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日記 一〇二号室その2

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夜ごはんときもちを記録した日記のつづき(2017年2月27日〜)。 踊る阿呆に、見る阿呆。 踊ってころんでしょげて蹴っ飛ばしてうたって仰いで。 よきもあしきももらったものを消化し…
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#育児

トランペットと亀

トランペットと亀

二〇一七年六月六日火曜日

曇り

炊いたお米ものんさんのおむすび分しかない。献立づくりにあたまが追われて昼は休みたいぜとなる。こんな日もいいかとコンビニへ向かう、のんさんと三輪車をかっ飛ばして。

何周してもたべたいものがみつからなくて、のんさんの持つかごはずっと空っぽのまま。そこにいる四十代くらいの女性たちはマニュアルからはみ出てにんげんでいる。のんさんに喋りかけてくれて、そのひとたちの声でs

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ピーチクパーチクピーナッツ

ピーチクパーチクピーナッツ

二〇一七年六月五日月曜日

晴れ

きょうは休みたい休みたい休みたいと、のんさんの昼寝のあいだだらだらしたいなあと思いながら床掃除をしてなんとなく解凍していたひき肉とかを炒めてレタス巻きにしたらいいか、うんと鮭でちゃんちゃん焼きがいいか。スーパーになるべく行かないですむように、昼寝のあいだのあたまきゅるきゅるきゅるをできるだけしなくてすむように、でものんさんになにかのませる汁物がいるような気がする

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嘘をつかないてるてる坊主

嘘をつかないてるてる坊主

二〇一七年六月四日日曜日

晴れ

どうぶつえんへ。

チンパンジーはとてもとても悟られているようなお顔をされているのだなあと見つめながら思う。

ぽ「まちを歩いていたら、けっこうこわいよね」

帽「そりゃそうでしょ。どうぶつえんにいるどうぶつみんなそうだよ」

ぽ「にんげんはこわいからこうやってどうぶつえんにとじこめたんだと思うんだよね」

帽「そうだろうね」

帽さんはわたしが思っていたことを

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十四才の青空

十四才の青空

二〇一七年六月三日土曜日

晴れ

帽さんのおねえさんの暮らすまちまできいろい車に乗ってゆく。

のんさんとほぼ同じ月齢のお家はあたらしい家という匂いがした。新芽みたいな芝生がひよひよと並んでいて鉄ぼうとブランコがあるお庭。のんさんのいとこにあたる二人が (ゆきのへや) (そらのへや)と案内してくれる。ガイドがひつようなほどしきりと空間がある。

(そらのへや)というのは、いま四才の彼のへや。押し

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喫茶「甘夏」

喫茶「甘夏」

二〇一七年六月二日金曜日

晴れ

朝早くれんらくをしてみたら、会いたかったひとたちと集えることになりそう。夕方の予定だからとのんさんとはやくにお散歩。本日は三輪車に乗って。きょうは降りたがらずにすいすい進むので隣の公園にまた来られた。木影に座って、チャーハン目玉焼きのっけのお弁当。のんさんは三輪車の足をかけるところに座ってみたりしながらあそび食べ。後ろに押して進められるようになった!と思ったら、

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バター大臣

バター大臣

二〇一七年五月三十一日水曜日

晴れのち曇り

三輪車散歩のきょうは、いつもの隣の公園。のんさんが歩くようになって、わたしの足で徒歩二〜三分の公園にだってなかなかたどり着かないこのごろ。目の前のひとつひとつどんなふうに写っているのだろう、と思う。はてさてこのまえ隣の公園へ行ったのはいつのころだろう。

のんさんが駆け回るのをみつめながら、思い出す。のんさんをはじめて野に放ったのも、両手をつかんで歩

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「か・ぼ・ちゃ」と言う

「か・ぼ・ちゃ」と言う

二〇一七年五月三十日火曜日

晴れ

わが家のパン焼きさんが壊れてしまって、それでもパンをたべたいと熱望する帽さん。食パン専門店までのんびり買いにゆこうと十一時過ぎに出発する。風もあまりなく、パン屋さんのある駅方面への道は日向ばかり。しゃがみこんで石ころを拾ったり草とたわむれる場所も日向。麦わら帽子を外すと髪はびっしょり。じりじりへとへとを経てパンを買い、駅前のホールで涼み、帰りはバスに乗って。

