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女性のためのヨガの教科書12

マット縦


ヨガマットの向きです。
スタジオでヨガを受ける場合は大抵縦でしょう。
インストラクターは正面に横向きにマットを敷いて、
参加者の方には自分の姿を横から見せる。

太陽礼拝がそうですね。

一連のシークエンスは、
マットを前後に移動しながら、
そして前屈と後屈を繰り返しながら、
背骨を縦に動かします。

開く、閉じる、
上を向く、下を向く、など、
スパンダのシンプルな働きを呼吸とともに行います。

吐くときに前屈する、
要は吐く時により腹部に圧をかけていくスタイルなので、
より集中に向いた、力を生み出し活性化させるシークエンスです。

身体のセンターに集中します。
腹部に圧をかけるので、胃にものが入っていない朝~午前中に行うのが望ましいです。

骨盤の向きはずっと正面向きです。

足を開いて立つときには、
後ろ足のつま先はなるべく前を向くようにして、
前後の足は、一本のラインを挟むようにして立ちます。
ターダアサナ(Tadaasana)から、
すっと一本足を後ろに引いたスタンス。

骨盤の向きを正面に据えることが大切なので、
他の部位の動きは、それに合わせた負荷に調整する感性が必要です。

気をつけるべき点は、膝とつま先の向きでしょうか。
これらが一致していないと、膝から下に正しく力をかけることが出来ません。
また腰やお尻の筋肉を過度に圧迫してしまい、
慢性的な痛みの原因にもなります。

例えばダウンドッグで、
思い切り片足を上げるのも良いですが、
骨盤の向きが傾かないよう、
軸足の内側に体重を掛けて、
軸足のふくらはぎ、膝裏、ハムストリングスなどの伸びを待ちながら、
お尻に力が入らないよう、
上半身のラインに上げた足のラインも合わせていく、
上げる脚は付け根から内旋させる意識で。

ヨガをするとき、
というかヨガをする意義は、
インストラクターに言われるまま動いて動かされて、
それが気持ちいい、
という方は多いと思いますが、
それでは結局受動的で自分に対しての気づきも積極性もヨガを理解することもないまま、
TVやネットで何かを見ても、
その時すごくハマっても、
結局すぐに忘れてしまうのと同じ。
「消費」です。

一回一回学び、気づき、より良くなろう、より楽しもうと思う気持ちを持ち続けたいのであれば、インストラクターに依存せず、自分でやってみることです。
その際決められたシークエンスである太陽礼拝(サンサルテーション)などは、
実践しやすいでしょう。
詳しくは第4項太陽礼拝/月礼拝で解説いたします。

ダウンドッグから片足を上げることに戻ります。
つま先で床を蹴るようにして、
しっかり足先まで伸ばしたまま、
出来るだけ最大限に身体を使うと、
ポーズ全担が引き締まります。

足を上げる際に膝を曲げて、
脚を持ち上げる方も多いのですが、
これはお尻の筋肉で脚を持ち上げているだけ。
脚を使っているとは言えません。
腰に負担がかかりますし、
軸足から力が抜けて、
体幹の意識が抜けやすくなります。

どのポーズも、
動かす場所ではなく、
まず足元にしっかりと意識を向けて、
根を生やすようにしてから、
全身できるだけ大きく伸びていく木々の枝葉のように広がっていきたいですね。

下半身の力が上半身の、呼吸も含めた広がりに直結します。
陽の力、陰の力の法則です。

ちなみにマット縦使いは、
マット横使いよりも「陽」の要素多めです。

ヴィラ1(Virabhadrasana 1=ウォーリア1=戦士のポーズ1)で、
後ろの脚が硬くて骨盤が後ろに引っ張られてしまうような場合、
後ろ足のつま先の向きをしっかりと前方に向けて、
ハムストリングスやアキレス腱などの伸びを待ち、
後ろの脚にしっかり体重を掛けながら、
先ずは土台の方から整えていく、
更に両腿を内側に引き寄せるようにして、
骨盤の中心に力を集めたら、
それを頭のてっぺんに伸ばしていくようなイメージで両手を上げる、
呼吸はアサナが安定したら、吸って背中に入れ、
吐いてお腹の下から上方に向かって力強く伸びていく。

そういう感じですね。

そのバランスで後ろの脚を上げて、
状態を前へ傾けていくとヴィーラバドラアサナ3Virabhadrasana 3になります。
これはアシュタンガヨガでもサードの練習に入れられているもので、
それなりに難しいものですね。

身体の前後、上下の動きに加えて、
そこから上半身を捻っていく横の動きを足していくパリヴリッタ(Parivritta)の、
少し上級者向きのポーズもこのマット縦の正面向きで行います。

捻るときに気をつけたいのは、
肩ですね。
肩関節が前に入っているまま捻ってしまうと呼吸を深く行えないので、
血圧が上がり、脳はそれをストレスだと認知します。

もう一つはお尻から腿の外側にかけて。
この辺りが硬いままだと、
腰を下に落とした姿勢で、
結局背中が丸くなってしまうので、
肩も前に出てしまいます。

自分の体の中心軸を意識して、
そこから本当に無理のない姿勢をとっていけるように、
脚の筋肉をストレッチしてからの背中を使うステップを踏みながら、
ゆっくり時間をかけて行うことが大切ですね。
いずれにせよ、
呼吸の妨げになる程力んでしまうのは怪我の原因にもなりえますから。

ちなみにヨガマットは、
幅や長さが選べます。
海外の方などは身長2m越えの方もいらっしゃるので、
自分の身体の大きさに合ったマットを使うことがより推奨されます。
同時に厚みの適性も体重によって変わってくるし、
好みもありますよね。
ただ何よりも大切なことは「滑らないこと」です。
購入時は丸まっていますよね。
面がくっつかないようにコーティングされているものもありますので、
使い始めは薄めた中性洗剤でしっかり拭いてからご使用になることをお勧めします。
直射日光に弱い素材が多いので、
劣化を防ぐためには、なるべく未使用時はしまっておくか、
上にラグなどを敷いておくこともせっかく買ったお気に入りのものを長持ちさせるための秘訣。

こまめに買い換える派も、
良いものを長く使い続ける派も、
どちらもいらっしゃると思いますが、
ヨガを行う上でのヨガマットは、
ウォーキングやランニングをするときの靴と同じ。
もしくは登山。
基本的に座るためのものではなく、
立つためのものとお考え頂き、
適切なものを選んで安全にヨガを行なって頂きたいです。


ヨガインストラクター歴は18年。既に成人した息子をシングルマザーとして育ててきた経験から、ヨガを軸に、女性の生き方、医療でカバーできない健康のこと、などを発信していきます。