プレシャスプラスチックにまつわる一問一答
こんにちは、プレシャスプラスチック鎌倉の狩野です。
日本におけるプレシャスプラスチックの先駆者である鹿児島在住の環境活動家・テンダーと、鎌倉メンバーとの対話を過去2回の記事にまとめました。
2時間を超える対話の中には、プラゴミ問題から切り離せない内分泌かく乱物質にどういうスタンスで向き合うか、そのうちプラゴミを食べる微生物が出てくるのではないか、核燃料もプラゴミも次世代にどう引き継ぐのが無責任ではないのか、等盛り込みきれなかったトピックスがたくさんあります。
今回はそれらの中から、プレシャスプラスチックにまつわる具体的な問いを、一問一答形式でまとめてみました。
Q(鎌倉チーム) プレシャスプラスチックで、シートプレスは作ってみた?
プラゴミを用いてつくった椅子の座面(ダイナミックラボのインスタグラムより引用)
A (テンダー)
オリジナル機械を使ってつくってみたけれど、エネルギーをすごく使うのでやめた。厚みがあったからかもしれないけど、直径30センチ程の椅子の座面をつくるのに、エアコン二台分くらい、36Aを30分も使った。電力についてどう考えるか、何をしたいかによると思う。個人的にはどうしても原子力の問題とセットになってしまうから。
Q 海洋ゴミはプレシャスプラスチックに使っている?
海洋ゴミの選別の様子(ダイナミックラボのウェブサイトより引用)
A
ダイナミックラボは山間部にあるので、海洋ゴミは時々海に取りに行っている。大変なのは、選別することと洗うこと。砂はマシンが壊れるので洗浄が必要だけれど、ある程度洗浄してもとれないようなフジツボとか汚れを無理やりはがそうとすると、マイクロプラスチックがどんどん出てしまうから、個人的には全部溶かして入れてしまえばよいのではというスタンス。私たちが暮らしているのはそういう環境だから。
洗った後の水にはマイクロプラスチックが含まれるので、オランダチームはその水を浄化するフィルターまで作っていたね。
Q テンダーはなぜ大きなゴミを拾っているの?
海洋清掃の様子(ダイナミックラボウェブサイトより引用)
A
鎌倉のような観光地は、ビーチクリーンが盛んだろうけれど、鹿児島の田舎の海だと大きなゴミを拾う人はいないから。タンクなどはそのままリユースできるケースもあるし、プレシャスプラスチックで使う場合、大きいゴミの方が素材としての歩留まりがいいというのもある(笑)。
Q 小さなゴミを拾うためのいい方法は何だと思う?
A
私なら、回収するための道具をつくるところから始める。プラスチックゴミが川から海に流れてマイクロプラスチックになる前に回収するのが大切だと思っているので、河川に据え置きできる無電力のゴミ回収装置を考えている。浜でやる場合、浜によって砂の粒子径が違うから、場所によって最適化されたふるいが必要になるけれど。
Q 世界に足りないものをつくらないと意味がない、と言う一方でアクセサリーやコースターをつくっているのはなぜ?
海洋プラゴミからつくったバングル(ダイナミックラボウェブサイトより引用)
A
何でもそうだけれど、素材と親しむためにある程度いろいろ試す必要がある。アクセサリーのような小さなものを作るのは、プレシャスプラスチックの導入として、ワークショップで使いやすいというのもある。
プレシャスプラスチックは生態系を豊かにするものではなく、マイナスをゼロにするものだから、個人的には一生やり続けるものではないと思っているけれど、誰かがやらないとないことになってしまうのでやってきた。日本でプレシャスプラスチックを始める人が増えてきて、ようやくあるものになってきたから、日本版ベーシックマシンを完成させることができたら、マシンづくりは終わりにしようかと思っている。
日本におけるプレシャスプラスチックの先駆者として、多くの試行錯誤を繰り返してきたテンダーとの対話は、プロジェクトを進めるうえで参考になる情報だけでなく、私たちに新たな視点や気づきをもたらしてくれました。
今後、南さつまと鎌倉という地理的環境の違いも活かしながら、できることから連携していきたいと思っています。
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