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高尾歳時記 2024年6月1日

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天気:晴れ時々曇り
気温:19.0℃(高尾山山頂 09:30)
人出:混雑
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先週は季節外れの台風接近があり、天気がクルクルと変わって天候的には忙しい週でした。

台風1号は昨日温帯低気圧に変わりました。台風に伴う前線と梅雨前線は大陸からの高気圧の張り出しによって南に押し下げられ、本州は概ね晴れの天気。気温は上昇し、八王子市街地は26℃まで上がりましたが、湿度が低く風の爽やかな一日でした。

6月1日09:00の天気図(注1)

高尾山の人出が一番多いのは秋の紅葉の時期ですが、その次に混むのが初夏の新緑の時期、若葉祭りが催される頃です。今の時期はその混雑も若干おさまり、すこし落ち着きを取り戻す時分なのですが、高尾山は明らかに海外からの観光客が増えていて、それを補って余りあるほどの活況です。この混雑は、少なくとも暖かい季節は常態化しそうです。いつもより自宅の出発時間を早めて、早朝出発、10時前には下山という計画をルーティーンにすることにしました。

今年、高尾の花々の開花は例年より若干遅め、というより去年が異常に早かったので惑わされているだけかもしれませんが、季節は確実に進んでいます。今日もお花の多いところを巡ってきました。

タツナミソウの仲間のうち、高尾でもっともよく見かけるのはオカタツナミソウですが、高尾ではほかに、コバノタツナミ、タツナミソウやヤマタツナミソウも観察できます。
こちらはヤマタツナミソウ。ここ何年か姿を見かけなかったので心配していたのですが、今年は広範囲で見つかり、少し安心しました。とはいえ個体数は少なく、以前より明らかに数が減っています。
高尾に初夏の到来を告げる代表的な花、イナモリソウ。先週がピークで、もうそろそろ終わりです。
ムヨウラン。菌従属栄養植物と呼ばれる植物の一種。植物は一般的に、自分が生きるための栄養を光合成によりみずから生産します。ですが、菌従属栄養植物は光合成を行う能力を持たず、生きるために必要な栄養を、根に共生する菌に依存しています。従来は共生関係と考えられていたものの、最近は研究が進んで、「共生」すなわち持ちつ持たれつではなく、相手に何も与えず一方的に栄養を吸い上げる種もあるらしいことがわかってきているそうな。
ムヨウランの花。
光合成に必要な葉緑素が退化しそれを持たないムヨウランは濃いミョウガ色をしていて、周囲の色合いに溶け込んで気づくこと自体が難しく、また、個体数が少ないことに加えて観察できる期間が短いため、見つけるのは極めて難しい。
ヘビイチゴの実。鮮やかな赤い実は、藪の中でも目立ちます。
マタタビ。猫にマタタビのマタタビです。もう少しすると花が咲くのですが、花の時期になると、このように一部の葉が白く染まります。受粉を助ける昆虫を誘き寄せるためなのだとか。
ヤマテリハノイバラ。高尾の個体数は比較的多い。
ウツギの花が真っ盛りです。
ユキノシタもあちこちで見かけます。可憐な見た目に反して極めて強靭な植物で、京王線の高架下にも雑草に紛れて咲いていたりします。
スイカズラの花もピーク。あちこちで見かけます。近づくと、甘い芳香が漂ってきます。
ツユクサ

ツユクサは高尾ではごくありふれた植物で、梅雨の時期から晩夏にかけて、鮮やかなブルーの花をつけます。

稲垣栄洋静岡大学教授著「面白すぎて時間を忘れる 雑草のふしぎ」(三笠書房)によると、植物がさまざまな昆虫の力を借りて花粉を運んでもらうことは知られているが、このツユクサはアブを利用する。アブは美味しい花粉を食べたいが、黄色い花粉と補色関係にあるのは青色である。ツユクサは青い花をつけることで黄色い雄蕊を目立たせ、アブはそれを目指して飛来する。ところが、この雄蕊はダミーである。この美味しそうな偽物の雄蕊には花粉がない。実は、本物の雄蕊は花の下にぶら下がっていて、色も地味で雄蕊に見えない。獲物が偽物であることに気づいたアブが花の奥の方で花粉を探し始めると、本物の雄蕊にある花粉がちょうどアブのお腹やお尻につく設計になっている、ということなのだそうです。

教えられたことを頭に入れて、改めてツユクサの花を見ると、なるほど極めて機能的な形であることがわかります。ツユクサは古来より日本人に歌に詠まれてきた身近な花。その姿には、奥深い自然の営みが隠れていたのですね。

新緑の季節は過ぎ、緑が濃くなってきました。
ガマズミ。高尾の個体数は多い。
(小仏)城山山頂から、富士山。雲に包まれていますが、ダイナミックな景色でした。
同じく城山山頂から、都心方面の遠景。空は少し霞んでいて、遠景は限定的でした。
一丁平の森はすっかり夏色です。
一丁平の展望台から、富士山方面。雲に包まれていますが、引き続きダイナミックな富士山を眺めることができました。
一丁平ではヤマボウシの花が開花しています。
高尾山山頂に到着。引き続き、ダイナミックな富士山の遠景。
同じく高尾山山頂から、丹沢主脈方面。こちらの遠景は良好でした。

(注1)
気象庁HP 利用規約に基づく表示

出典:気象庁HP 各種データ・資料 過去の天気図

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