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木影宇宙散歩

木影宇宙散歩

二〇一七年五月二十九日月曜日

晴れ

公園の日影は涼しいくらい。ひんやりとする風がとおってきもちよい。木がいなくっちゃ、影はなくっちゃ、と思う。

砂利道で石ころを拾い、道をかたどる草のうえに時々座って足を伸ばす。

日影にはいると足もとから音がする。顔を近づけてのぞくと、枯葉。歩くとざくざく音がする。

のんさんの身長よりもながい木の枝で届かない場所をさわったり、天を仰いだり、しゃしゃしゃしゃ

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ぶらさがる珈琲豆

ぶらさがる珈琲豆

二〇一七年五月二十八日日曜日

晴れとくもり

汚れる前提に買う服

とっておきの日に着るための服

服を汚す仕事をする
服を汚さない暮らし

仕事に合わせて 暮らしに合わせて 服に合わせて

何に合わせて身に纏うもの手にとるものを選ぼうか

しろっぽい洋服を着ていると 落ちつくなあと感じるこのごろに、わたしは泥だらけの靴を履く彼女を抱っこする。

絵の具がはねてついたズボンならなんだか胸をは

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くじらのサーファー

くじらのサーファー

二〇一七年五月二十七日土曜日

晴れ

母が抱っこするとのんさんは安心しきっているという様子。肩と胸のあいだに横顔をべったりつけてとてもフィットして心地よさそうにしている。
愛が伝わっての安心感なのか、のんさんかあちゃんであるわたしを抱いていたひとだからか。それらを無意識のなかで感じとっているのだろうなあ。ああ、ふしぎ。

夜ごはんは、アムリタ食堂にて。空芯菜炒め、トムヤムクン、もち米、春雨と

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コジコジとメタ認知

コジコジとメタ認知

二〇一七年五月二十六日金曜日



ほぼ一日雨で、家で過ごす。夕方四時過ぎにはお風呂をためはじめる。わたしの思いつきによりあいこちゃんたちといっしょの夕ごはんなのである。お昼寝のあいだに準備はできたのでのんびりなきもち。

夜ごはんは、くるみ和え(小松菜、人参)、レタスと桜海老の炒めもの、味噌野菜炒め(キャベツ、大蒜、ぶたバラ肉、カブの葉、大根、玉ねぎ)、お刺身、根曲がり竹、ごはん。お刺身と根曲

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回転木馬のお茶会

回転木馬のお茶会

二〇一七年五月二十五日木曜日

雨のち晴れ だったと思う

雨がやむ。なまえの覚えられない掃除用具を買うことと、ポストへ葉書を出すためにに外へ。のんさんお気に入りの長靴の出番だと履かせたけれどひとつも水たまりはなくって道はからっと乾いていた。

きっと水たまりがあったらもっとたのしいことになっていただろうけれど、なくたって彼女はたのしそうだった。時々長靴を触ったり、見つめたり。右側が脱げちゃって(

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ふたりはいっしょ

ふたりはいっしょ

二〇一七年五月二十四日水曜日

曇りとうっすらの晴れ

晴れ時々エイリアン。〜Oh, I'm an alien, I'm a legal alien 〜と泣いていたのを聞いたのは高校の教室だったと思う。二年生だった気がする、この(気がする)にはなんの根拠もない。やけにその泣き声はくるりくるりと沁みていったのは、そのかけらを持っていたからなのかもしれない。

エイリアンはくにゃあっとしていて、それは

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ほら穴の向こうのサーカス

ほら穴の向こうのサーカス

二〇一七年五月二十三日火曜日

晴れ

帽さんは仕事でどうぶつえん。わたしとのんさんもべつのどうぶつえん。

ちがう景色をみたくってえいやっと。

のんさんに付き合ってもらった。まるでのんさんのためみたいにみえるどうぶつえんはまったくわたしのためで、風がとおった。

のんさんは、このごろよくみかける足をずずずーっとよこにひくステップをして、石ころや砂利を撫でて拾って、駆け回る。どこにいたって彼女は

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