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女性のためのヨガの教科書17

7、坐位


立位のポーズのところでも書きましたが、
現代人は座り姿勢が長く、そしてお尻に体重をかけ過ぎです。

「坐骨に座りましょう」というインストラクション、
本当にそうでしょうか?
「坐骨を立てて座りましょう」も同じくですね。

坐骨は骨盤の一部です。
骨盤は当然背骨、背骨は脳に繋がっています。

大きな血管や神経が通っていますので、坐骨に座ることは、下からそれらを圧迫することになります。
脳につながる大事な部分ですので、蓄積は毒となり、自律神経や脳機能にも影響するでしょう。

水滴も溜まれば流れ落ち、
葉全体を揺らします。


誰でも生まれ持っての背骨のS字のカーブがあります。
これは頭の重さや、姿勢による負荷を分散させるためのものです。
それを保ったまま座るには、
会陰を真下にすることです。

意識する場所を坐骨ではなく、
会陰にすることで、
骨盤底筋の引き上げも自然と行えるようになると思います。

試しに坐骨に座ってみてください。
後ろ体重って感じの座り方です。

膝や股関節の感覚はいかがでしょう?
・膝が上がっていませんか?
・股関節を触ると硬くなっていませんか?

呼吸の要である横隔膜を感じてみましょう。
鳩尾はどんな感じがしますか?
・鳩尾に力が入っていませんか?
・大きく息を吸うと苦しい感じがしませんか?
・顎が前に出て首の後ろに力が入っていませんか?

私は「出来るだけ会陰を真下にして座るように」とお伝えしています。

そのぶん、肩は後ろに、胸を引き上げて。

横隔膜、鳩尾のあたりを感じてみましょう。
呼吸はしやすいですか?
横隔膜や肋骨の内側は動かせていますか?

背中はどうでしょう?
S字カーブは保てていますか?

下から上に伸びようとした時、
お腹に力は入りますか?
腰に負担がかかる感じでしょうか?

坐骨→会陰→坐骨→会陰、と交互にやってみてください。

お尻の一番下に当たる筋肉を感じられますか?
要はいつも体重を掛けているところ、
いつも乗ってしまっているところです。

どんな感じがしますか?

ヨガマットの上だとまだ良いのですが、
大抵の座面はクッションが効いていて、
お尻が落ちる仕様になっています。
寄りかかりたくなる背面も、
座位が崩れる原因になっています。

お尻が下に下がると、
骨盤の位置が本来のその人の体型のデフォルトからずれてしまいます。

現代人はそれが長時間なのです。

座る時間が長ければ長いほど寿命が縮まる、
とのデータもあります。

シドニー大学が世界20カ国を対象に平日の座っている時間を調査した結果、最も長く座っているのが日本人だったそうです。
ちなみに、世界20カ国の平均は、約5時間(300分)に対し、日本人(成人)は、約7時間(420分)。アメリカや中国が250分程度であることと比較するとかなり長時間であることがわかります。
ただこれはコロナ禍前のデータなので、日本よりも在宅勤務(テレワーク)が多くなっているアメリカやオーストラリアの方が数字としては増えているかもしれません。
1日に座っている時間が4時間未満の人に比べ、8~11時間の人の死亡リスクは15%増、11時間以上だと40%増になるという報告も。
では、この平日の座りすぎを土日の運動でカバーできないのかというと、土日に多少運動したとしても、健康リスクは簡単には下がらないという調査結果も出ています。
なぜそんなにも?
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
股関節には大きな血管と神経が通っています。
たくさんの筋肉がそこに集まっているので、
姿勢の癖などで余分な力がかかりやすい場所でもあります。

股関節、足の付け根を指で触りながらたどっていくと、
一箇所温かい場所が見つかると思います。

そこに触れながらお尻に力を入れてみましょう。

どうでしょう?

触っている箇所(股関節)が硬くなりますよね。

血管や神経を圧迫しているのがお分かりになるでしょうか?

