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プロが選ぶおすすめパワポ資料作成本10選

みなさん、こんにちは。
資料デザインのリサーチや分析に取り組むパワーポイントのスペシャリスト、パワポ研です。

今回は「プロが選ぶおすすめパワポ資料作成本10選」と題し、パワーポイント作成に関わるおすすめの書籍を紹介していきます。限りある時間を有効に使うために、是非とも参考にしてください。

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なお、パワポ研の調べによって、パワーポイント作成に関わる書籍は大きく3タイプに分類されることが分かりました。

1. パワポ資料の作り方の全容を示した本
2. パワポのデザインのルール説明に特化した本
3. ある程度習熟した後にアドオンで読む本

1に属する書籍は、まずはこれを読んで大まかな資料作成の流れを理解しよう、というものです。この群に属するものを読めば、資料作成がぐっと楽になるでしょう。

2に属する書籍は、1で学んだ基礎に加える形で、どうすればパワポが奇麗になるのかという細かいルールを学ぶためのものです。細かいTipsが多く記載されている書籍が大半を占めているので、辞書的な使い方もできます。ここに類する書籍が、世の中一番多いイメージです。しかし、ここの書籍だけ買ってもデザインのいろはが分かるだけなので、注意が必要です。学びたいのは資料作成であって、デザインではないはず。

3に属する書籍は、少し特殊なものを区分しています。1と2で大まかな流れやルールを理解したあとに、プラスαで学ぶべきものという分類です。

そのため、見ていく順番としては1→2→3となるのが望ましいでしょう。

なお、各書籍は「読みやすさ」「非代替性」「即効性」「網羅性」「重要度」の5つの評価を軸に分析を行っております(各5点満点)。購入する際の参考にしてください。


1-1. 社内プレゼンの資料作成術

読みやすさ:☆☆☆   図表もあるが、文字が多い
非代替性 :☆☆☆   細かいルールは他書籍でもカバー可能
即効性  :☆☆    ある程度読み込まなければ活用は難しい
網羅性  :☆☆☆   一冊で一通り作り方の理解は可能
重要度  :☆☆☆☆  資料作成の流れは重要

良本です。著者はソフトバンクグループ出身で、孫正義社長の前でプレゼンをしたことがある、ということを売りにしています。大事なのは、プレゼンを「したことがある」ということではなく、プレゼンを「何度もできた」ほど資料が洗練されているということ。立場が上の人間ほど時間がなく、孫正義社長はその最たる例です。エレベータートークとはよく言いますが、時間がない中で必要十分な情報を伝え、意思決定を促すのはプレゼン作成の技術の見せどころです。そういう意味でも資料作成において信頼できる方といっても差し支えはないでしょう。

本の構成は、第一章で「プレゼン資料かくあるべし」ということを約30ページにわたって述べています。ここが最も重要です。他の多くの書籍は「余白がどう」「色使いがどう」というデザインに尖って説明がされますが、本書では「そもそも資料としてどうあるべきか」ということを解説してくれます。資料作成に慣れていない方も、自分で「出来ている気がする人」も一度立ち止まってしっかりと読み砕けば、必ず血肉になるでしょう。

一方、上記で述べたような細かいデザインに関しては若干情報量に乏しいので、そこは別の本で補完が必要です。また、実際のパワーポイントの画面で説明してくれるわけではないので、そこの理解もすこし手間がかかるかもしれません。そういう意味で、即効性は少し弱いという評価をしています。

なお、「社内プレゼン」と謳っていますが本質的には社内でも社外でも必要な要素は変わりません(社外のほうが少し丁寧めに作る程度)。もしもそこが気になった場合は、別著の「社外プレゼンの資料作成術」も参考にしてもよいかもしれません。


1-2. 外資系コンサルのスライド作成術

読みやすさ:☆☆    文字が多く、読みやすいとは言えない
非代替性 :☆☆☆☆  「デザイン」ではないルールを解説
即効性  :☆☆    ある程度読み込まなければ活用は難しい
網羅性  :☆☆☆☆  基本的な作り方はこの一冊で大丈夫
重要度  :☆☆☆☆☆ 最低限これだけ読んでおけば大丈夫

