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2022年『仮面ライダー BLACK SUN』感想

2022年『仮面ライダー BLACK SUN』(監督/白石和彌)鑑賞。
この作品は「仮面ライダー生誕50周年記念プロジェクト」のひとつとして、白石和彌のもとリブート作品として制作されました。一挙に10話配信だったので戸惑いつつも2日かけて全話視聴。詳しいあらすじはぜひAmazon Prime Videoで本編を観ていただくとして、雑ではありますが人生初の特撮物を観た感想です。ネタバレもありありです。

西島さんは主演、BLACK SUNこと南光太郎役。W主演の中村倫也さんはSHADOW MOONこと秋月信彦。彼らは同い年の設定だが訳があり、光太郎は通常よりは大分若いが(70歳!)それなりに年齢を重ね、現在の西島さんの年齢に見えるが信彦は若いままだ。ふたりとも日食の日に産まれ、科学者の父親に改造され怪人になった。始まってすぐに子供時代のふたりの手術シーン。R-18発動(話によってレーティングは変動)。これが痛々しかった。初っ端から心が折れかける。

物語は、不条理な暴力が蔓延する世の中が舞台。人間対怪人の攻防戦だが、変身できず生身であると言うだけで人間が大きな顔をしていて、何かと難癖をつけるのも人間で、怪人を殺したりもする。互いにデモを起こしているが明らかに怪人が不利な立場。彼らは異端として差別を受けていた。なぜなら怪人たちの命の根源の存在、創世王は政府によって管理され、怪人たちも時の総理大臣の支配下にいるからだ。(総理大臣、堂波を演じたルー大柴さん良かった!)
そんな怪人たちのデモにも一切参加せず、諦めの眼差しで戦いを放棄し、何でも屋のようなことをして生計を立てているのが光太郎。やがて人間と怪人の共存を望む活動家の少女、葵(平澤宏々路さん)と出会い(この出会いにも色々ある。)、両親や親族を殺され、一人ぼっちになってしまった彼女と一緒にいる内に光太郎の心に温かな感情が灯る。

一方、信彦は裏切った仲間と人間に監禁されていたが脱出する。元は仲良しの普通の子供だったふたりは、青年になってからも一緒にいたけれど1972年の若い頃のふたりの回想シーンで、仲間の裏切りや愛する者の死を経て離ればなれになっていた。再び出会ったふたりが、なぜ、どのように思考が変化し、仲違いして行くのかは細かく描かれていた。
再び出会った光太郎と信彦はどちらも違う結果を求めていた。光太郎は怪人がいなくなってもいいと考え、信彦は人間より怪人を優位に立たせるため積極的に動く。そのふたりの間には生きるため強くならざるを得なかった生産性のない力だけがあった。
作中、殺戮、暴力、差別と気持ちが悪くなるほどの場面が多く、使用される小道具など監督の個人的思想も入り、全体が昭和の古さで、その部分は正直苦手だったが、それは個人的な感情なので気にしないようにした。
惹き込まれたのは光太郎と葵が触れ合うドラマ部分(レオンとマチルダのようだった)と、主演ふたりの戦いシーンの格好良さだった。主演両者のラストは、哀しく、だからこそ心に残るものだった。

ただ、どうしても物語そのものの最後は納得が行かない。視聴した方の意見でも賛否両論になっている。
なぜなら、終わってみれば最初と何ら変わっていない世の中のままなのだ。あの終わり方だと戦ったふたりの物語が抜け落ちてしまう。仮面ライダーは民を救わないの? と、初の特撮物の勧善懲悪に期待していた私は観終わってしばらく呆然としてしまった。

その最後のシーンとは、光太郎と信彦亡き後、相変わらず怪人を排除したい連中と怪人のデモがあり、その中に、ひとりの少女が共存を求める言葉を書いた段ボールを手にしていたが無視される。その少女を今やすっかり怪人側となった葵が手を引く。少女は葵の手伝いをする。その他にも彼女に連れて来られたたくさんの子供たちがいるが、彼らが葵に言われて作っているのはダイナマイトだ。そのやり方はただのテロなのでそれは物語の放棄ではないだろうか、と思え、鑑賞後は重々しい感情に支配された。(※上記感想は放送後すぐのものです。)

現在、数えきれないくらい鑑賞していて、苦手な所は飛ばして好きなシーンだけ繰り返して観ています。光太郎を助ける側のクジラ怪人、ノミ怪人、コウモリ怪人が登場すると安心します(笑)妖婦のようなヴィシュムを演じる吉田羊さんも色っぽくて好きです。
そして、遂にはフィギュアを購入しました。現在完璧に西島さんの姿である光太郎フィギュアを待っている状態です。彼を乗せるバイク、バトルホッパーならもう俺の手の中にあるぜ!(何かが乗り移った)

「仮面ライダー BLACK SUN」ヴィジュアル 1
「仮面ライダー BLACK SUN」ヴィジュアル 2

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