「読めばやる気アップ!お仕事小説」の仮面を被せられた、眠れなくなるほど面白いコメディ&ミステリー小説『店長がバカすぎて』

画像1

画像2

【あらすじ】
舞台は書店、主人公は28歳契約社員女性。超多忙なのに薄給、お客様からの理不尽なクレームは日常茶飯事。しかも店長は店員をイライラさせる天才。毎日「マジ辞めてやる」と辞表をカバンに忍ばせているが…

1話完結型で、いずれも「マジ辞めようかな…」→トラブル発生→乗り越えて「もう少し頑張ってみるか」の構成で展開する。

【注意点】
帯の推薦文から得られる期待に反し、この本を読んでも、ほとんどの人は仕事のやる気にはほぼ影響しない。
ただし、帯の文は嘘ではない。正確には、書店員になりたくなる(書店員を続けたくなる)本である。

【ざっくり言うと、ここが面白い!】
・店長とクレーム客がバカすぎる。でも実際にいそう。
・緊張と緩和が交互もしくは同時に来る(お笑いの基本理論)。確かにこれはしんどいだろうなと心苦しくなりつつも、同時にそのバカさ加減に笑える。
・からの、終盤でシリアスな雰囲気が漂いだして、え、どうしたどうした?からの、怒涛のミステリー(緊張)。そして、笑い(緩和)&驚き。

特に面白いのがラスト2話。妻から「近所迷惑だから静かに!」と叱られるほど爆笑した後、続きが気になって眠れない怒涛の展開(結末自体は中盤くらいで予想できたけど引き込まれた!)。

なお、主人公が本を愛する気持ちもていねいに書かれている。むしろコメディよりもこちらがメインの見どころと言えるかもしれない。他人が絶賛する小説が全然良いと思えなくて「素直に読めていないだろうか」と悩むシーンなどに、わかるわーと共感できる。

ぜひ最後まで読んでほしい!


【店長&神様(お客様)のおバカエピソードの一例】
<店長>
最近買った本として朝礼で『やる気のない社員にホスピタリティを植えつける、できるリーダーの心得 77選』を紹介し「興味があるようでしたらお貸しします」(誰が読むか、ボケーっ!)

<お客様>
開店直後にやってきて「新聞に出てた新刊本を持ってこい」「『いま一番売れている本』ってデカデカと書いてあったあの赤い本だ!」「著者?タイトル?知らん! いつのどの新聞? 昨日、散髪屋の棚にあったやつだ」(そんなんでわかるか!理不尽だ!)(後で調べたらここ一週間で『いま一番売れている』赤い本の広告は3つも出てたし!)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?