元コンサルティング・ファームの方の著書。今回紹介の中で最もお勧めしたい一冊です。これ一冊だけ読めば、基本的な作り方はほぼすべて抑えることが出来ると言っても過言ではありません。スライド作成の基本を第一章で伝えて、その後グラフやチャートの解説を実施したのちに、もうワンランクレベルを上げるための技法を段階的に解説してくれます。巻末の練習問題は好みが合えばこなすと吉。

問題は、文章量が多く少し読みこなすのに時間がかかること。図表も豊富と言えば豊富なのですが、いかんせん情報量が多い。初めての一冊としては少しおすすめしづらいかもしれません。社会人一年目で、時間があるときにゆっくり読むべき本という位置づけですかね。

2-1. 「伝わる」のはどっち? プレゼン・資料が劇的に変わるデザインのルール

読みやすさ:☆☆☆☆☆ 図が多く、キャッチーな印象
非代替性 :☆☆    他の書籍でも多くは記載がある内容
即効性  :☆☆☆☆  自分のスライドと照らして改善が可能
網羅性  :☆     写真や文字の使い方などが中心で網羅性は低い
重要度  :☆☆    知らなくてもスライドは作成可能

ここからはパワポのデザインのルール説明に特化した本を紹介します。その一つ目が本書。イラストが豊富で本として非常に見やすい出来栄えになっています。また、巻末で良いスライドと悪いスライドの差分を改善方法も解説しており、読者は自分事として捉えることができ、改善に結びつきやすいです。

一方で、イラストが多いことからか情報量としては比較的少ない印象です。また、全編にわたりQ&A方式で正解スライドが記載されていますので、辞書としても使いにくいかもしれません。なので、パラパラとめくって「こういうことが間違いの代表例か」と納得しながら使う方法が一番しっくりくるのではないでしょうか。

いずれにせよ、一冊目でこの本を選ぶのは少し厳しいかもしれません。ある程度熟練してきてから、読み物としての位置づけで購入してもよいでしょう。


2-2. 「デザイン」の力で人を動かす! プレゼン資料作成「超」授業

読みやすさ:☆☆☆☆  スライドが多く、理解しやすい
非代替性 :☆☆    「レイアウト」の章以外は一般的
即効性  :☆☆☆☆  スライドベースでの記載のため、実践で使える
網羅性  :☆☆    項目の数で言えば、他の書籍より見劣り
重要度  :☆☆    他の書籍とも組み合わせが必要

全ての項目がBefore→Afterで示されていて、どこをどう改善すればよいのか非常に分かりやすいです。当然、全てスライドの形式で掲載されておりノウハウは実践にすぐに投入できます。また、他の書籍とは異なり「レイアウト」(どの図を、どう配置するか)ということにかなり細かく解説を掲載していますので、そのあたりはデザインのルール説明に特化した本の中では白眉と言えますね。

一方で、全ての説明がスライドベースになっているため、ある意味一つの例としてしか理解できない可能性があります。つまり、汎用性のあるノウハウとして読み取れない場合もあるかもしれない、ということです。また、一つの項目に関して過剰ともいえるほど説明が充実していますが、それを使いやすいととるか、あるいはノイズが多いととるかは受け手次第です。

なので、他の書籍の手が届かなかった部分についてはこちらの書籍で補完する、という使い方が一番しっくりくるでしょうか。やはり具体性がありすぎるのが、少し人を選ぶかもしれませんね。

2-3. 一生使える 見やすい資料のデザイン入門

読みやすさ:☆☆☆☆☆ 全編シンプルなBefore→Afterなので理解しやすい
非代替性 :☆     情報自体は一般的
即効性  :☆☆☆☆☆ 読みやすさに呼応して、すぐに使える情報が記載
網羅性  :☆     MECEに区分してあるか不明瞭
重要度  :☆     なくても問題はない(が、分かりやすい)

2-2の書籍と同様に全ての項目がBefore→Afterで示されていますが、本書はそのBefore→Afterが極めてシンプルに記載されています。具体的な事例を扱ったというよりは、「ここが悪いスライド」を良くしました、という体裁で書かれているので、具体的にどういうスライドが悪くて、それをどう改善するのかが非常に分かりやすく記載されています。パワポ資料作成の初心者が陥りやすい間違いを細かく解説してくれている、という印象です。

