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西島秀俊さんの作品鑑賞記録

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ファンである西島秀俊さんの映画やドラマの感想を書き連ねています。新旧など順番は不同です。Twitterのモーメント機能に書いていたものをこちらに移しました。
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ご挨拶

こちらの記事はタイトルの通り、 西島秀俊さんが出演された映画やドラマの感想を書いたものです。 幼少時代から一方的に感情をぶつけられるドラマが苦手でした。 トレンディドラマが流行り、朝ドラ、連ドラを周囲のみんなが話題にする中、加われない日々が続き、50年ほど経ちました。好きなのはCM、あまり激しくないバラエティやクイズくらいでした。そんな私に、この人の映画は観なければ語れない……! と、思わせてくれたのが西島秀俊さんでした。 ある日、苦手な食事作りの献立に困り、動画サイトで

2004年『過去からの日記』感想

2004年『世にも奇妙な物語 特別編』より「過去からの日記」(原案/高橋徹郎)観賞。西島さんはデビュー作こそ売れたが、その後なかなかヒット作が書けない作家、山岡役。ある日、自分の処女作がまとめて安価で売られていたのを見つけ、買って来てしまうが、その中に全く知らない人の日記が紛れ込んでいるのを見つける。 気楽な感じで日記に返事を書くとその日記から返事が来た。 日記の主は17歳の女の子。山岡の住む時代は2004年。その日記には2001年と記されていた。しかし、不思議に思いながら

2005年『メゾン・ド・ヒミコ』感想

2005年映画『メゾン・ド・ヒミコ』(監督/犬童一心)鑑賞。 老年を迎えるゲイたちが過ごすための老人ホームのお話。 多分、西島さんが出演していなければ縁がなかった作品です。男女問わず年老いて逝く先は同じだけれど、その間にどう生きるかという住人たちの感情のオチのオチのオチまで丁寧に描いた作品でした。あくまでも人生最後という意味のオチではなく、感情のオチです。 オダギリジョーさん演じる岸本は、ゲイだと言わなければ女性たちをも惹きつける整った容姿をしている。親子以上に年の離れた

2019年『きのう何食べた?』Season1 感想

2019年『きのう何食べた? Season 1』(監督/中江和仁/野尻克己/片桐健滋、脚本/安達奈緒子)鑑賞。 よしながふみ先生の大ヒット漫画のドラマ化です。その後2023年にSeason 2も放送されました。こちらの方が先ではあるのですがリアルタイムで視聴しておらず(知らなかった)劇場版を観た後の視聴となりました。 「劇場版『きのう何食べた?』」の感想はこちら ↓ 内容は、几帳面で料理を作るのが得意な弁護士、筧史郎(シロさん/西島さん)と人当たりの良い美容師、矢吹賢二(

2024年『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』感想

2024年ドラマ『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』(演出/坪井敏雄、富田和成、石井康晴、元井桃)鑑賞。 最初、西島さんが指揮者を演じると知り、不安でした(突然すいませんw)プライベートで楽器を嗜んでいるのは知識として知ってはいましたが、感情を露わにする印象のある指揮者は、正直、西島さんにとって苦手な部類なんじゃなかろうかと。そんな失礼な先入観から鑑賞を始めましたが前言撤回。心優しく情熱的(アパッシオナート)なマエストロ、夏目俊平を見事に演じました。素晴らしか

2024年「『黄金の刻』~服部金太郎物語」感想

2024年ドラマ『黄金の刻』~服部金太郎物語~(演出/豊島圭介、脚本/高橋泉)鑑賞。セイコーブランド100周年を記念して制作されたドラマ。 この作品はその創業者である服部金太郎と彼を支え、一緒に夢を実現させる仲間たちとの触れ合いを描いております。 主人公、服部金太郎の青年期を水上恒司さん、壮年期を西島秀俊さんが演じました。原作は500ページ近くある巨編なので、2時間ドラマに収めるにはかなり詰め込んだ形に思えましたが、だからこそ役者さんたちの集中力や緊迫感がこちらにまで迫って

2023年『首』感想

2023年映画『首』(監督/脚本/原作/ 北野武)鑑賞。 昨年11月には鑑賞していたのに随分遅くなってしまいました。 そして! 尾張言葉で話す狂気の織田信長を演じ、鮮烈な印象を残した加瀬亮さんは、2024年3月8日に行われた第47回日本アカデミー賞にて優秀助演男優賞を受賞されました。納得です。おめでとうございます。🏆✨ 封切り前、映画の宣伝で西島秀俊さん、加瀬亮さん、大森南朋さんがテレビ番組に出ていた。『首』を紹介したのはタレントのフワちゃんだったが彼女はいつものキャラク