座っている時、立っている時、
お尻に力が入る、
または股関節が外旋している時、
足への血流は妨げられています。

ヨガインストラクターになって一番驚いたのは、
足が冷たいままの人が多いという、
ヨガは裸足で行うものなので、
感覚的に足が気持ちよくないだろうなと思う反面、
皆それが当たり前だと思って気にしていないこと。

私にとっては足が冷えたら不調のサイン。
何らかの原因で血行が滞っているのだから、
・足指ほぐす
・股関節から足先までリンパを流す
・温かいものを摂る
・ソックスを着用する
・歩く
・風呂に浸かる
などなど行います。
大抵足指を動かすことで解決しますが、
「湧泉」という足裏のポイントを日頃から開くようにしています。

湧泉は腎臓の反射区でもあり、
気の流れの重要なポイントであって、
「冷え」ている方はここの流れが滞っているというか、
穴が塞がっているような場合が多いですね。

寝ている時も足が冷えているという方も多いですよね。
冷え性の方は必ずセットで生理痛も酷いそうですし、
姿勢は丸腰気味で股関節の血管を圧迫しています。
筋肉量も全体的に少なめ。
だから血流量も少なめ。
血液が体温を隅々まで行き渡らせます。
だから流れている血が少なければ当然冷えやすい。

「どうすれば治りますか?」と聞かれることも多いのですが、
まずは冷やさないことです。
寒くないからといって、
冷えていないわけではありません。

そして血液循環を良くすることをする、
巡る血液の量自体を増やす努力をする、
そしてそれらは一時的なことではなく、
ずっと続けるべきことです。
ライフスタイルそのものを変えて行かないと、
体質は変わりませんから。

股関節を回す。

1、仰向けで両肘を伸ばし、手のひらを下に向けてお尻の下に敷く
2、片足ずつ膝を曲げて股関節を回す(左右)
3、膝を立てて足幅を広く取って、片膝ずつ内側に交互に倒す(手のひらはお尻の下から外す)

これは股関節を回すことと固くなっているお尻の筋肉を手の甲でほぐすことが同時に出来る良い方法です。ヨガクラスでもよくお伝えしていますよ。

それから梨状筋です。
腰が落ちた姿勢の方は100%梨状筋が硬くなります。

アグニスタンバーアサナ(ダブルピジョン)
というアサナを定期的に行いましょう。
これは坐骨神経痛、生理痛、生理不順、腰痛全般、股関節痛など、
様々なマイナートラブルに効果抜群のポーズです。

大臀筋、中臀筋、小臀筋、など大きな筋肉のさらに奥にある梨状筋に効果的に効かせるために、ポイントはしっかりと足首の上に膝、膝の上に足首を乗せ、踵をフレックス※にし、つま先を正面に向けること。
※「踵をフレックスにする」という表現は、踵(かかと)の筋肉を意識的に動かして使うことを指します。
フレックス(flex)は、英語で「曲げる」「屈曲させる」という意味があります。したがって、「踵をフレックスにする」とは、踵を屈曲させたり曲げたりする動作を行うことを意味します。
通常、踵は歩行や走行の際に地面に接地したり、身体を支える役割を果たしますが、フレックスを行うことで踵の筋肉を強くし、より効果的な動きやパフォーマンスを実現することができます。また、スポーツやダンスの特定の動作や技において、踵をフレックスにすることが要求されることもあります。

左右ポーズを終えた後は、
膝を立てて開脚し、
交互に膝をパタパタと中へ中へ、
内旋させて外旋した後の筋肉の張りなどのバランスを緩めて下さい。

ヨガをする時に大事なことは「バランス」です。

筋肉、血管、神経などは、縮めて使う、伸ばして使う、そして緩める、
の3ステップで良い状態を保てるものです。

ヨガインストラクター歴は18年。既に成人した息子をシングルマザーとして育ててきた経験から、ヨガを軸に、女性の生き方、医療でカバーできない健康のこと、などを発信していきます。