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高尾歳時記 2023年4月5日(水)

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天気:晴れ時々曇り。春霞で遠景は限定的。富士山は肉眼にうっすらとしか見えず。
気温:18.5℃(高尾山山頂 13:30)
人出:やや多め。
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今年は例年より気温が高めで、季節の進みが一週間から二週間ほど早くなっています。

日陰沢の植生保存地区にあるニリンソウの群生を毎年楽しみにしているかたも多いと思います。本日寄りましたが、すでにピークを迎えていて、一部散り始めています。今週金曜日から土曜日にかけて、高尾山ではまとまった雨が降ると予報されています。ニリンソウは冷たい雨が降ると花を閉じてしまいます。見頃は恐らく向こう一週間ほどだと思いますので、まだ行かれていない方、金曜日から土曜日の雨天を避けてお運びください。

日陰沢では、ほかの春の花々が開花しています。本日特に目立ったのはマルバスミレとトウゴクサバノオとマルバコンロンソウ。タカオスミレはちらほら見かけましたが、もうそろそろ終わりです。

スミレは春早くに咲く種が終わりを迎えつつあり、遅れて盛りを迎える種が咲き始めています。特に、小仏川遊歩道ではツボスミレ(ニョイスミレ)が咲き始めています。また、小仏川遊歩道ではイチリンソウがピークを迎えています。見頃は恐らく今週いっぱいぐらいです。

今日も花の多いルートを巡ってきました。

甲州街道の歩道、アスファルトの割れ目に咲いていたスミレ(スミレという名のスミレ。植物分類学上のスミレ科スミレ属を意味する場合との混同を避けるため、ホンスミレとも呼ばれる)。今日あちこちで見かけました。本格的な花の季節を迎えています。
小仏川の河原にて。アメリカスミレサイシン。園芸用として海外から導入されたものが逸出し、野生化したものです。
同じく小仏川の河原にて。こちらもアメリカスミレサイシンですが、プリケアナと呼ばれる品種。こちらも園芸用として海外から導入されたものが逸出し野生化したものです。
同じく小仏川の河原にて。コハコベ。別名ハコベ。春の七草ハコベラです。
同じく小仏川の河原にて。セリバヒエンソウ。次々に開花しています。
同じく小仏川の河原にて。カラスノエンドウ(ヤハズエンドウ)。これもあちこちで咲いています。
ヨーロッパからの帰化植物。日本全国でごく普通にみられる植物です。食用になると聞いたことがあるのですが、食べたことはありません。
同じく小仏川の河原にて。イモカタバミが咲き始めています。都会の道端でもよく見かけます。南アメリカ原産。観賞用に導入されて逸出した帰化植物。
同じく小仏川の河原にて。オオアマナ。
同じく小仏川の河原にて。キランソウ。成長すると大きなロゼットになり、小仏川の河原では直径30cmを超える個体も観察されます。
同じく小仏川の河原にて。ヤマブキは花の季節のピークを迎えています。
同じく小仏川の河原にて。ジロボウエンゴサク。ここ一週間ほどで急に開花し始めました。
同じく小仏川の河原にて。イチリンソウが次々に開花しています。恐らく見頃は今週いっぱい。大きくて立派な花を咲かせます。
同じく小仏川の河原にて。タチツボスミレはあちこちで咲いています。
同じく小仏川の河原にて。こちらもタチツボスミレですが、花弁から距まで白い、シロバナタチツボスミレと呼ばれる品種。
同じく小仏川の河原にて。ツボスミレ(ニョイスミレ)。今年お初で見つけました。
ニリンソウの花びら(花弁にみえる部位は正確には萼片)は通常5枚から6枚。まれに7枚の個体も見つかりますが、この個体はなんと9枚もあります。見つけた時、何の花かわかりませんでした。
やった!フデリンドウを見つけました。高尾の春の花の中では、スミレと同じぐらい大好きな花です。なんてかわいいんでしょう。今年も出会えて嬉しいです。小仏川の河原にて。
旧甲州街道の民家の石垣で咲いていたヒメスミレ。スミレの種にはアリが好む蜜がついていて、種がアリによって運ばれることによりこのように垂直の石垣の隙間から咲いている姿をよく見かけます。種が勝手に飛んでいったりよじ登っていくわけではありません。
日陰沢にて。ミヤマハコベ。本日あちこちで見かけました。
同じく日陰沢にて。春、沢のすぐそばでよく見かけます。マルバコンロンソウ。
同じく日陰沢にて。ミヤマキケマン。決して珍しくはないのですが、固まって咲く傾向があり、あちこちで見かけるというイメージはありません。
同じく日陰沢にて。マルバスミレ。数箇所で群生している姿をみかけました。
同じく日陰沢にて。カントウミヤマカタバミの花はほぼ終わりです。
同じく日陰沢にて。トウゴクサバノオ。大きな群生をみかけました。
同じく日陰沢にて。フタバアオイの花。
フタバアオイはその名の通り二枚の葉を芽吹くのですが、自然界では基本的にはありえない、三枚揃った「三つ葉葵」は縁起物として家紋に採用されています。はい、あの泣く子も黙る葵の御紋はそれが由来です。
日陰沢のタカオスミレは終盤を迎えつつあります。
こちらはヒカゲスミレ。ヒカゲスミレとタカオスミレは同じスミレなのですが、葉が茶褐色のヒカゲスミレをタカオスミレと呼んでいます。要は単なる色違い(色素の濃淡の違い)。タカオスミレをヒカゲスミレの変種と説明しているひとがいますが、最新の研究では否定されています。(*1)
また、タカオスミレを高尾の固有種としているひとがいますが、本州に広く分布していることが確認されています。花の季節が終わると色素が抜けて葉は緑色になります。
日陰沢では、元気にいっぱい花をつけたヤマルリソウの大きな株をあちこちでみかけました。
日陰沢のニリンソウ群生地は満開でした。冷たい雨が降ると花を閉じてしまうので、温かい日にお運びください。
モミジイチゴは花盛り。高尾全域のあちこちでみかけます。花を下向きにつけるので、撮影は意外と難しい。
エイザンスミレは花のピークを過ぎつつあります。いろはの森にて。
ナガバノスミレサイシンはほぼ終わり。花の季節が終わると、葉っぱは大きく成長します。いろはの森にて。
オカスミレが次々に開花しています。高尾山山頂近辺某所にて。
下山後高尾山口駅へと歩く途中、歩道脇の石垣に咲いていました。アリアケスミレ。人里でよく見かけます。山の中で見かけることはまずありません。

(*1)
【参考文献】
門田裕一、「スミレ科 Violaceae 【1】スミレ属 Viola L. 26.ヒカゲスミレ」、"日本の野生植物 3"、平凡社、2016.09、P.218

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