幸坂かゆり

物書き。日常のような掌編集。ひとりの時間に出会った創造。

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マガジン

  • 西島秀俊さんの作品鑑賞記録

    ファンである西島秀俊さんの映画やドラマの感想を書き連ねています。新旧など順番は不同です。Twitterのモーメント機能に書いていたものをこちらに移しました。

  • 短編 / 掌編

    エコバッグに詰め込んだアイディアたち

  • ソファーの上でロマンスを

    2004~2006 Novels Archive 大澤誉志幸さんの音楽から想起した物語。

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2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 最後に

🤖 Sunny is now streaming on Apple TV+ 悲しいながらも、どこかすっきりとした後味のするラストでした。 音楽の力も大きいのかも知れない。 いつも、この物語のこのシーンにこの曲がかかったらいいのに、とずっと他作品で思って来た。けれど実際はレーベルや著作権という壁があり、叶わないことが通常なのだと思っていた。しかしそこをすり抜けてしまったのが『SUNNY』だった。 Apple Musicのリストと言う便利機能は、いとも容易くレーベルを越えて音楽

    • 2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 10

      🤖 第9話の感想&ネタバレ 第10話 The Dark Manual(邦題「ダーク・マニュアル」) 冒頭、節分の文化について語るマサのナレーションから始まる。 鬼は外、福は内、と掛け声を合わせ、鬼に豆を投げつける。 自分たちの夢や喜び、家族を奪おうとする悪しき鬼たちを追い払うために。 "鬼に金棒" ということわざがある。恐ろしい鬼に金棒を持たせれば、さらに強く無敵になり手が付けられなくなる。鬼たちが迫っている。金棒を探している。だから今日、僕たちは止めなければならない。

      • 2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 9

        🤖 第8話感想&ネタバレ 第9話 Who's in the Box?(邦題「箱の中身は何だろな?」) いよいよ大詰めの第9話、と思ってドキドキして観始めたら……。 いきなり別の番組が始まったかのような陽気な映像が(笑)日本のバラエティでは有名なコーナー『箱の中身は何だろな?』が行われます。(自分からは見えない箱の中に手を入れて中身を当てるクイズ)レトロでいてこの色の組み合わせは下手すると悪趣味すれすれ、と思ってしまいそうな堪らなくポップなセットで可愛いですが、このセットで

        • 2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 8

          🤖 第7話感想&ネタバレ 第8話 Trash or Not-Trash(邦題「ゴミかゴミじゃないか」) 8話は待っていたマサの若い頃の回想回。 ヒロマサのナレーションから始まる。 それはマサの幼少時代に遡る。マサは無邪気にカブト虫を追いかける少年だった。けれど何故か父親には認めてもらえない。ノリコがフォローして月日が経ち、マサは成人し、年老いた父親は病院で臨終の時を迎えるがその時もノリコはマサを病室に通すのを拒んだ。マサはどれほど父親の意識が薄れ肉体が衰えようとも絆だけ

        2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 最後に

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        • 短編 / 掌編
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          16本

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          2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 7

          🤖 第6話感想&ネタバレ 第7話 There's Been a Shift(邦題「豹変したアイツ」) クリスマスまで遡る冒頭シーン。 以前、バー「OCHIBA」でミクシーが「最近、議員がボットに潰されて死んだ話知ってる?」とスージーに話していた。スージーは本気にしなかったが検索した所、議員、伊藤庸二郎が死んだとされる現場写真で血のような線が床についていた。その後ボットが液体を踏んだまま進行するとあのような線ができるとワインを踏んだサニーから判明していた。 その伊藤議員は

          2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 7

          2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 6

          🤖 第5話感想&ネタバレ 第6話 Kyoto Manju, So Delicious(邦題「京都のおまんじゅう」) 今回はノリコの奇行から始まる。 なぜかコンビニ店員に「私を見ていなさい」と注目を集めてから、敢えての万引き。何故(なにゆえ)の行動か。 スージーとミクシーは京都に戻り、サニーの捜索願いを出そうとするが、警察官に、人間としてサニーを説明するのに苦労し、おまけにミクシーが途中で席を立ってしまったので正直にサニーはボットだと話す。結果「ボットは盗難届け扱いになる

          2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 6

          2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 5

          🤖第4話感想&ネタバレ 第5話 Joey Sakamoto(邦題「坂本ジョーイー」) 最高にサニーの表情が可愛い回です。 配信時、なぜサニーちゃんのスタンプとかグッズを出して、バーッと話題作と触れ込んでくれないのか、と地団太踏みました(笑)そんな5話ですがサニーの可愛らしさとは裏腹に悲しみに胸が痛む回でもあります。 京都にいては危ないからと、スージーとサニーはミクシーの故郷で叔父がいる農場へと電車で向かっていた。その電車の中でスージーは、息子、ゼンが主役を演じる学芸会に

          2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 5

          2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 4

          🤖第3話感想&ネタバレ 第4話 Sticky(邦題「ねちっこい女」) 冒頭、フラッシュバック。 マサがゼンをサイドカーに乗せ、学校に送り届ける。ゼンを見送った後、そこで敵を見つけて追い詰め、銃を発砲するマサ。その後、バー「OCHIBA」でヒメと密会する場面。 現実ではマサの葬儀。 スージーはヒメを見つけて追いかけようとするも、色んな人に話しかけられ彼女を見逃がしてしまう。しかしマサの大学時代の同級生という男性からマサの父親について違和感のある話を聞く。マサの父親は亡くな

