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麺草子(めんのさうし)

春はパスタ。
未だ肌寒き日に、カルボナーラ。
春たけなわ、オイルベースの、桜海老と甘藍を和えたるもの。
花の咲きたる川を見て食ふは、いとをかし。

夏は素麺。
氷水に浮かべたる。
小口切りの青葱。千生姜。茗荷、いとつきづきし。
白き中に桜色の交じるは、をかし。
柑子の載るはわろし。

秋は蕎麦。
秋蕎麦こそ至高なり。
十割蕎麦のかほり、あはれなり。
冷たきも温きも、いとをかし。

冬は、らあめん。
塩、醤油、みそ、豚骨。いずれもたふとし。
豚骨せうゆに海苔、言ふべきにあらず。
飯を添へるもよし。
いと寒きに、熱き麺を食ふ、はた言ふべきにあらず。

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