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宮崎県にもあった極上の温泉宿「極楽温泉 匠の宿」

TNAソリューションデザインの筆者Aです。先日、宮崎県高原町の奥霧島温泉郷にある「極楽温泉 匠の宿」さんに、とある映像制作の仕事のためにお邪魔しました。実際に宿泊したり、温泉に入ったりしたわけではないのですが、素晴らしい温泉宿でしたので、ぜひ知っていただきたいという思いから、紹介させていただきます。

極楽温泉 匠の宿さんの美しい中庭

まず、大前提として、残念ながら宮崎県内には温泉宿が多いとは言えません。私が知らないだけで、素晴らしい宿はあるのかもしれませんが、少なくとも隣県の大分県や熊本県にいくつもあるような有名な温泉郷があるわけではなく、その中で競合し、高め合っている無数の温泉宿がひしめき合っている状況も県内にはありません。

宮崎県は、宿泊者数の都道府県別ランキングで第40位(※注1)、都道府県別外国人延べ宿泊者数(いわゆるインバウンドの都道府県ランキング)では第42位(※注2)であり、観光産業が弱いという背景があります。

※注1:2023年度/出所:2023年の総務省による統計ダッシュボード調査データ
※注2:出所:観光庁『観光統計』宿泊旅行統計調査(2023年・年間値:速報値)

このような状況であり、私の認識としても、大変申し訳ない気持ちであることを初めに申し上げつつ、正直なところ宮崎県内の温泉宿への期待値は高いとは言えませんでした。

ところが、「極楽温泉 匠の宿」さんの取材(動画の撮影)を通して、宮崎県内にもこんなに素晴らしい宿があることを今まで知らなかったことへの恥ずかしさや驚きがありました。

少々ハードルを上げ過ぎた感があり、前置きが長くなりましたので、本題に入ります。以下、私が感じたことをダラダラと好きなように綴っていきたいと思いますが、それを読むのが面倒だという方は、取材した映像をまとめた動画を Youtubeで公開していますので、ぜひそちらをご覧ください。

さて、お暇な方は、以下の私の戯言にお付き合いください。

温泉旅館といえば、お部屋、温泉、料理等の評価ポイントがありますが、まず最初に感じたのは、隙がない意匠です。建築デザイン、池や枯山水等の庭園、お部屋から通路、隙がないのです。

例えば、入口の脇にさりげなく存在する水琴窟は、そこにかかる草の葉、置かれている石の大きさや苔の生え具合、そっと置いてある切花、全てのバランスが素晴らしいのです。落ちている葉っぱさえ、デザインの一部じゃないかと思うくらいです。

宿泊客用の入口の脇にある水琴窟

ロビーに入ってくる西陽は、庭の木々と窓、階段の形状から、美しい光の筋と床に落ちる影を作ってくれます。写真ではなかなかお伝えすることが難しいのですが、この光と影の絶妙なバランスは、偶然ではなく、きっと建築デザインにおける繊細な計算が働いているはずです。そんな美しく隙がないデザインされた空間ですから、もちろん掃除も徹底的に行き届いています。

宿泊客用のフロント(ロビー)

フロントと客室の間には中庭があり、小さな滝や池、木や石がバランス良く配置されています。大きな庭ではありませんが、この空間、歩く歩数、すべてが丁度良く素晴らしい。

フロントと客室をつなぐ通路と中庭
中庭から湧き出る湧水

最近、欧米で大人気となっている日本の戦国時代を描いた戦国スペクタクルドラマ「SHOGUN 将軍(Disney+にて配信中)」にハマっていて、何度も繰り返し観ているのですが、そのオープニング映像でも日本文化を象徴するものとして登場するのが枯山水。それなりの規模の枯山水は、京都のお寺でしか見れないイメージがあるのですが、実は「極楽温泉 匠の宿」さんにもあるんです。

客室から高千穂峰を望む中庭にある枯山水

宮崎県内にこんな立派な枯山水があるのも驚きでしたが、これは客室の廊下から見ることができ、贅沢にも高千穂峰、霧島連山を借景にして楽しむことができるのです(この日は残念ながら曇っていて、山々の写真を撮ることはできませんでした)。

読書、文筆などに使える部屋「山房子」
客室の廊下にある休憩スペース

廊下を歩いても、お部屋を見せてもらっても、どこもかしこもとにかく隙がない空間のデザインです。それも、建築当初の設計という意味だけではなく、日々の掃除、置いてある物の無駄のなさや角度、あちこちに置かれた花瓶と花、本棚に置かれた本等々、まさに今のこの瞬間、時の流れの中でのデザインを感じます。

特別客室
温泉付き特別客室の源泉掛け流し温泉

「極楽温泉 匠の宿」さんの敷地内には、宮崎市の建築家の集まりである「竹の会」による建築図書館があり、温泉利用者の休憩所として開放されています。この空間もまた何とも言えない落ち着きと美しさがあります。勝手な推測になりますが、建築についての造詣が深いご主人だからこその、この素晴らしい宿なのかもしれません。いや、きっと間違いないでしょう。

休憩所「木守り」・建築図書館
建築デザインに関する書物

一通り敷地の中を撮影した後は、会席料理を撮影させていただきました。ちょっと本題から外れますが、今回の撮影ではいろいろと反省点や学びがありました。温度が関係する料理の撮影は時間が勝負です。その上、撮影後に実際にモデルさんが食事しているシーンも撮影するため、霧吹きを使ったり、艶出しのオイルを塗ったり、食事の味を変えてしまうようなことは出来ない環境でした。