          2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 4

          2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 3

          🤖 第2話感想&ネタバレ 第3話 Mmmm, Hinoki(邦題「ヒノキの香り」) 冒頭からエキセントリックなYOUさんが登場。 ヒメ(YOUさん)と呼ばれる女性はプラチナブロンドのアシンメトリーなボブカットに濃いメイク、黒づくめの服装をしている。小指の一部を失くしている彼女はヤクザの幹部の娘である。穏やかな声で向かいにいる女性(Ishii Erikaさん)に話しかけているが、近くの部屋からは拷問による男の悲鳴が聞こえていて女性は怖さを隠しながらヒメの話を聞いている。ヒメ

          2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 3

          2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 2

          🤖 1話感想&ネタバレ 第2話 Don't Blame the Machine(邦題「機械は悪くない」) ブラックコメディとミステリーを兼ね備えたドラマ作品。 コリン・オサリバンの原作『ダーク・マニュアル』をベースにしています。原作は読んだことがないのでドラマでストーリーを初めて知りました。1話では重要人物の登場と関係が判り、2話では起きた事柄が過去と現在を交えてランダムに映し出されています。今回の2話回想シーンではスージー(ラシダ・ジョーンズさん)とマサ(西島秀俊さん)

          2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 2

          2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 1

          🤖Sunny is now streaming on Apple TV+ AppleTV+とA24がタッグを組んで制作したドラマ『SUNNY』(2024年7月)視聴。ディレクターはルーシー・チェルニアクさん(Lucy Tcherniak)他。脚本はケイティ・ロビンスさん他。コリン・オサリバン氏の小説『ダーク・マニュアル』をベースにした物語です。ヒロインであり妻、スージー役にはラシダ・ジョーンズさん。夫、マサ役に西島秀俊さん。西島さんが日本で長い間所属していた会社から独立した

          2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 1

          夢の中のノンフィクション

          「すごいです! 来生さん、挑戦されてるんですね」  麻生桃子が大きな声とまっすぐな眼差しで、来生(きすぎ)に言った。街の中の更に奥の路地にある小さなレストラン。来生はそこで仕事をしている。麻生桃子とはここで知り合った。仕事以外での関係はない。  麻生桃子が放った言葉の意味。それは先日来生が受けた映画のオーディションの事だ。来生はその映画の役を獲得するべく、その場に赴き、一次審査の書類選考をパスした後、二次審査の結果を待っていた。結果は合格だった。次は最終審査だ。あまりにも驚

          夢の中のノンフィクション

          掌編『ざわざわ』

           僕が初めてあなたに会ったのは雨の日だったね。  僕は仕事の帰りで広い車の中で快適に後部座席に身を沈めていた。そう、結構良い仕事をしていたんですよ。運転手なんてつくくらいのね。 土地の開発の為、森林の整備をする。この日全ての契約が纏まり、天気とは裏腹に心の中は達成感で一杯だった。  あなたはその日、誰かを待つように公園のブランコに揺られていた。 袖のない薄紫色のワンピースを着て黒くて長い髪をアップにして雨風に身を任せていた。洋服が雨に濡れてあなたの肌にしっとり張り付いていた

          掌編『ざわざわ』

          1995年映画『さわこの恋2 1000マイルも離れて』感想

          1995年映画『さわこの恋2 1000マイルも離れて』(監督・脚本/村上修)鑑賞。若かりし西島さんは人気脚本家という役柄。なお、2とある通り1もありますがそちらはキャストが全く違います。 当時流行ったトレンディドラマを映画にしたような作品でした。 まだまだ売れっ子タレントやプロデューサーが幅を利かせ、ふんぞり返っている時代だったのか、派手なキャラが多数登場し劇伴もうるさいくらいだった(すいません)。物語はこの後、さわこと吉田の恋愛へと発展していきますが、実はさわこの悩みの内

          1995年映画『さわこの恋2 1000マイルも離れて』感想

          2005年『メゾン・ド・ヒミコ』感想

          2005年映画『メゾン・ド・ヒミコ』(監督/犬童一心)鑑賞。 老年を迎えるゲイたちが過ごすための老人ホームのお話。 多分、西島さんが出演していなければ縁がなかった作品です。男女問わず年老いて逝く先は同じだけれど、その間にどう生きるかという住人たちの感情のオチのオチのオチまで丁寧に描いた作品でした。あくまでも人生最後という意味のオチではなく、感情のオチです。 オダギリジョーさん演じる岸本は、ゲイだと言わなければ女性たちをも惹きつける整った容姿をしている。親子以上に年の離れた

          2005年『メゾン・ド・ヒミコ』感想

          2019年『きのう何食べた?』Season1 感想

          2019年『きのう何食べた? Season 1』(監督/中江和仁/野尻克己/片桐健滋、脚本/安達奈緒子)鑑賞。 よしながふみ先生の大ヒット漫画のドラマ化です。その後2023年にSeason 2も放送されました。こちらの方が先ではあるのですがリアルタイムで視聴しておらず(知らなかった)劇場版を観た後の視聴となりました。 「劇場版『きのう何食べた?』」の感想はこちら ↓ 内容は、几帳面で料理を作るのが得意な弁護士、筧史郎(シロさん/西島さん)と人当たりの良い美容師、矢吹賢二(

          2019年『きのう何食べた?』Season1 感想