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「ソロフェス!」に燦然と輝くハロプロの未来を観た。

『Hello!Project presents…「ソロフェス!」』がCSテレ朝チャンネルとスカパー!オンデマンドで放送された。コロナ禍の状況にあって、大所帯のアイドルグループの活動の仕方をどうしていくべきかという難問を逆転の発想で「だったらソロで歌わせたらいいじゃない」と簡単に実行できてしまうハロプロが、まず素晴らしいと思う。

52人いるメンバー全員に、ハロプロの楽曲から選曲して自己プロデュースでパフォーマンスしてもらう。これは毎年春に開催されているハロプロ研修生実力診断テストの上位互換バージョンだ。しかもメンバー同士でMVPを選び、優勝するとテレ朝チャンネル1で冠番組を持つ権利が贈られるというのだから、ただ歌うだけじゃない本気度も加わる。

ということで、事前にハロプロOG矢島舞美によるパフォーマンス順抽選が行われ、当日の司会も舞美が担当した。この舞美の司会が良かったと思う。とても丁寧に歌い終わったメンバーに話しかけて感想を引き出してくれて、その優しい目線が緊張感のあったであろう現場での清涼剤になっていたんじゃないだろうか。

なにせ歌うメンバーが52人もいるから収録時間も想像できない長丁場だったと思う。1日で撮りきれたのだろうか、撮りきったとしたら早朝から深夜まで続いたと思うので、その中でずっと現場に居なきゃいけない舞美の体力も凄いと思うのだ。本当に素晴らしい司会だった。

さて、ここからが問題なんだが、52人のパフォーマンス全てを論評していくというのもただただ冗長になってしまいそうなので、個人的なトピックで分けて振り返ろうと思う。

■モーニング娘。15期の将来性に驚愕

普段アンジュルムヲタなので、モーニングさんはジックリ観る機会が意外とない。15期は、ほぼ素人組でもある。まだまだこれから数年後に期待する感じだろうと完全に見くびっていた。

大変申し訳ありません。本当に素晴らしかった。3人とも自分の個性を100%理解し100%表現できていた。正直、モーニングの新メンバーに嫉妬することって今まであまり無かったのだが、今回のソロフェスを観てテレビの前でひっくり返った。

岡村ほまれをアンジュルムに下さい。

スマイレージのはじまりの曲である『ぁまのじゃく』を歌った岡村ほまれだが、完全に初期スマイレージの魂の継承者だった。いや、輪廻の生まれ変わり、ゆうかりんの生まれ変わりなんじゃないか? 画面を観ながら「なんだこの完璧な可愛い生物は……」と溜息が出た。

個人的には今回のMVPだと思っている。

「ハロプロはカッコいい」という評価が最近は多いのだが、「ハロプロは可愛い」という側面も消してはいけない。そういう意味でスマイレージの楽曲をシンプルに可愛く表現するという簡単そうで最上級に高難度なクエストを100点満点の可愛さで見せつけてくれた岡村ほまれが僕の中での優勝だ。

山﨑愛生も同様の意味で素晴らしかった。船木結と同率で3位を獲得したのも頷ける結果だった。月島きらりの『チャンス!』という選曲がまた見事。ベタに『恋☆カナ』じゃなく『チャンス!』をチョイスというのも新鮮だし、最後はパンダさんパワーでキラキラとお団子ヘアーからツインテールに変身までするというパフォーマンス。

完璧だと思った。完璧に自分の「売り」を理解した上での完璧なパフォーマンス。今日から二代目月島きらりを襲名して、今すぐ『バラライカ』を歌ってくれ。

副音声を担当していたハロヲタ松岡茉優も、このパフォーマンスには悶絶していたらしい。そらそうだ。おはガール時代に小春と共演していて、目の前で月島きらりを観ていたんだから、こんなの魅せられたら一瞬で落ちる。

そして北川莉央である。ポンコツだという話しか聞いていなかったが、どこがポンコツなんだ? 綺麗で上品な顔と佇まい、漂うお嬢様感と同時に憂いまで兼ね備えていてフルートまで吹ける。え? これ譜久村聖の正統後継者じゃん。またBerryz工房の『告白の噴水広場』という選曲がハマりまくっていた。この曲を聞くと、どうしても昔フットボールアワー岩尾が番組で大好きな梨沙子のコスプレをしてMVを撮った映像を思い出してしまうのだが、北川莉央の素晴らしさに完全に上書きされた。

それも含めて「ありがとう」とゆいたいです。

モーニング娘。は年長組の卒業などがそろそろ出てきそうな時期でもあるから、この先大丈夫なのかなぁと思っていたのだが、この3人がいたら何の問題もない。もし小田さくら、佐藤優樹、譜久村聖が同時に居なくなったとしてもなんとかなるんじゃないかと思わせてくれる未来が見えた。

素晴らしかった。

■かみこは神様?