一方で、初学者向けということで情報量としては、中・上級者にとっては少し不足するかもしれません。なので、まず一冊この本を使って目に付きやすい弱点をつぶして、もっと細かいルールが記載されている書籍にステップアップ、というやり方がよいのではないでしょうか。もちろん、いつでもこの本に立ち戻っても構わないと思います。タイトルの「一生使える」は伊達ではありません。

ちなみに、2020年8月現在Kindle unlimitedで無料で読めるので、もし会員の方は一読してもよいかもしれません。無料で体系的にまとまった知識が手に入るのなら、コストパフォーマンスが高いのは自明です。もし気に入れば、書籍として手元に置いておいてもよいのではないでしょうか。

2-4. ゼロから身について一生使える! プレゼン資料作成見るだけノート

読みやすさ:☆☆☆☆☆ 全編シンプルなBefore→Afterなので理解しやすい
非代替性 :☆     情報自体は一般的
即効性  :☆☆☆☆☆ 読みやすさに呼応して、すぐに使える情報が記載
網羅性  :☆     MECEに区分してあるか不明瞭
重要度  :☆     なくても問題はない(が、分かりやすい)

2-4の書籍と構成がほとんど同じで、掲載されている様式もほとんどよく似ています。正直、作者が同じではないかと思ってしまったほどです。もちろん実際は異なりましたが。タイトルの「一生使える」というのも同じですしね。

掲載されている内容も、Before→Afterで各項目が構成されているなどほとんど同じ。細かい内容にこそ差分がはありますが、立ち位置はほぼ同じです。

なので、本屋でパラパラとめくって、自分のフィーリングに合う方を購入すれば十分ではないでしょうか。両方購入すると言われてもとめはしませんが、他の書籍を検討してもよいかもしれません。

2-5. 伝わるデザインの基本 増補改訂版 よい資料を作るためのレイアウトのルール

読みやすさ:☆☆☆   少し文字が多く、体力が必要
非代替性 :☆     ネットで頑張れば拾える情報(体系的ではある)
即効性  :☆☆☆☆  フォントの項目などは、直ぐにでも活用可能
網羅性  :☆☆    デザインに関しては十分な情報量
重要度  :☆     知らなくても問題はない情報も多い

とにかく情報量が多いです。約240ページの大判に情報がびっしりと詰め込まれています。「資料の作り方」という意味では網羅している意味ではないのですが、細かいTipsという意味ではカバー率は相当なものと言ってよいでしょう。辞書的な使い方にも対応しています。

一方で、細かすぎる情報が多いので使いやすいとは言えないかもしれません。もし私が使うなら、まずは全編一読してから、自分が知らなかった部分に付箋を貼って、その部分を再読して自分のものにする、という使い方になるでしょうか。この分量ですと、どんなベテランが読んでも、知らない知識というのが確実に盛り込まれています(すべてを順守すべきかどうかは個々人の判断に分かれますが)。

また、あくまで「デザイン」の本なので、資料の作り方が記載されているわけではありません。そういう意味では、1-1や1-2の書籍と併せて活用したいですね。

なので、ベテランの方におすすめしたい一冊といえます。逆に言えば、最初の一冊がこの本だとすると、挫折してしまうかもしれません。それほどまでに、深く広い話が書いてあります。

3-1. 科学的に正しいずるい資料作成術

読みやすさ:☆☆☆   文字の量が多く、イラストが少ないかつ赤一色
非代替性 :☆☆☆   膨大なデータセットは他社は真似できない
即効性  :☆☆    「読み物」としての役割が大きい
網羅性  :☆☆    一応作り方~デザインを網羅も、抜けも多い
重要度  :☆☆    資料のいろはは分かるが、他の書籍でも可能

ここからはある程度習熟した後にアドオンで読む本を紹介します。その第一弾が本書です。

特徴的なのは、「科学的に正しい」と謳っている通り膨大なデータベースの結果を記載している点。なので、通常の書籍には記載のないノウハウが書いてあったりもします。しかし一方で、通常の本も大したものでデータの集合知を経験的に網羅しているため、本書の多くの項目は他の書籍でカバーできます。なので、知識を得るためというよりも、その裏付けを知るための読み物としての使い方が妥当でしょうか。科学的に正しいと記載がある通り、各項目裏付けがしっかりと記載されています。

