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高尾歳時記 2023年10月14日(土)
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天気:晴れ
気温:23.0℃(高尾山山頂 12:00)
人出:混雑
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森には多種多様な動植物が生息し、つねに個体の更新や新陳代謝を繰り返しています。その過程において、森には枯葉や朽木のみならず、動物の死骸や排泄物など、自然の循環の各段階にある大量の有機物が存在します。
ですが、森を歩いていて、排泄物の臭気や有機物の腐敗臭を感じることはほとんどありません。むしろ、なにか清々しい、まさに森の香りとしか形容のしようがない、心落ち着く微かな芳香に包まれます。
これは、主に樹木が放出するフィトンチッドと呼ばれる揮発性の物質によるものと考えられています。
以下、坂井至通「樹木成分フィトンチッドの不思議な作用」(岐阜県森林科学研究所)から引きます(注1)。
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フィトンチッドは主にテルペン類と呼ばれる揮発性成分で構成され、構成成分の違いによって樹木ごとに特有の香りがあります。1930年ごろ、レニングラード大学(ロシア)の生態学者ボリス・ペトロヴィチ・トーキン教授が、ギリシア古語の「フィトン(植物)」と「チッド(殺す)」を合成して名付けました。樹木は大地に根を張り簡単には移動できないため、外敵からの攻撃や刺激に対抗する手段として、昆虫などに葉を食べられないための摂食阻害物質や病害菌に感染しないよう殺虫殺菌物質を、また他の植物の侵入を防ぐ成長阻害物質など、自分を護るため多彩な効果のあるフィトンチッドを自ら作り出しています。
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フィトンチッドの発見は、トーキン教授が針葉樹の幹を傷つけて採取した樹液が強い殺菌効果を有することをみつけたことに端を発するそうです。フィトンチッドは揮発性があることから森に放出され、漂いながら空間を満たします。フィトンチッドが持つ殺菌効果はそれがすなわち毒であることを示しますが、微量であればむしろ人間の心身に良い影響があることが知られており、森を漂う濃度がちょうどいいとされ、これが森林浴の効用の大きな理由のひとつとされます。森の有機物の代謝や分解による臭気が抑制されるのも、このフィトンチッドの効果だと考えられています。
多くの樹木がこのフィトンチッドを放出することがわかっていますが、針葉樹は放出量が比較的多いのだそうです。確かに、広葉樹の森より針葉樹の森の方が、なんだか檜のお風呂に入っているときのような、あのふんわりとした爽やかな香りに包まれて、なんとなく心が落ち着くような気がします。高尾はスギヒノキ主体の植林の森が多いので、特にそれを感じます。
今日は爽やかな秋晴れ。気温も20℃強、湿度も低く絶好の行楽日和となりました。この好天が、多くの方々を外に誘ったようです。本日高尾山は大変な混雑でした。
高尾山の花は晩秋を迎えています。今日も花の多いところを巡ってきました。
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高尾では多く見かける紫色のツリフネソウとともに、終盤です。
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このレモンエゴマを高尾山で採取した牧野富太郎博士が、ちぎるとレモンのような香りがすることから命名したとされます。
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10/8奥多摩三頭山にて。ヤマトリカブトが盛りでした。高尾で確認はされているのですが、見つけるのは非常に難しい。三頭山ではわんさか咲いていますが。
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10/8奥多摩三頭山にて。カメバヒキオコシ。「カメバ」は「亀葉」。特徴的な葉っぱの先を、亀の甲羅から飛び出した尻尾に見立てたことに由来。
高尾で生息は確認されていますが、見つけるのは非常に難しい。三頭山ではあちこちで咲いていますが。
ヤマトリカブトも含めて、高尾でいつも一生懸命探しているものがあちらこちらで当たり前のように咲いているのを見ると、不思議な気持ちになります。
(注1)
坂井至通「樹木成分フィトンチッドの不思議な作用」 岐阜県森林科学研究所
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