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「頑張っていない」のではなく「分かっていない」がほとんど

バスケットの指導をしていると、「なんか動きがわるいんだよな」とか「どうしてあの子は〇〇しないんだろう」というモヤモヤにぶつかることがよくある。

バスケットを指導し始めたころは、「頑張っていないからだ」とか「気持ちが足りないからだ」と解釈して檄を飛ばすことを良くしていた。
もちろん、本当にやる気や気持ちが不足している場合もある。
しかし、最近「頑張れない」原因は「分かっていない」ことにあるのではないかと思うことが増えてきた。

具体例をあげる。
昨日、練習試合があったのだが、ガードがボールを持つ時間が長くなってしまいオフェンスが停滞することが多かった。原因はオフボールが動いていないことにあった。当然選手も私も「もっとオフボールが動かないとオフェンスが止まるぞ」と指示をしたり、話し合ったりしていたのだがどうもうまくいかなかった。

試合が終わったあとのミーティングで選手に動けなかった理由を聞いてみた。
すると、ほとんどの選手が「どう動けばいいのか分かっていなかった」と答えたのだ。つまり、「ボールを持っていないときにどう動くか」がチームとして共通理解できていなかったために、オフェンスが停滞してしまったのだ。

ということは、コーチの準備不足ということになる。
もし、こういうときに「味方を助けようとする気持ちが…」とか「やる気が足りない」などと言ったフィードバックをしてしまうと、選手からすると「教えてもらってないのにどう頑張ればいいんだ…」となってしまう。

こういうことはよくあるはずだ。
リバウンドに行けていない。1on1を仕掛けていない。走っていない。
このようなときに「ちゃんとやれよ!」で終わらせるのではなく、本当に自分がやるべきこと、頑張るべきことを明確にしてきたかを反省することも大切だと思う。(もちろん試合が終わったあとで)

考えてみれば当然で、「頑張りたくない」選手などほとんどおらず、試合に出ている以上「よし、やってやるぞ!」という気持ちの選手が大多数だ。
その選手が頑張れないということは、何かしら原因があって頑張るエネルギーが奪われていると考えたほうがよい。
そして、多くの場合、頑張れないことは「どうすればいいのか分かっていない」という不安に理由がある。

ある程度勉強してきたコーチならば、「こういうときはこうする」というのが頭のなかにはあるものだと思う。しかし、それをどうやって選手たちに伝えるかがコーチングの難しいところであり、名コーチとそうでないコーチを分ける大きな要素ではないだろうか。

勝つ意欲は大して重要ではない。そんなものは誰もが持ち合わせている。重要なのは、勝つために準備する意欲である。

ボビー・ナイト

この言葉があらわすように、「どう頑張るか」を選手に伝え、勝つための準備をすることがコーチの仕事だと思う。そういうコーチに私はなりたい。

そんな話。

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