最も難しかったのが、動画撮影と写真撮影のライティングの違いでした。そもそも静止画は撮らない予定だったのですが、それはもったいないということで急遽撮影することになり、それもあって準備不足でした。夜なので当然ながら自然光はなく、動画撮影なので照明はLEDの定常光です。静止画はしっかりストロボなりで強い光量を当てたかったのですが、限られた時間の中でもはや頭も手もいっぱいいっぱいです。動画は複数台体制で撮っていたため機材に余裕はなく、動画を撮り終えた後に静止画用の設定に切り替える必要があり、もはやパニックです。

あれもこれもやってみたい、という欲求により仕事をより複雑化してしまい、いろいろ問題点を生み出してしまうのは、成長のために不可欠な要素と捉えるか、プライオリティの設定ミスと捉えるか、難しいところです。

さて、また大きく脱線したので、本題に戻ります。

もはやアートな前菜

「極楽温泉 匠の宿」さんの料理は、日本全国から厳選した食材をふんだんに盛り込んだ山河料理のフルコースです。野趣あふれる猪や鴨、美しい湧水で育った鯉や山女魚、地元でとれた新鮮な野菜をご亭主自らが全てを仕込み、ご提供します。

これまで、「極楽温泉 匠の宿」さんの随所に素晴らしく洗練されたデザインを感じることができると紹介してきました。感じるのは随所であっても、デザインは総合的かつ一連の行為であるという意味においては、デザインされているのは全てと表現した方が適切です。そしてその明確な意思が凝縮され、一つの器の中に世界観を創り出しているのが、ご亭主が作る料理です。

今回は実際にモデルさんに食べてもらったため、約二時間かけて料理が提供されました。美味しそうな香りがする素晴らしい料理をひたすら撮影するのは、なかなかの地獄でした。

山女魚がまるまる入った骨酒が出てきた時には、懸命に撮影しつつ、脳裏では「今は何の拷問を受けているのだろうか」と自問自答を繰り返していました。撮影時、私は断酒中でしたが、これらの素晴らしい料理を前にして、理性を保つのは無理だったと思います。

山女魚の骨酒

視覚と味覚、嗅覚から理性を操作される料理は、まるで魔術のようでした。ちょっと大袈裟かもしれませんが、実際に美味しい料理を食べながら酒を酌み交わし、気分を高揚させていたら、そんなことは考えもしなかったはずです。飲まず食わずで撮影だけをしていると、脳がバグっていろいろと思いを巡らせてしまうものなのです。

撮影を終えると、ご亭主にお気遣いいただき、お肉やご飯、料理を少しずつ味見させていただきました。美味しそうな料理を前に、視覚と嗅覚だけに情報が偏っている時間が長かったため、あやうくメンタルをやられそうでしたが、何とか持ち直しました。

料理の撮影を終え、中庭に出てみると、夜も最高の雰囲気でした。しかし、この頃になると、既に撮影を開始して6時間程経っており、気力も体力も限界を迎えていました。

夜の中庭
フロントから温泉への通路

へとへとになっていてお腹も空いていて、集中力も著しく低下していましたが、最後の力を振り絞り、営業時間が終わった後の温泉(大浴場)の撮影をしました。

にごり湯百選にも選ばれる「極楽温泉 匠の宿」さんの名湯は、神武天皇が御誕生され諸物を洗い清められたと伝えられる血捨ノ木川から引く源泉で、黄金色に輝く炭酸鉱泉は様々な効能が人々のカラダを癒してくれます。

男湯の内湯と高濃度炭酸鉱泉
男湯の半露天水風呂
男湯の炭酸鉱泉露天風呂

男女それぞれ、内湯、源泉水風呂(高濃度炭酸鉱泉)、露天風呂、水風呂、写真はありませんがサウナもあります。日帰り入力も人気で、地元の人もよく利用されるそうです。

ここで、今回の取材は終了です。この後、一時間以上かけて宮崎市に戻り、帰宅したのは23時を過ぎていました。まあまあなハードワークで、クタクタになりました。今後も追加取材がありそうですが、次こそは「撮影クルーも宿泊させてもらった方が、絶対にクオリティが高い映像が撮れる」と必死に主張したいと思います。

実際に宿泊して、食事をしたり、温泉に入ったりしたわけではないので、このレポートがお役に立つかどうかはわかりませんが、とにかく宮崎県が誇る素晴らしい温泉宿であることは、自信を持って宣言できます。ぜひ、宮崎県にお越しの際には、ご検討ください。


極楽温泉 匠の宿
〒889-4414 宮崎県西諸県郡高原町大字蒲牟田7449
TEL.0984-42-3326 FAX.0984-42-3780
受付時間 8:00~22:00 / 定休日 水曜日・木曜日


今回の取材は、宮崎県高原町で起業したばかりのファーストジャパン株式会社様のご依頼で実施しました。同社は地域の資源を発掘、創出することを事業ドメインとしてスタートし、まず最初に着地型観光事業を中心に事業展開していく予定です(まだ設立したばかりで Webサイトも開設していない状況ですので、詳しくは改めてご紹介します)。

今回撮影した映像を、台湾の事業者向けプレゼンテーションのイントロダクションビデオ(プレゼンテーションの冒頭に流す短めのオープニング映像)として早速利用しましたので、ぜひそちらもご覧ください。

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