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管理職に必要なこと⑧コンプライアンスへの高い認識をもち自らが実践できている

あらゆる事業活動はすべて「安全とコンプライアンスの上になりたっている」ことを日々痛感しながら仕事をしています。そして、ことあるごとにこの重要性を感じる日々です。最近はここに「1人ひとりの健康」が加わっていて、すべての事業活動は「安全、健康、コンプライアンス遵守」が基盤という思いで仕事をしている。

労働災害の分野では「ハインリッヒの法則」はよく知られている。1件の重大事の背後には、重大に至らない29件の軽微な事故が隠れており、さらにその背後には事故寸前の300件の異常やヒヤリハットというものがあるということ。

このハインリッヒの法則は、私がすべての事業活動の基盤と考える「安全、健康、コンプライアンス」すべてに共通する考えだと思う。安全、健康、コンプライアンス遵守は重大な案件が起きる前に、数々のアラートが発せられていることが多い。だからその芽をはやく摘んで、大きな問題になる前に丁寧に1つずつ対処することが必要なのである。

安全、健康、コンプライアンス。このどれかで1件でも重大な案件が発生すると、正常な事業活動は必ず止まってしまう。そして、一度重大な案件が発生してしまうと、事業活動が止まってしまうだけではなく、起きてしまったことへの「対応策」に会社を導くべき管理職を中心とした多くのメンバーの時間と労力が相当奪われてしまう。さらには、再発防止策、予防策のための検討がはじまり、組織規模が大きければそれを第3者に判断してもらうための材料を集め、そこで決定された再発防止策、予防策で決められた「手順の増加」が発生し、労働生産性が下がるとともに、これが徹底されているかのフォローアップまで実施する必要性がでてくる。

これだけでもかなりの大きな損失を発生させることになるが、それよりも何よりも、最も大事なことは安全、健康、コンプライアンスで重大な案件が発生することで、かけがえのないメンバーがそれまでと同じように仕事を続けることができなってしまう。場合によっては仕事に復帰できなくなってしまう事例もある。そしてその影響は当事者だけではなく、その周囲にも影がでることがある。「この会社で働きたい」と思った人が働けなくなり、この事態が管理職やリーダーにとっては一番つらい。

安全、健康、コンプライアンス遵守はどれも会社にとって重要なことだからこそ、様々な対策が法令等でも講じられている。安全衛生委員会の設置、心と体の健康チェックのためのストレスチェックや健康診断、そして相談窓口の設置などは企業の規模に応じて義務付けられている役割である。

しかし、これだけ重要と声をあげても、そして義務付けられている役割を果たしても、残念ながら企業では安全、健康、コンプライアンス遵守に関する重大な案件や、その一歩手前の案件が発生してしまう。

定期的、定型的な啓蒙や活動はもちろんのこと、これに加えて不定期、不定形の取り組みを組みわせることが必要になるが、管理職としてやるべきことは「自組織、自社、そして社会で発生している安全、健康、コンプライアンス遵守をおびやかす案件を把握したうえで、現場に足を運ぶこと」なのだと思う。常に自らの安全、健康、コンプライアンス遵守のアンテナを高くもちつづけ、現場に足を運んだときには、その視点で確認、チェックを行うとともに、必ず決められている再発防止策、予防策を頭にいれて、それが「実行されているかを確認する」役割がある。

幸い法令で定められていることもあり、安全、健康、コンプライアンス遵守については重大案件が発生したことがあれば、しっかり会社に記録として残されていることが多い。そのため、新たに管理職を任されたり新しい組織の管理職を任されたら最初にやるべきことの1つは、過去に発生した案件を確認し、その予防策、対応策が実行されているかを自らの目で現場で確認し、必要に応じて軌道修正することだと思う。

最後にともに働くメンバーの安全、健康、コンプライアンス遵守を導くには、自らが実践できることが必須。しかしながら万全の予防策や再発防止策を実施しても安全、健康は最後の最後にどうしても自分1人ではやりきれないことがあるのも事実。しかしながらコンプライアンス遵守だけは、必ず自分が自分をコントロールすることができる。だからこそコンプライアンスを遵守できない管理職は管理職として存在してはならないし、人として正しいことを信念もってできることが大事。さらにはそのための新しいこと、基本を勉強しつづける姿勢と、正しい眼を養う人間力の向上が管理職にはより一層求められる。

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