2021年『劇場版「きのう何食べた?」』感想

2021年『劇場版「きのう何食べた?」』観賞(監督/中江和仁)。 よしながふみさん原作で、30分の深夜枠にてドラマ化。更に劇場版へグレードアップ。しかしその頃、私は西島秀俊さんを知らず、YouTubeで生姜焼きを作る彼を見て、本物のシェフと間違えたことが知るきっかけになりました。詳しくは自己紹介に書いております。よろしかったらご一読ください。 驚きの連続だった。 まず映画館と言う大画面と臨場感で私が目にしたのは、黒豆の汁にゆっくり沈んで行く落とし蓋や、ぐつぐつ煮込まれる肉団

2004年映画『カナリア』観賞

塩田明彦監督作品の映画『カナリア』観賞。 物語冒頭、真っ黒の画面に白抜きの文字と少女の声で、カルト教団『ニルヴァーナ』から保護された子供たちについて語るナレーションから始まる。フィクションではあるが実在したオウム真理教がモチーフとなっているため、非常に重々しい。音楽もない。この作品ではほぼ全篇に渡り、由希が口ずさむ曲以外音楽らしい音楽はかからず、音楽での情緒に頼らず、登場人物の心理を丁寧に追った作品です。 光一は児童相談所から着の身着のままで飛び出して来た名も知らぬ土地で

2017年映画『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』観賞

『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』2017年、滝田洋二郎監督作品。 大きくて強い才能を持った者は、その能力を守り、受け継いで行かなければならない宿命があるのだろうか。それはとても重く、凡人には耐え難い試練のように思える。 鮮やかな料理の手付きが際立つ冒頭、充(二宮さん)の登場シーンが素晴らしい。しかし料理に向かう彼の表情は冴えない。その目の色は暗かった。荒んだ道を生きる彼は世話になった、いわば、親代わりだった施設長の葬儀にすら顔を出さない。 時が代わり、1930年代。 も

1995年映画『藏』感想

1995年映画『藏』(監督/降旗康男)観賞。 大正8年。雪深い風景と共に描かれる新潟県を舞台にした物語。 古い家父長制度の頃の物語なので、酒蔵は女人禁制、穢れ、とも言われる。 女性が圧倒的に不自由な状態の中で田乃内家に不幸が続く。家長である意造はほとんど衝動的に若い女を娶る。その陰には佐穂を始め、たくさんの女性たちが我慢を強いられている。なかなか現代では受け入れがたいがそういうことが当然の時代だったのだろう。 そんな中でヒロイン、烈(一色紗英さん)は時代に抗うかのように、

2003年ドラマ「ダムド・ファイル シーズンII」『もうひとりの友人・渥美郡』感想

2003年ドラマ「ダムド・ファイル シーズンII」『もうひとりの友人・渥美郡』(監督/萩生田宏治)鑑賞。 ローカルの深夜枠で放送され、今でも根強いファンを持つ、1話30分ほどのホラーシリーズ。西島さんが出演したシーズンⅡ『もうひとりの友人』はホラーと言うより物悲しく、幽霊でもなんでもない普通の青年の役でした。ただ、どこか孤独だった。だからこそ、この物語の軸になるヒロインの病弱な友人に気に入られ、取り込まれてしまったのだろう。それが良かったのかどうかは判らない。けれど誰も文句

1999年映画『ニンゲン合格』感想。

1999年映画『ニンゲン合格』(脚本・監督/黒沢清)鑑賞。 少し遡って、西島さんの若い頃の作品を。 物語そのものは命の奇跡でもあるのに、目覚めた豊も周囲もあまりにも淡々とした描かれ方で進行するので困惑した。そして漠然と穏やかではない。家族を含め、彼と関わる人間たちがみんな、心が子供のままで退院した豊のそばにいる訳ではなく豊の許を行ったり来たりして地に足が着いていないから。 14歳は、様々な媒体で描かれるように表情が豊かな訳でもなく、素直でもない。小さなことに苛立ち、意地を

2020年映画『サイレント・トーキョー』感想。

2020年映画『サイレント・トーキョー』(監督/波多野貴文)鑑賞。 何とか爆発を止めようと奔走する刑事、世田(西島秀俊さん)は首筋に過去の事件で受けた大きな傷が残っているがそれについての説明は、ほぼない。この物語の登場人物のほとんどの関係は伏線として散りばめられるだけで詳細は描かれない。しかし後半ものすごいスピードで点と点が繋がる。 作中、言葉としても出て来るが、まさに戦争だと思った。 私個人は学校で習ったり、本やテレビでの情報でしか戦争を知らない。ただこの作品を観た日付