アンジュルムのエースであり、次期ハロプロエース候補のひとりと思っている“かみこ”こと上國料萌衣が歌ったのは王道であり覇道、アイドル界の国歌とまで称される藤本美貴『ロマンティック浮かれモード』だった。

僕としても、かみこには正統派な松浦亜弥曲とかをシンプルにそのクリスタルボイスに乗せて歌って欲しいと思っていたのだが、それでもベッタベタな『ロマモー』で来ることは予想していなかった。そして、そんなベッタベタな選曲なのに「優勝」と僕は呟いていた。

キラキラした笑顔で歌うかみこ。当然、無観客で会場にヲタは存在していないのにテレビ画面からはヲタのコールが聞こえてきた。あれは幻聴だったのだろうか? いや、僕は確実に聞いた。恍惚の表情を浮かべた全ハロヲタが「カミサマカミサマオシオキキボンヌ!」と叫ぶ声を。

■川村文乃 戴冠の意味

52人中11票という圧倒的な大差でMVPに輝いたのはアンジュルムのサブリーダー川村文乃だった。披露したのはJuice=Juice『素直に甘えて』という大人っぽい選曲。意外だという意見もあったが、僕も楽曲予想ではJuiceの『好きって言ってよ』みたいな曲を歌って欲しいと思っていたので大人路線で来たことがまず嬉しかった。しかも間奏ではタップダンスまで披露するという飛び道具まで持ってきた川村文乃のパフォーマンスは、同じハロメンからしても驚きだったんだろう。

川村文乃という子の底知れぬ努力と根性には毎回頭が下がる。

歌い終わった後の本人は、タップの音があまり聞こえなかったんじゃないか、上手く伝えられなかったんじゃないかと泣いていた。でも、実際はキチンと音も拾われていて完璧だった。悔しいと泣く姿、そして本人は予想外だったMVP獲得に泣く姿、そして優勝賞品の番組プロデュース権の話では「アンジュルムの魅力が伝えられる番組にしたい」と即答する姿が美しかった。

土佐を脱藩してハロプロに加入した川村文乃は坂本龍馬のようだと僕は以前noteに書いた。龍馬は日本の夜明けを目前にして表舞台から抹殺されたが、川村文乃はこのままアンジュルムを牽引して、アンジュルムとともにハロプロを更に大きく羽ばたかせてくれる子になるんじゃないかとあらためて思った。

グループの垣根を越えて11票を獲得したというのは、それだけ彼女の姿や想いがハロメン全体にも伝わっている証拠なんだと思うのだ。

■圧倒的Juice=Juice感

Juiceは「さすがJuice=Juice」という感想に尽きる。8人全員に死角なし。個々であれだけのパフォーマンスが出来る子たちが集結するんだから、そら今のJuiceは最強だ。

特に金澤朋子、高木紗友希、段原瑠々は小細工なし、まるで花山薫ばりなステゴロ勝負で挑んできた。中でも段原瑠々はハロプロ研修生実力診断テストでも伊達に場数を踏んでいない試合巧者な王者の雰囲気まで漂わせていて、あれだな彼女は花山薫じゃなくて範馬刃牙だな。

そして、それ以上に圧巻だったのは宮本佳林だ。

卒業を決めており、ソロで活動していく自負もある。彼女もド直球なスマイレージ『学級委員長』を選曲。この曲、ゆうかりんがソロで歌った印象が強いから、ただでさえ亡者が寄ってくるような曲である。下手に歌えば腐される危険性もあるのだが、まあ佳林ちゃんにそんなの関係ないのだ。

事前にカメラワークまで指示して、ほぼアップカットのみで繋ぐという剛腕で殴り掛かってきた。己の声と表情だけで全てを伝えてやるという圧倒的な自信がないと出来ない。彼女こそ「地上最強のアイドル」だ。

最後に「植村あかりさんは素敵」の一言で締めたいと思います。

■ONLY YOUオーディション組のチカラ

平井美葉、小林萌花、里吉うたの、伊勢鈴蘭の4人は同じオーディションでハロプロに加入した。この4人に関しては折に触れて話しているが、今回のソロフェスにおいても逸材ぶりを如何なく発揮してくれていた。

平井美葉の自分の魅せ方、ダンスと歌の使い分け、見事だった。激しく動いたかと思うとグッと指先が伸びてスーッと止まったりさせる。髪をかき上げる仕草、ジャケットをなびかせる姿、完全に宝塚の男役の所作だった。

