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今日の人生と女の子

益田ミリさんの

「今日の人生」シリーズが

だいすきだ。



生きていて

一瞬で過ぎ去ってしまう1日1日を

ぎゅっと掴んで

ほろほろと

緩むことばで癒してくれる。

ほろ苦いできごとさえも

悪くないなと思える。





ある土曜日の昼下がり、

パパと手を繋いで

1人の女の子が

お店に入ってきた。

2つしばりの

目がくりくりの

かわいい女の子。


パパの膝周りに

まとわりついている。

まるで登り棒の棒を掴んで

今にも上に登ってきそうな勢いで

ぎゅっと足を掴んでいる。

そして

にこにこと

メニュー表を眺める。

女の子が心奪われたものは

「りんごのケーキ」

だった。


黒ぶち眼鏡のよく似合う

優しそうなパパは、

「カフェモカ」

を頼んだ。

ママがお出かけしているから

パパとふたりでデートなのだろうかと

プツプツ考えながら、

最高のシチュエーションに頬が緩む。



外の景色がよく見える席に

「ちょこん」と座ってる。

椅子に座って

床につかない足を

ゆっくり

パタン パタン

と揺らしながら、

真っ赤な

「りんごのケーキ」を

食べている。

ケーキの半分くらいは

床に落ちているのではないか

というくらい

こぼしながら食べている。

ほっぺをぷくんと

膨らませながら

にこにこ食べている。


いつだか

3人組のおばさん達が来た時、

頼んだアップルパイの破片を

たくさん床に落として

帰って行った日があった。

そのときは

口を尖らせながら

掃き掃除をしたが、

女の子の

膨らむ頬と

足のパタン パタンと

「パパと娘のデート」

の光景があまりにも幸せで、

「いくらでもおこぼしやす〜」

なんて

心の余裕さえできてしまった。



「幸せのお裾分け」

ってこうゆうことだなと

つくづく感じる。



帰り際、

あの女の子が

いつまでも幸せな世界でありますように。

そんな気持ちで

バイバイと手を振った。




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