仙腸関節障害による腰痛
こんにちは、Leeです。
今回はこれまでのおさらいに加えて、
仙腸関節障害について
私が実際にみた症例から学んだことをお伝えしていきたいと思います。
仙腸関節障害は診断基準があいまいで、
画像診断などが困難な機能的障害と言われています。
そのため、非特異的腰痛としてまとめられ、
見過ごされることも多いですが、
以下のような報告もあります。
救急搬送された急性腰痛症のうち仙腸関節障害が13%を占め、胸腰椎圧迫骨折や腰椎破裂骨折などの外傷を除くともっとも多く、腰椎椎間板ヘルニアや椎間板症よりも頻度が高かった1)
1)黒澤大輔他:救急車で搬送された急性腰痛症に占める仙腸関節障害の頻度と臨床所見,臨床雑誌整形外科65巻11号 (2014年10月)
クライアントの訴えをよく聞き、
適切な介入をすることで改善できるセラピストを目指しましょう。
それでは、はじめましょう!
1. 仙腸関節障害とは?
仙腸関節は仙骨と腸骨の関節面で構成される
滑膜関節です。
後上部1/3は骨間仙腸靭帯で
仙骨と腸骨が強固な靭帯結合を持っています。
そのため、仙腸関節はわずかな動きしか持っていませんが、上半身と下半身をつなぎ、
地面からの衝撃吸収装置の役割を果たしています。
骨盤帯の解剖と運動学について
くわしくはこちらの記事をご覧ください。
仙腸関節疾患には
① 化膿性関節炎などの関節腔内の病変と
② 関節の機能障害の2種類に分類されますが、多くは②の機能障害であるといわれています。
簡単におさらいすると、仙腸関節の運動はS2を軸とした前後傾運動です。
腸骨に対して仙骨が前傾するとニューテーション、腸骨に対して仙骨が後傾するとカウンターニューテーションと呼ばれる運動が生じます。
それぞれの動きは、靭帯や靭帯に付着する筋(Force Closure)によって制動されています。
仙腸関節に大きな負荷が加わる、あるいは繰り返し同じ方向への負荷が加わった時、筋活動による安定化機構(Force Closure)が機能しなければ靭帯やその付着部へ圧痛が生じます。
このような状態を骨盤輪不安定症症候群と呼びます。
2. 仙腸関節障害による痛み
仙腸関節障害の特徴として疼痛域があります。
最も多いのはPSIS付近(仙腸関節裂隙の外側縁)の臀部痛と鼠蹊部痛で、時にはデルマトームに一致しない下肢症状を伴います。
(図は下の文献を参照してください。)
Leg symptoms associated with sacroiliac joint disorder and related pain
クライアントに痛みの部位を一本で示してもらうと、PSIS付近を刺す場合が多いため「One finger test」として知られています。
Kurosawaらは
この「One finger test」を用いた仙腸関節スコアを提唱しており、One finger testが陽性であった場合は3点、鼠蹊部痛は1点、椅子座位での疼痛を1点、仙腸関節へのせん弾ストレステスト陽性を1点、PSISの圧痛を1点、仙結節靭帯の圧痛を1点とし、合計4点以上で仙腸関節障害による骨盤帯痛と診断できるとしています(感度90.3%,特異度86.4%)。
A Diagnostic Scoring System for Sacroiliac Joint Pain Originating from the Posterior Ligament
また、圧痛点としてもPSIS、長後仙腸靭帯、仙結節靭帯、腸骨筋に特徴がみられます。
動作時痛として体幹前屈・後屈、歩行時に不規則に出現する、寝返りや起き上がりや立ち上がりでの痛みがある場合には骨盤輪不安定症を疑います。
座位でも痛みが生じる場合、疼痛がある方の坐骨を浮かした姿勢を取っていることが多くみられます。
3. 仙腸関節障害を疑ったら行う評価
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