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日記 一〇二号室その2

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夜ごはんときもちを記録した日記のつづき(2017年2月27日〜)。 踊る阿呆に、見る阿呆。 踊ってころんでしょげて蹴っ飛ばしてうたって仰いで。 よきもあしきももらったものを消化し…
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2017年5月の記事一覧

バター大臣

バター大臣

二〇一七年五月三十一日水曜日

晴れのち曇り

三輪車散歩のきょうは、いつもの隣の公園。のんさんが歩くようになって、わたしの足で徒歩二〜三分の公園にだってなかなかたどり着かないこのごろ。目の前のひとつひとつどんなふうに写っているのだろう、と思う。はてさてこのまえ隣の公園へ行ったのはいつのころだろう。

のんさんが駆け回るのをみつめながら、思い出す。のんさんをはじめて野に放ったのも、両手をつかんで歩

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「か・ぼ・ちゃ」と言う

「か・ぼ・ちゃ」と言う

二〇一七年五月三十日火曜日

晴れ

わが家のパン焼きさんが壊れてしまって、それでもパンをたべたいと熱望する帽さん。食パン専門店までのんびり買いにゆこうと十一時過ぎに出発する。風もあまりなく、パン屋さんのある駅方面への道は日向ばかり。しゃがみこんで石ころを拾ったり草とたわむれる場所も日向。麦わら帽子を外すと髪はびっしょり。じりじりへとへとを経てパンを買い、駅前のホールで涼み、帰りはバスに乗って。

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木影宇宙散歩

木影宇宙散歩

二〇一七年五月二十九日月曜日

晴れ

公園の日影は涼しいくらい。ひんやりとする風がとおってきもちよい。木がいなくっちゃ、影はなくっちゃ、と思う。

砂利道で石ころを拾い、道をかたどる草のうえに時々座って足を伸ばす。

日影にはいると足もとから音がする。顔を近づけてのぞくと、枯葉。歩くとざくざく音がする。

のんさんの身長よりもながい木の枝で届かない場所をさわったり、天を仰いだり、しゃしゃしゃしゃ

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ぶらさがる珈琲豆

ぶらさがる珈琲豆

二〇一七年五月二十八日日曜日

晴れとくもり

汚れる前提に買う服

とっておきの日に着るための服

服を汚す仕事をする
服を汚さない暮らし

仕事に合わせて 暮らしに合わせて 服に合わせて

何に合わせて身に纏うもの手にとるものを選ぼうか

しろっぽい洋服を着ていると 落ちつくなあと感じるこのごろに、わたしは泥だらけの靴を履く彼女を抱っこする。

絵の具がはねてついたズボンならなんだか胸をは

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くじらのサーファー

くじらのサーファー

二〇一七年五月二十七日土曜日

晴れ

母が抱っこするとのんさんは安心しきっているという様子。肩と胸のあいだに横顔をべったりつけてとてもフィットして心地よさそうにしている。
愛が伝わっての安心感なのか、のんさんかあちゃんであるわたしを抱いていたひとだからか。それらを無意識のなかで感じとっているのだろうなあ。ああ、ふしぎ。

夜ごはんは、アムリタ食堂にて。空芯菜炒め、トムヤムクン、もち米、春雨と

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コジコジとメタ認知

コジコジとメタ認知

二〇一七年五月二十六日金曜日



ほぼ一日雨で、家で過ごす。夕方四時過ぎにはお風呂をためはじめる。わたしの思いつきによりあいこちゃんたちといっしょの夕ごはんなのである。お昼寝のあいだに準備はできたのでのんびりなきもち。

夜ごはんは、くるみ和え(小松菜、人参)、レタスと桜海老の炒めもの、味噌野菜炒め(キャベツ、大蒜、ぶたバラ肉、カブの葉、大根、玉ねぎ)、お刺身、根曲がり竹、ごはん。お刺身と根曲

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回転木馬のお茶会

回転木馬のお茶会

二〇一七年五月二十五日木曜日

雨のち晴れ だったと思う

雨がやむ。なまえの覚えられない掃除用具を買うことと、ポストへ葉書を出すためにに外へ。のんさんお気に入りの長靴の出番だと履かせたけれどひとつも水たまりはなくって道はからっと乾いていた。

