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プラごみから何ができる?地域のデザイナーとつくるアップサイクルプロダクト

こんにちは、プレシャスプラスチック鎌倉の狩野です。
前回から少し時間があいてしまいましたが、「地域のごみから地域で使うモノをつくるプロジェクト」着々と進んでいます。これまでの記事はこちら。

マシン完成直後にコロナ禍に見舞われたこともあり、この2年程は限られたメンバーだけで粛々と試作や実験を繰り返してきたのですが、「そろそろプロダクトをつくろう、しかもちゃんと地域の中で使われるモノを!」と決意して始まったモノづくりプロジェクト。こだわったのは、”どうやって進めるか”というプロセスです。

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メンバーで納得いくまでディスカッションしました

プレシャスプラスチック鎌倉を立ち上げた当初から「いかに地域の人や企業と協業したプロジェクトにするか」ということを重視していたこともあり、今回のプロジェクトには、プレシャスプラスチックに興味をもってくれた二人のデザイナーを迎えました。

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三浦 秀彦
デザイナー Cloud Design 代表
1966年岩手県生まれ
ヤマハ株式会社デザイン研究所勤務後、1997年渡英、ロイヤル・カレッジオブアート(RCA)でロン・アラッドやアンソニー・ダンに学ぶ。2000年クラウドデザイン設立。 家具、プロダクト、空間、グラフィック等のデザインの実践と実験を行っている。また、地平線、地形、大気などをテーマに身体で関れるインスタレーションの制作を続けている。

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大友 敏弘
プロダクトデザイナー オオトモデザインスタジオ代表
1980年生まれ、神奈川県横浜市出身
武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科卒業
​雑貨メーカーを経て2014年オオトモデザインスタジオを設立。

受賞歴
2018年 「鶴亀うちわ」が「京都デザイン賞2018」大賞受賞
2019年 「花色鉛筆」が「iF DESIGN AEARD 2019」受賞
2019年 「花色鉛筆」が「2019年 日本文具大賞」優秀賞受賞

-  お二人はなぜプレシャスプラスチックの活動に興味をもったのですか?

三浦:我が家で毎週水曜日の朝に出されるプラスチックごみの量が気になっていました。もともとはプラスチックごみを小さな体積にまとめて捨てられるごみ箱がデザインできないかと思っていて、いろいろ観察と実験をしていました。その過程で「ごみ」と呼ばれているものをよく見てゆくと、多種多様で一つひとつが素材として美しく高機能で捨てるのにはもったいないと思えるほど価値あるものに感じられました。同時に、回収され分別されリサイクルされることは知識としては知っていても、実際に自分の手を離れてしまうと、どこでどのようになっているのか手触りとして分からないことに気づきました。 そのようなことから、より身近な手に近いところでプラスチックを扱えないか?プラスチック自体をモチーフにして全体を俯瞰し何か出来ないか?と思っていましたのでプレシャスプラスチックの活動に興味をもちました。

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大友:プレシャスプラスチックに興味をもったのは、活動の拠点であるファブラボ鎌倉のコワーキングスペースを借りたことがきっかけになります。メンバーの皆さんが地域のために意欲的に活動しているのを見ているうち、自分もデザインで何かできるのではないかと思うようになり参加させて頂きました。

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- プロジェクトが実際に始まって、どうですか?

三浦:ある意味で普段のデザインの仕事とは全く逆のことをしています。価値を生み出し、意味を再定義するという点では共通していますが、とても原始的な方法でそれが楽しい。原点からやり直している感じで、すでに高度に産業化されたプラスチックという像を一旦意図的に忘れて、先入観なしにプラスチックという素材そのものに子供のように対したいと思っています。まずは、実験あるのみなのですが、 形作る「方法」が重要と感じています。その探査には、意外にも自然素材を使った工芸の手法やお菓子作りなどが参考になりそうです。なるべく商品やモノで完結しない体験でアウトプットできるものにしたいです。

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大友:普段プラスチック製品を作る際は3Dデータを製造工場に渡すまでですが、プロジェクトでは素材の裁断から成形までのすべてを自分の手で行うので、射出成形や押出成形の根源的な部分を体験できるのが楽しいです。またプレシャスプラスチックをきれいに成形するのに適した素材の量・温度・加熱時間があり、この条件に合わないと充填不足でいびつな形のものができてしまいます。難しいですが、条件に適した形を考えるのも楽しいポイントです。

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三浦さんがこれまでにデザインした作品

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AIDEC MODERN VIRGA-II
 なめらかな背と座面が特徴のスタッキングチェア

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AIDEC VIENNA
ソファ、テーブル、キャビネットのセット。20世紀初頭のスタイルを現代的に解釈し直したシリーズ。

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tidy コップロール クリーナー
コップ型のケースに収められる粘着クリーナー。

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smokingsite  
JR川崎駅前の分煙空間のデザイン

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祈具(いのりぐ)小型の骨壷を中心とした手元供養用のセット

大友さんがこれまでにデザインした作品

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花色鉛筆
日本を代表する伝統的な「花のかたち」と「花の色」を持ち、削りかすが花びらになる色鉛筆。芯の周りの軸部分には、廃棄古紙を原料にした環境に優しい新素材を活用することで、独特の柔らかい色と削りやすさを両立。削りかすも従来どおりに可燃ごみとして処分できます。

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鶴亀うちわ
京都の伝統工芸である京うちわの構造を活かし、日本らしい鶴と亀を題材にしたうちわです。柄は「摺り漆」によって木の質感を残し、程よい艶感にすることで、普段使いでも違和感のない落ち着いた雰囲気にしました。
扇部の模様は「透かし和紙」によって表現し、見る角度や光の具合によって変化する表情を楽しめるようにしています。


 このプロジェクトは、基本DIYなので、デザインしてカタチにするためにはプラスチックの特性を理解し、プレシャスプラスチックマシンを使いこなさなければなりません。お二人は、定期的にファブラボに来て、試作や実験を繰り返しています。
プレシャスプラスチックをつかった鎌倉ならではのプロダクトづくり、春頃にはお披露目できたらと思っています、お楽しみに!


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