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2004年『過去からの日記』感想

2004年『世にも奇妙な物語 特別編』より「過去からの日記」(原案/高橋徹郎)観賞。西島さんはデビュー作こそ売れたが、その後なかなかヒット作が書けない作家、山岡役。ある日、自分の処女作がまとめて安価で売られていたのを見つけ、買って来てしまうが、その中に全く知らない人の日記が紛れ込んでいるのを見つける。

気楽な感じで日記に返事を書くとその日記から返事が来た。
日記の主は17歳の女の子。山岡の住む時代は2004年。その日記には2001年と記されていた。しかし、不思議に思いながらもふたりはずっとやりとりを続けた。山岡は書くことが上手く行かない、死にたいとも記す。すると少女は自分が病に侵されていることを日記に書き、山岡は詫びる。
私自身が物を書く人間のせいか、一本作品を書いた後の書けない気持ち、認めてもらえない気持ちと言うのは身につまされる。けれど現実に病気で苦しみながら生きている人に対して比べ物にはならない。

山岡は不器用な優しい言葉で少女を励まし続け、奇跡は自分で起こすものだと半ば、自分に言い聞かせるように少女に呼びかける。そして遂に「会おう」と日記に書く。

終始、言葉少なで、ナレーションとして続くふたりの会話。その静寂さがこの物語のラストの表情の変化に鮮烈な印象を残す。少女、ゆりえ役には初々しく表情豊かな蒼井優さん。西島さんも終始静かなのですが、ゆりえの辛さを想い、泣き崩れて日記に涙の痕を残してしまうような柔らかな心を持っている。夢のような、でももしかしたら未来で現実で起こすことが可能なのでは、なんて思いたくなるとても素敵な物語でした。

山岡役の西島秀俊さん
ゆりえ役の蒼井優さん

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