きっと水たまりがあったらもっとたのしいことになっていただろうけれど、なくたって彼女はたのしそうだった。時々長靴を触ったり、見つめたり。右側が脱げちゃって(

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ふたりはいっしょ

ふたりはいっしょ

二〇一七年五月二十四日水曜日

曇りとうっすらの晴れ

晴れ時々エイリアン。〜Oh, I'm an alien, I'm a legal alien 〜と泣いていたのを聞いたのは高校の教室だったと思う。二年生だった気がする、この(気がする)にはなんの根拠もない。やけにその泣き声はくるりくるりと沁みていったのは、そのかけらを持っていたからなのかもしれない。

エイリアンはくにゃあっとしていて、それは

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ほら穴の向こうのサーカス

ほら穴の向こうのサーカス

二〇一七年五月二十三日火曜日

晴れ

帽さんは仕事でどうぶつえん。わたしとのんさんもべつのどうぶつえん。

ちがう景色をみたくってえいやっと。

のんさんに付き合ってもらった。まるでのんさんのためみたいにみえるどうぶつえんはまったくわたしのためで、風がとおった。

のんさんは、このごろよくみかける足をずずずーっとよこにひくステップをして、石ころや砂利を撫でて拾って、駆け回る。どこにいたって彼女は

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語ると観察

語ると観察

二〇一七年五月二十二日月曜日

晴れ

友人が訊いてくれた。「元気ですか」と。どうなんだろう。元気は元気だけれどわたしのどこかが「元気だよ!」と言いたくないと言っている。そうしてたどり着いたのは家事ばっかりだ、こりゃということだった。混沌になることを争う作業。変わらないように変わらないように、その変化はちいさくちいさく進むからぼんやり眺める景色は同じにみえる。磨いても磨いても曇っているような、そん

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お池のひるやすみ

お池のひるやすみ

二〇一七年五月二十一日日曜日

晴れ

あつくてあつくてあつくて。お昼を過ぎてから外に出たほうがよいかしらとおおきな梱包につかわれていた紙に絵を描いたりしながら過ごす。昼過ぎに、そろそろこれは家にいるのも限界だ、暑さもよいかしらと「くっく」をはいて外へ出る。玄関のまわりの日陰のなかでくるくるとあそぶ。家にいるよりも、ここにはやくに出ていたらよかったかしらなんて思う。外にいるほうがのんさんもわたしも

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ソーダーとひよこ

ソーダーとひよこ

二〇一七年五月二十一日土曜日

晴れ

お昼ごはん、カレー屋さんへゆこうとなって駅のほうへ歩いてゆく。のんさんは立ち止まったり、戻ったりして、まあなかなか進まない。それはいつものことだからぼんやりみているのだけれど、時にはあぶないこともある。自転車がやってくるからと帽さんが抱きかかえてあるところまで連れて行くと、のんさんは明らかに怒っている。柵のようなものにあたっている。帽さんもしょうがないでしょ

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軒先おやつ

軒先おやつ

二〇一七年五月十九日金曜日

晴れ

きのうは一日家にいたからと、おむすび持ってはりきって外に出る。けれども、のんさんは玄関のまえをあっちへいったりこっちへいったり。公園へなかなか向かおうとしない。すこし眠たいのかもしれない。すーさんの家の前で「かっか」と呼ぶ。どうやらわたしだけでなくてすーさんのことも「かっか」と呼んでいる。「すーさんはおばあちゃん家にいるから、ここにはいないんだよー」と伝えても

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つばめの本屋

つばめの本屋

二〇一七年五月十八日木曜日

晴れ

のんさんは「はい」と急に落ち着いたトーンで返事をするときがある。返事がなくても、彼女はだいたいわかっている。そう思うことは多々ある。

今週は、早起きをして帽さんを見送る習慣がついているのんさん。二度寝の前「きょうはまやちゃんと電話で話すよ」と伝えると、瞳孔がぐっとひらく。浅い眠りだったのかすっきりとはしていなかったけれどskypeの約束に間に合う時間にしっか

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