見出し画像

AI事情とその課題感 [AIベンダー・イマジエイト株式会社へインタビュー]

近ごろのAIはどの程度進んでいるのか、企業での活用事情とその課題感について、AIベンダーのイマジエイト株式会社にお聞きしました。


――AIを用いてどのようなサービスを展開されていますか?

イマジエイトは2023年1月に設立された新しい会社で、RPAやAIのサービス事業、それらを活用したDXの業務改革コンサルティングを提供しています。
特にAIの領域では、AIフォワードハブというプラットフォームを提供しており、MicrosoftのAzure OpenAI Serviceを利用してセキュアな環境でChatGPTを活用できるというサービスを提供しています。

最近では、グローバルなお客様向けに、300人規模のカンファレンスでの同時翻訳サービスを提供したいという要望にお応えするなど、現場の特性を活かしながらカスタマイズさせていただきました。

AIは「アタマだけがあって手足がない」状態


――AIベンダーとして感じている課題感はありますか?

ChatGPTを導入しても、ほとんどのケースで導入されただけで「使われない」という状況がみられます。この点を解消するために、弊社ではお客様への研修や伴走支援に重点を置き、リテラシーを上げてもらうことに注力しています。 

――ユーザ側のAIリテラシーがたりていないということでしょうか?

そうですね。よくあるテンプレート的な研修では実際の業務では活用されづらいようです。弊社では現場で使っていただき、どうAIを業務効率化につなげるかというところを大切にして、研修内容をカスタマイズしています。

AIを効果的に活用するためには、ユーザ自身のAIリテラシーが非常に重要なのです。
ユーザがAIとの対話を効率的に行って、AIの持つ知識を引き出していく必要があります。しかし、まだ今はユーザ側がどうやって活用していいのかわからない状況だと思います。
イメージで言うと、今のAIはアタマだけがあって手足がない状態ですね。

どこまでをAIで、どこからをシステムにするのか?

――アタマ=知識は豊富だけれど、動くための道具がないんですね。イメージがよくわかります。

どこまでをAIでやって、どこからをシステムがまかなうのか、その線引きがまだ難しい面があります。

そういった意味でも、SEサイドも現場の業務サイドも両方をわかる人、エンジニアリングもプロンプトエンジニアリングも両方を理解できる人が求められていると思います。
ユーザ側のリテラシーを上げながら、将来的にはさまざまなデータを連携させたAIプラットフォームで一元管理できるようなサービスを展開していきたいと考えています。 

――研修では具体的にどのようなことを行っていらっしゃいますか?

どうやってAIと対話や深掘りをすればいいのかといったところは体系立ててやらせていただきます。
基礎または応用の2種類のレベルがあります。基礎編はChatGPTの特徴を生かした効率的な対話方法、応用編ですとプロンプト設計等を教えています。
いずれにしても、自走できるスキルが習得できるように、テクニックだけではなく本質を伝える内容を講義しています。 

例えばRPAのような業務自動化ツールを導入したことがない方であっても、弊社代表が考え出した「津田式フレームワーク」を用いて、導入のプロセスを提示してくれるようなプロンプト設計があります。そのほかにも初めてECサイトをつくりたい方向けのものや、サッカーチームの監督になったことがない方が新監督になるための全工程でさえ、各タスクの実行方法をひとつずつ教えてくれるようなものを設計できます。

――業務コンサルタントの一連の業務も軽減できそうですね。

そのとおりです。クライアントのヒアリングから課題の洗い出しまで一連のプロセスについて、ChatGPTを有効活用できると思います。 

AIサービスのデモンストレーションを体験!

イマジエイトのAIサービスをデモンストレーションしていただきました。

AI議事録(議事要約、議事詳細)

ものの数分でできあがります。

AIによる議事録作成

しかし、以下の点に注意だそうです。

AI議事録の期待値

たしかに「ここはキャッチ―だったのに!」という内容が漏れることや、肝心なワーディングをミスって聞き取るということはAI全般でよく見受けられます。
「人間の感情や会議の盛り上がりの濃淡は反映されない」
という点はAI特有の性質のようです。AI議事録を読み返しながら、補足していく作業は必要です。 

AIインタビュー記事

インタビュー記事も約30分程度で作成が可能だそうです。

AIによるインタビュー記事

インタビュー記事では特に
「記事のゴールイメージが無いと良い成果物にならない」
とのことです。
「ほかのタスクにおいても言えることですが、ユーザ側の求めているものを的確にAIに伝えられるかは重要です。特に記事タイトル、見出しはChatGPTの対する出力に対しての「対話」や、手作業による修正が必要です」
とCOOの月田さん。
内容がブレてくると、何度かChatGPTのページを新しいページ(チャット)にするなどで軌道修正を図ったそうです。

月田さんはプログラムが一切書けないそうですが、ChatGPTのみで2-3時間程度でアプリケーションを作成できるとのことでした。 

■想定所要時間
・議事録生成:5分 (担当:ChatGPT)
・タイトル・見出し案出力:2分 (担当:ChatGPT)
・タイトル・見出し修正・決定:5-20分 (担当:ChatGPT、人間)
・本文作成:3分 (担当:ChatGPT)
・所定ドキュメントに貼り付け、目次・見出し設定:3分 (担当:人間) 

「汎用的なプロンプトが完成すれば、上記所要時間で、ある程度のインタビュー記事のたたき台が出来るかと思われます」(月田さん)

以上、ユーザのAIリテラシー向上、AIとシステムの役割分担という観点で業務効率化を実現するイマジエイト株式会社の取り組みを聞かせていただきました。ありがとうございました。