理学書でもありますが、とっつきやすく読み物として非常にお勧めです。

特に「こういう類の本を読まない層」が最も読むべきです。

なぜなら社会的、金銭的に、「知らないと損をする」内容がまとめられており、消費者を「操る」ようなビジネスに耐性をつけられるからです。

つまるところ、社会で生きるすべての人にとって価値がある本だと考えています。

この本の内容を一言で言えば、
「人が人にコントロールされる仕組み」です。

6つの心理テクニックとして分類し、具体例とともに書かれています。
具体例は筆者の体験談ではなく、れっきとした科学の成果です。

古今東西、400もの文献からまとめられています。
これだけの「知の集積」を3000円以下で知ることができるのだから、読まない理由はありません。

では、本の要約に移ります。

あらためて、心理テクニックは6つあります。

①返報性
②一貫性
③社会的証明
④好意
⑤権威
⑥希少性

以下要約をします。

そもそも本書で伝えたいのは6つのテクニックに至る前の時点、
このような話から始まります。

ある宝石屋を営んでいた女性が、なかなか売れず悩んでいました。
値段は高価ではあるが、質の高い商品。なのにどんな売り方を試してもダメ。
ある時しびれを切らし、全て1/2の値段で売り払って、と店員にメモを残して彼女は帰ります。
数日経って店に戻ると、宝石は売り切れていました。
しかし一つ不可解な点が。彼女のメモは見間違えられ、1/2ではなく2倍の値段になっていたのでした。

この話では「判断のヒューリスティック」という心理効果が示されています。

日常において人は自分が合理的に判断をしていると思いがちです。

しかしながら、今回のように「高価なもの=質の良いもの」という無意識の理解があります。

これは、ボタンを押すと再生されるように、外に反応して誰もが行ってしまう「不合理な判断」なのです。


本書はこのような様々な事例とともに、「人が動かされる」方法を多数記載しています。

簡単にそれぞれの心理がどういうものか、書いておきます。

返報性
:何かをもらったら、返したくなる。
Ex. 健康食品の無料お試しセット

一貫性
:人は自分が過去にした言動と一貫した行動をとる。
Ex. 一度新興宗教に加入した人は、内容によらず信者でありつづける。

社会的証明
:良くも悪くも、他者の姿から影響を受ける。
Ex. お笑い番組は、笑い声があるとより面白く感じる。

好意
:自分が好意を持っている人の言うことに対して、YESと言う傾向がある。

権威
:人に権威を感じると、正当な思考なく従ってしまう。
Ex. 本を出版した人の言うことは正しいような気がする

希少性
:手に入れにくいものが良いものだと感じる。
Ex. 数量限定の商品


本書は以上の6章に分かれていますが、それぞれにさらに、心理学の知見が幅広く記載されています。

どのように人に好意を感じさせるか、の答えとして「ハロー効果・ザイアンス効果」
権威性を示した「ミルグラムの実験」など
心理学の有名どころのエピソードがまとまっています。

この本で得られる知識は、社会を生きる上(特にお金の面)でプラスになるかと思います。

詐欺を見抜きやすくなるのはもちろん、普通のマーケティングの中にも、本書の知識を見出せるようになるでしょう。

幸か不幸か、「相手の裏をかく」ことの基本的な力がつきます。

きっと、知っていて損になることは少ないと私は思っています。

思考停止にならず「相手の意図」を読むための鍵となる本です。

ぜひ、一度手に取ってみてください。



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