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#11 「バランスが良いとは?」

産業保健もやもやハレハレ

この番組では、産業保健についてモヤモヤするけれど、身近に語れる人がいない!そんな孤独な産業保健職と一緒に、現場にありがちなモヤモヤを3人のパーソナリティと共に深掘りしてみます。

「バランスが良いとは?」のもやもや🌥️

よーた:今日のテーマは「バランスが良いとは?」というテーマを扱っていきたいと思います。よく「バランスが大事」って言うけど、具体的にどういう状態を想定していて、産業保健の中でバランスがよいと、どんなゴールとか役割を実現できるのか、みたいなところを聞きたいと思ってます

いが:面白い切り口だねー

よーた:みずえさんも「バランスがいい」って使ってるでしょ?

みずえ:私スナックやってるんだけど、そこに、産業医やってる方が保健師さん連れてきたのよ。で、「彼女バランスが良いんだよ〜」って言ってて、そのバランスがいいを褒め言葉として使ってたんだよね

今回の元ネタになったツイート
https://x.com/hokenshi_ahora/status/1711585252035195186

いが:確かに「バランスが良い」って褒め言葉として使うし、いい言葉だよね

なにかに偏っていないことが産業保健活動のバランスの良さ

いが:例えば、バランスのいい食事って、よくわからないじゃないですか。でも逆に、バランスが良くない食事は、偏った食事ってイメージしやすいというか。だから偏食を考えるとバランスの良さがわかってくると思うんです。

よーた:たしかに!

いが:だから、偏った産業保健活動って何かっていうと、自分の価値観を押し付けるとか、情報を片方からしか聞かないとか、そういうことが偏った感があると思うんですよ。偏り感のある人が、バランスがよくないって評されやすいと思うので、結果的には、偏り感のないところが、バランスの良さになってるんじゃないかなって。

よーた:なるほ

みずえ:それ、会話とか対話みたいな文脈?

いが:そうそう。産業保健活動って基本コミュニケーションだから、それが偏り感なんじゃないですかねえ。産業保健現場なのに、自分の臨床経験の話ばっかりするみたいな笑 産業保健の色々活動がある中で、自分はこれしかやりませんとか言ってる人って偏ってるし、バランス取れてないよね〜

みずえ:それを受けてどう?よーたさんは

べき論と全体最適を同時に満たす

よーた:バランスの良さって、僕は、プロフェッショナルな誇りのこだわりと、べき論。この 2 つを同時に満たせる人がバランスいいなと思う

いが:ほうほう

よーた:べき論っていうのはその「偏り」だよね。「こうあるべきだ」って仮に正しいことを言っていたとしても、実はあまり全体最適にならないような気がする

みずえ;わかる

よーた:あくまでもゴールのために、全体最適を模索する、様々な意見を受け入れていく、そういうのがバランスの良さだなと思ってて。受け入れながらも、このゴールのためにはこれが必要なんじゃないかみたいな自分の意見も持ってるっていう

みずえ:べき論と、全体最適。

よーた:そう!

みずえ:全体最適も、よく使うもんね

よーた:意見を受け入れていくっていうことだね。だけど、受け入れながら、自分の意見も言うっていう。そういう形でできる人がバランス良いなって思ってて、逆にどっちもないとバランス悪いなって思う

いが:たしかに。自分の中の専門家としてここだけは言いたいっていうのも自分の意見だし、べき論も自分の意見だから、その 2 つをちゃんとわきまえた上で、みたいな・・・

よーた:うんうん。「あ、なるほどね」「で、僕はこう思う」みたいな こういうものが、バランスの良さとして大事だよね

会社がやって欲しいことを理解して行動する

よーた:スナックの褒めてた話で、バランスの定義については何か言ってた?

みずえ:その時はそこまで話せなかったんだけど、彼女がバランス良いって感じたのは、その場で適切なコミュニケーションを選択してたの。話を聞く時は聞く、話す時は話す、自分の意見を言う時は言う、みたいな。私が(スナックの)ママなんだけど、彼女は私の動きを見て、自分がすべきことを考えて判断して行動してたの。それがすごいなと思って。

よーた:それすごいね!