また、内容としてはデザインだけではなく資料作成の心構えなども記載されています。そういうマインドセットや資料作成のノウハウという点も記載してあるため、いろはの多くを網羅していると言ってもよいでしょう。

まとめると、かなり理由がしっかり描いてある文章量の多い書籍です。しかし情報量が多いわけではない。また、書籍自体も赤系の一色印刷だけなので読みやすいとは言えません(漫画雑誌などがこの形式をとることが昔は多かったです)。ということで、上級者が読んで理解を深めたり楽しんだりするのに用いるのがよいのではないでしょうか。パワポ研としては楽しめた一冊です。

3-2. ヒット商品のマル秘プレゼン資料を大公開! 資料から読み解く成功の極意

読みやすさ:☆☆☆☆  資料を全て紹介しているだけなので、読み易い
非代替性 :☆☆☆☆☆ 他に類のない書籍であることは間違いない
即効性  :☆☆    参考にはなるが、活かせるかどうかは別
網羅性  :☆     あくまで「商品プレゼン」の資料
重要度  :☆☆    資料の例としては、読んでおいてもよい

これまで紹介したどの書籍にも似ていません。

構成としては、全17社のプレゼン資料を記載し、その中で特に意識して作成したスライドがどのように生まれたか、そしてどうスライドという形式に落とし込まれたかを解説したもの。要すれば、本科的な資料の作り方を具体例を用いて紹介しているという書籍です。

また、例に出てくる企業もJALやソニー、リコーなど日本を代表する企業ばかりなので、都合の良い資料のみをピックアップしたというわけではありません。いずれもヒット商品(あるいは、それに近い)ものを紹介しておりますので、良いプレゼンテーションの好例と断言できます。

ネットにはプレゼン資料を集めたというサイトはよくありますが、ここまで作り方の背景まで細かく説明したというサイトは私は見たことがありません。関係者にまでインタビュー出来ているので、臨場感は並みではありません。

一方で、これがそのまま自分の資料作成に活かせるかというと、少しギャップがあります。資料作成にある程度慣れてきた段階で、「そういう考え方もあるのか」という見方をするのがよいのではないでしょうか。

3-3. プレゼンテーションZenデザイン

読みやすさ:☆     はっきり言って、読みづらい
非代替性 :☆☆☆☆☆ 類のない書籍であることは間違いない
即効性  :☆     全くない
網羅性  :☆     そもそも狙いが資料作成ではない
重要度  :☆     あくまで「読み物」。趣味の世界

本書ははっきり言って、おすすめしません。なぜなら、難解すぎるからです。はっきり言って、読み物として楽しむべきものでしょう。外国の格好良いパンフレットみたいな読み物です。

内容も、色の話をする際に「風の色は何色か」を説いたり、余白の説明をする際に日本の枯山水の画像を出したりするあたり、只者ではありません。ちなみに、著者が外国の方です。

もちろん、スライドも何枚かは登場するのですが、外国の格好良いものがほとんどです。一企業人としてプレゼン資料を作成するの当たっては、不要な情報と言わざるを得ません(格好良いのは間違いないのですが、再現性という意味で問題があります)。

なので、時間がある際に趣味として読むのが精いっぱい、というところでしょうか。全てを極めたのちに立ち寄る場所という認識です。

まとめ

最後に、上記10冊の星取表を掲載します。是非とも購入の参考にしてください。
(いずれも誰かに必要な本と思いますので、値段はあえて記載しません。必要だと思ったら、糸目をつけず購入してください)

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10冊の本を紹介しました。おそらく、1群と2群で興味が出た本を一冊ずつ買えば一通り作り方は網羅できると思います。それでも不足するようなら、他の本を買い足すというフローがよいのではないでしょうか。

これ一冊で全てをカバーできる、という書籍は当たり前ですが存在しません。よしんばそういう書籍があったとしても、検索性に欠けるはずで、実用にはほど遠くなります。また、読み手のニーズに答えられるページはごく少なくなります。そういう意味でも、自分にあった書籍を選ぶのが大切なのです。


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