ついでに言うとジャニーズで言ったらHey! Say! JUMPの山田くん的なカッコよさ。あれは女子なら惚れてしまう。

そして伊勢鈴蘭もまた、同様である。鈴蘭は、つばきファクトリーの『ふわり、恋時計』というミディアムテンポな曲をチョイスしていたので、全体的に緩やかなダンスだったが、そこかしこにバレエの要素、コンテンポラリーの要素が含まれており、平井さんが男役だとしたら鈴蘭は女役の所作のようだった。

ふたりとも大の宝塚好きなので、自分の「スキ」をたくさん吸収して見事な表現力へと昇華している。それは小林萌花、里吉うたのも同様。この4人には研修生組にはない型にはまらない個性がある。

彼女たちもまたハロプロの未来の可能性を感じさせてくれる存在だ。

■新旧世代間、それぞれの想い

モーニングのリーダーであり、ハロプロリーダーでもある譜久村聖の歌った『I WISH』に、奮えるような感動をした。彼女も卒業を意識しているのだろうか。まるで卒業コンサートの最後に歌っている姿が目に浮かんできた。

ひとりで歌っているところに2番からメンバー全員が揃い「人生って素晴らしい」と歌う絵がフワッと見えて泣きそうになった。

そして石田亜佑美が自らの進む道を高らかに宣言しているようなミュージカル仕立ての『忘れてあげる』も圧巻だった。バースデーイベントでオリジナルの演劇を披露したりもしている彼女だが、確実に舞台女優への下地作りをしているように見える。アンジュルムの『忘れてあげる』をチョイスしたのも、今やミュージカル女優として一定の地位を確立しだした田村芽実を意識してもいるのだろうか。

女優・石田亜佑美として羽ばたく日は遠くない未来に来るような気がする。

アンジュルム竹内朱莉は、松浦亜弥の『砂を噛むように…NAMIDA』をしっとりと歌い上げた。次に自分を慕っている最年少の橋迫鈴が控えているなかで、見事な歌唱力を披露して背中で鈴ちゃんに想いを伝えているようにも感じた。

歌い終わった後の舞美とのやり取りでは、おどけて「あ!そうだっけ?全然そんな意識してなかった」みたいに言っていたが、カッコいいリーダーの姿を見せることは、なによりの鈴ちゃんへのメッセージになったと思う。

ハロプロ内で飛ぶ鳥を落とす勢いのBEYOOOOONDS勢は、ソロフェスでも個性を爆発させていた。僕がエースだと思っている山﨑夢羽は、予想通り松浦亜弥で来た。『奇跡の香りダンス』を歌い踊る山﨑夢羽は本日から二代目松浦亜弥を襲名していいとさえ思った。見事な令和の松浦亜弥だと思った。

ただ、今はそれでいいと思うが「山﨑夢羽は山﨑夢羽だ!」という自我が目覚めたら、その時こそハロプロの次世代エースの覚醒だと思っている。

そして夢羽と切磋琢磨してエースの座を狙っている西田汐里のパフォーマンスもまた見事だった。順番的にも王道かみこの次、なかなかに大変な順番だったが選曲もメロン記念日の『お願い魅惑のターゲット』という古参ハロヲタにはビンビン刺さるエモいチョイス。彼女みたいな若い世代が、メロンの曲も大切に歌い継いでくれることがハロプロの素晴らしさだと思うのだ。

とても良い『お願い魅惑のターゲット』だった。

ビヨといえば島倉りか様の『ナセバナル』がとても、とても良かった。前述の二人に埋もれがちだけど、彼女だって研修生の時に実力診断テストでベストパフォーマンス賞を獲得した逸材なのだ。歌では絶対に負けないという気合と自信を見事に見せつけてくれた。

最後に清野桃々姫。ラスト52番目という大役を大役とも思っていない落ち着きで、自慢のトークボックスを使った驚きのパフォーマンス。やいやい言っているが「ハロプロの最先端は私だ!」とニヤリと不敵な笑みを浮かべながらサラリとやってのける感じ、とんでもない子だと思った。

■総括

全員を網羅出来ていないけど、全員が素晴らしかったことは間違いない。つばきに触れられなかったけど、当然つばきも良かったですよ。推しの小片リサまるさんの『ラストキッス』素敵だった。

みんな自分で考えて、自分の持ち味や個性、特技を生かしてパフォーマンスをするという自己プロデュースの場がハロプロには必要だと日ごろから思っているなかで開催された今回の企画は、渇望していたものが見事に具現化されたものだったんじゃかなろうか。

だからこそCSとか特定の環境じゃないと見れないというのが勿体ない内容だったので、是非ともBlu-ray化して欲しい。当然、副音声付きで。

ハロプロって素晴らしいなぁと思う5時間だったが、冗談じゃなく後10時間くらい観ていられると思ったので、出来たら定期的に開催して欲しいなぁ。

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