みずえ:以前、受け持った企業で、みずえさんバランス良いねって言われたことがあったんだけど、その担当者さんが言うには、「会社がやって欲しいことを理解して行動するよね」って。

いが:なるほどねぇ

みずえ:自分がやりたいことをゴリ押ししないで、会社がやりたいことと自分の意見を擦り合わせて、バランスとりながらやってるよね、って。自分を持ちつつ、相手が望むものを理解して、バランスを取るっていう。。。笑

よーた:理解しようとする気持ちが大事だよね。相手が言ってることを理解したい、なるほどそうなのか、みたいな。それが受け入れていくっていうことの姿勢だと思う

みずえ:そうだね〜。でもそれだけ、自分のやりたいことばかりを進めたい産業保健職がいたんだなって思った。すごく勉強熱心な方だったから、健診結果を分析をしたい、その上で施策を立てたい!みたいな思いがあったのかなって。でも、その時のその企業の中ではそれは求められてなかった。。。

いが:前任者がそんな感じだったからこそ、みずえさんの活動が、「バランス取れてるな」って思われたのかも

みずえ:そうだと思う

よーた:前任者は「べき論」が強かったってことだよね

みずえ:すごく「できる人」だったから・・・

よーた:「できる人」?

みずえ:お勉強熱心な方だったからね、、、(企業側とは)合ってなかったんだけど・・・。「できる」って定義もあやふやですよね。

よーた:勉強とか、知識って意味で「できる」って意味ですよね

みずえ:そうです

よーた:でも、それが価値あるものかってのは別だからね。価値というのは、自分の価値ではないからね

バランスの良い人が現場では重宝される

いが:産業保健職の「できる」とは何かっていうのも、まだ言語化されてない領域だよね。知識や姿勢、勉強するとかが「=できる」じゃないんですよね。企業の中で活躍できるかって全然別の次元というか。結局バランスの良さが、やっぱり現場では重宝されるということなんでしょうねぇ笑

みずえ:あ、またバランスって言葉使ったwww

いが:べき論とか、押し付けがましさとか、とがり感は企業では求められてないんですよねー

みずえ:そう、ニーズだよね。

思ったんだけど、会社は求めてないのに、ものすごい質の高いものとかやりたいって言われても、会社はお腹いっぱいになったりするじゃない。今それじゃないのー、って笑 そういうのが大事かな、と思って

いが:確かにね。バランスが良いって褒め言葉なのは、人材としての使いやすさとか産業保健職の能力に直結するんだなって今思った。「あの人バランス良いですよ」って個人的に誰かを推薦する時にもちょうど良いよね、そういう使い方するよね

よーた:たしかに、紹介する時に「彼、バランスいいんで〜」とか、言っちゃうよねww

みずえ:そうなの、言っちゃうの!!

よーた:しかもそれが通じるっていう。さっきコミュニケーションの観点で、受け入れながら自分の意見も言うって言ったけど、仕事進めるところでもバランスの良さって出るなあと思って。さっきみずえさんが言ってた「今それじゃない」っていうことは、優先順位が(周囲にとっても)納得感のあるものなんだろうね。

みずえ:あ、そうだねー

よーた:「こっから手つけたら良いよね」みたいな。そして、それが企業のニーズとも合っていると。それも含めて、バランスの良さなのかもしれないね

みずえ:そう!

ネットワークがないとバランス力は養えない

よーた:でもどうやったら、バランス力が養えるのか。極めて難しい質問だよね笑 でも、これ言語化したいよね

いが:3つあって、1つ目としては「ネットワーク」でしょうね。産業保健職同士のネットワークで、色んな人と話をするからこそ、相場感がわかるとか、優先順位がわかる。まずはネットワークがないと、バランス力が養えない。産業保健職として単に知識を身につければいいわけではない

よーた:たしかに

いが:2つ目は、自分の「やりすぎ感」とか「べき論」とか、自分が持っている認知の偏りを意識して、抜けるということ。「べき論」から抜ける

よーた:ふむ

いが:最後の 3 つ目が、専門職としてやるべきこととか、ここだけは揺るがない!バランス力があっても、自分の軸とか芯を持っておくことかな

よーた:たしかに。しかもそのネットワークが、多様性あるネットワークだとよりバランスいいよね。例えば、産業医だけとか、産業医科大学卒業生だけとかで固まっている人は偏ってる気がする。

いが:そうだよね

一歩踏み込まない限りはバランス力はつけられない

よーた:看護職、心理職、人事、弁護士、社労士とか、ビジネスパーソンとか、色んな職業の人たちと分け隔てなくネットワーキングしてる人って、比較的やっぱりいろんな意見を言ってくれるし、色んな意見も受け入れてくれる感覚があるんだよね。どうやってバランス力養うかでいえば、やっぱり、いがちゃん言うようにネットワーキングなんだけど、様々なコミュニティに入っていく、みたいなのはたしかにあるな

みずえ:そうそう。偏ったネットワーキングだけじゃ全然意味がない。多様性がそこには必要だなって思った

よーた:LGBTQや女性とか、さまざまな属性を持った人から密に教えてもらうのが大好きで、うちのゲイの社員から色々教えてもらって、ツアーとか組んでもらって、それでははじめてわかる、理解しようとする、ことが大事だなって思った。

いが:うんうん

よーた:様々な属性の人たちと接して、背景を理解することって大事だよね。一歩踏み込んで、コミュニケーションする、理解しようとする、ことってすごい大事だなって思った

いが:その先にバランス力が作られてくわけですね

よーた:一歩踏み込まない限りは多分バランス力はつけられないんじゃないかな。アメリカみたいな色々な人があらゆる場面にいる国は違うと思うけど、日本は特に、単一国家で、男性ばかりで、ようやく少しずつ色々な人が増えてきたけど、多様な人たちとの接点を積極的に持ち続けていこう、っていうのは大事だなと思う

みずえ:そうだよね。日本って、あまり自分の考えてることとか価値観とか紹介したりしないから「どうせ、同じこと考えてるだろう」という前提になりがちで、ちょっと価値観が違うと「べき論」がぶつかったりしそうな気がする。だからやっぱりそれを関心を持って理解しようとすることが大事かなって思う

「バランスが良いとは?」のはれはれ🌞

よーた:ということで、ハレハレいきますか!

みずえ:どうすんの?これ これハレハレできる?笑

よーた:でも今回 3 人それぞれ話したけど、結構似てるなって思った笑

いが:そうねー

よーた:同じことを言ってたし、どうやって養うのかも同じような考え方だったんで、俺の中では、「ハレハレ〜」です!

いが:笑笑  我々は言語化できて、すごい気持ちが晴れたよね

自分の内側を見ることができれば自分のこだわりや偏りが見える

よーた:みずえさんはどう?

みずえ:私は、1 つは、べき論に似てるけど、「内省力」かな。自分の内側を見ることができれば、自分のこだわりとか、偏りが見えると思うの。そうすれば、1 回脇に置いとくことができる。なので、「自分の内側を見る力」が必要だなって思う

いが:1 回脇に置いておくって大事だね。バランスのために

みずえ:そうなのそうなの!

いが:その言葉、響いたわ

相手の関心に関心を持つ

みずえ:2つ目は、相手の関心に関心をもつ。その人に関心を持つんじゃなくて、この人どんな人かな〜っていう分析でもなくて、その人はどこを見てるのかな〜って関心を持つってこと。私は、例えば健診結果に関心をもってるけど、その人は違うことに関心をもってるかもしれない

いが:なるほど

よーた:めちゃくちゃいいこと…

みずえ:いいこと言った?笑

よーた:「関心に関心を持つ」っていうことやね?

みずえ:そうそうそう

よーた:なるほどね。いや〜最後素晴らしい言葉だね

みずえ:ではこの辺りで今回は締めましょうかね笑 聴いてくださりありがとうございました〜 また次回お会いいたしましょう〜!

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